中国の高水準な対外開放が高品質発展を後押し 海南と広東を読む
2021〜2025年の第14次五カ年計画が最終盤を迎え、中国は第15次五カ年計画の青写真づくりを進めています。そのなかで習近平国家主席が繰り返し強調しているのが「ハイスタンダードな対外開放」と「高品質発展」です。国際ニュースとしても注目されるこの動きについて、日本語でポイントを整理します。
第14次五カ年計画の終盤、「開放」は依然として中核に
第14次五カ年計画(2021〜2025年)の終了が近づくなか、中国は第15次五カ年計画の策定に向けて準備を進めています。そのプロセスで示された明確なメッセージは、現代化の推進力として「開放」が引き続き中心に位置づけられているということです。
習近平国家主席は、最近の海南省や広東省への視察で、高水準の対外開放こそが高品質発展へのカギだと位置づけました。単なる市場開放にとどまらず、制度、産業、人材などを含む総合的な開放が求められているといえます。
海南自由貿易港:新時代のゲートウェイに
海南省では、今月18日に海南自由貿易港で島全体を対象とする特別税関運営が正式に始まる予定です。習主席はこれを、中国が高水準の対外開放を揺るがず拡大し、開かれた世界経済に貢献していくうえでの画期的な出来事と位置づけています。
制度開放とビジネス環境の高度化
海南省の三亜市で行われた海南自由貿易港建設に関する業務報告を聞いた際、習主席は、海南自由貿易港が海南自身の高品質な成長だけでなく、中国全体の新たな発展パラダイムを支える存在だと強調しました。
そのうえで、次のような課題を挙げています。
- 関税や物流だけでなく、ルールや制度を含めた制度開放の推進
- 世界中から人材を引きつける、より開かれた人材制度の整備
- 行政改革を通じた、市場志向・法治・国際水準のビジネス環境づくり
2018年以降、海南省では7万人を超える高水準の専門人材を認定してきました。また、ビジネス環境の改善に向けて80本以上の地方法規を制定・改正しています。観光、現代サービス、ハイテク、熱帯農業という4つの柱となる産業が域内総生産(GDP)の約7割を占めるまでに成長しており、産業構造の高度化が進んでいることがうかがえます。
国際物流と金融サービスで広がる効果
海南の開放は国内にとどまらず、国際貿易にも具体的な効果をもたらしています。新たに開設された洋浦(ヤンプー)-チャンカイ航路により、海南産のティラピア(白身魚)は南米へより速く輸送できるようになり、ペルー産アボカドはこれまでより新鮮で手ごろな価格で中国市場に届くようになりました。
また、多機能の自由貿易口座(EF口座)の導入により、クロスボーダーの資金決済が一段と円滑になっています。中国(海南)改革発展研究院の匡賢明副院長は、近日始まる税関運営の全面開始によって、海南が中国-ASEAN協力の戦略的ハブとしての役割をさらに強めると見ています。
広東省:改革開放を先導する「パイロットゾーン」
広東省は、改革開放の最前線として長く位置づけられてきました。中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)後、習主席が国内視察の最初の訪問先として選んだのも広東省でした。
習主席は広東省を、改革開放のペースセッターであり、パイオニアであり、パイロットゾーンだと位置づけ、第15次五カ年計画においても先頭に立ち、模範を示し、重要な役割を果たすよう求めました。
粤港澳大湾区と「新質生産力」の育成
広東省に対しては、次のような方向性が示されています。
- 高品質発展のための改革と対外開放のいっそうの深化
- 広東-香港-マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)の一体的な発展の着実な推進
- 技術革新と産業革新の融合を通じた新たな質の生産力の育成
- 国際競争力を備えた現代的な産業体系の構築
ここでいう新たな質の生産力とは、デジタル技術や高度製造業など、技術と産業が一体となって生み出される新しいタイプの生産力を指す概念と理解できます。広東省には製造業とイノベーションの集積があり、その強みをいかに次の段階の成長につなげるかが焦点となっています。
数字で見る広東の開放力
広東省の経済のダイナミズムは、最新のデータにも表れています。2024年の広東省の対外貿易額は9.11兆元(約1.3兆ドル)となり、前年から9.8%増加しました。これは、中国全体の貿易成長の約39%を同省が押し上げた計算になります。
2024年1〜9月には、新たに2万4,000社の外資系企業が設立され、前年同期比33.7%増となりました。累計の外資系企業数は36万社を超え、実際に利用された外資額は6000億ドル以上に達しています。
2024年に開催された粤港澳大湾区グローバル投資促進大会では、BASF、エクソンモービル、ファイザー、パナソニック、テスラ、P&Gなど世界的な企業が参加し、総額2.26兆元にのぼる1,933件のプロジェクトに調印しました。グレーターベイエリアが依然として世界の投資家にとって魅力的な投資先であることを示す象徴的なイベントとなりました。
「改革・開放」は過去のスローガンではなく、未来のエンジン
第15次五カ年計画の策定が視野に入るなか、中国はあらためて、改革と対外開放を自らの将来を切り開く長期的なエンジンとして位置づけています。海南自由貿易港の全面稼働と広東省の高度な産業・貿易基盤は、その両輪といえる存在です。
海南は制度開放と国際物流・金融のハブとして、広東省はイノベーションと製造業の集積地として、それぞれ役割を分担しつつも相互に補完する形で、高水準の開放と高品質発展を支えています。
改革・開放を過去の成功体験として振り返るのではなく、次の五カ年計画に向けてどのようにアップグレードしていくのか。中国の動向は、アジアや世界の経済・ビジネスにとっても、今後いっそう無視できないテーマになっていきそうです。
Reference(s):
How China's high-standard opening up fuels high-quality development
cgtn.com








