世界インターネット大会烏鎮サミット閉幕 AIとデジタル未来はどこへ
2025年世界インターネット大会・烏鎮サミットが7日、中国浙江省烏鎮で閉幕しました。AIとデジタル経済、インターネットガバナンスの最新動向が議論され、グローバルなサイバースペース共同体に向けた新たな青写真が描かれました。
本記事では、日本語で国際ニュースを追う読者に向けて、サミットのポイントと世界のAI・インターネットをめぐる現在地をコンパクトに整理します。
1,600人超が参加した国際会議の熱気
2025年の烏鎮サミットは、オープンで協力的かつ安全で包摂的なデジタル・インテリジェントな未来の構築をテーマに開催されました。130以上の国と地域から約1,600人の参加者が集まり、デジタルと知能化の未来像を議論しました。
併催されたインターネットの光博覧会では、100を超えるインタラクティブな展示が行われ、1日で1万7,000人以上が来場しました。生成AI、スマート製造、デジタル医療など、現場で体験できるデジタル技術が来場者の関心を集めました。
24の分科会で5分野を議論
会期中には24のサブフォーラムが開かれ、次の5つの分野で多様な成果文書や報告書が発表されました。
- 開発と協力
- 技術と産業
- 人文と社会
- ガバナンスと安全保障
- 人工知能(AI)
これらの分科会を通じて、デジタル技術を成長と包摂のエンジンとしつつ、サイバーセキュリティや格差是正などの課題にどう向き合うかが共有されました。
2つのブルーブックが示すAIシフト
今回特に注目を集めたのが、中国インターネット発展報告2025と世界インターネット発展報告2025という2つのブルーブックです。9年連続で発行されているこのシリーズは、インターネットとデジタル経済の動向を総括する基礎資料になりつつあります。
中国のAI: 実体経済との深い融合
中国インターネット発展報告2025は、AIが中国の実体経済との統合を加速させていると指摘します。特に次のような点が強調されています。
- 大規模AIモデルは、精度だけでなく推論効率(どれだけ速く、低コストで動くか)を重視する段階に入っている
- 中国は世界のAI特許の約6割を保有しているとされ、研究開発からビジネス応用まで裾野が広がっている
- 製造、物流、金融など幅広い産業で、AI導入による高度化が進んでいる
AIが社会インフラや産業プロセスに組み込まれることで、研究室の技術から産業の当たり前へと移行しつつある姿が浮かび上がります。
世界のAI: マルチモーダルとエンボディドAI
世界インターネット発展報告2025は、グローバルなAI開発の最前線として、マルチモーダル大規模モデルとエンボディド・インテリジェンス(身体性を伴う知能)を挙げています。
- マルチモーダル大規模モデル: 文章、画像、音声、動画など複数のデータ形式を同時に扱えるAIモデル
- エンボディド・インテリジェンス: ロボットや自律機械など、物理的な身体を持つシステムにAIを組み込んだ知能
こうした技術は、製造業や医療など、現場での判断と行動が求められる分野で重要性を増しています。例えば、ショート動画プラットフォーム大手のクアショウ・テクノロジーは、映画やドラマ並みの映像を自動生成できるKling 2.5 Turboというサービスを発表し、AIの応用範囲がコンテンツ制作にも一気に広がりつつあると強調しました。
同社の馬宏斌・総裁は、AIが単なる技術的ブレークスルーの段階を越え、大規模な応用イノベーションの段階に入りつつあると述べ、技術と産業の深い融合が高品質な成長を後押ししていると指摘しました。
AIガバナンス: 便利さと安全をどう両立するか
世界インターネット発展報告2025は、AI規制とガバナンスが依然として国際社会の核心的課題であると強調しました。国境を越えて使われるAIを、安全で信頼でき、持続可能な形で人類全体の利益につなげるためには、各国と地域の協力が不可欠だとしています。
具体的には、次のような論点が挙げられています。
- AIによる差別や誤情報、プライバシー侵害をどう防ぐか
- イノベーションの速度を損なわずに、リスクを管理するルールをどう設計するか
- 異なる法制度や価値観を持つ国や地域の間で、どこまで共通の原則を作れるか
今回の烏鎮サミットは、こうした課題について対立ではなく協調を前提に議論する場としての役割を強めたといえます。
日本の読者・企業にとっての示唆
日本の読者にとって、2025年世界インターネット大会・烏鎮サミットのポイントは次の3つに整理できます。
- AIの重心は研究から産業応用へ
製造、医療、コンテンツなど、既存産業の競争力を左右する技術としてAIが位置づけられています。 - 国・地域ごとのルール作りが加速
AIガバナンスをめぐる国際的な議論が進むほど、日本の政策や企業戦略も、その影響を受けやすくなります。 - アジア発のデジタル動向を押さえる重要性
インターネットとAIの議論の場がアジアに根付きつつあることは、日本にとっても連携や対話の機会を広げる可能性があります。
AIとデジタル技術は、日常生活からビジネス、政治まで、あらゆる領域に浸透しつつあります。2025年12月8日現在、烏鎮サミットが示したのは、技術とルールをどうバランスさせるかが、これからのインターネット時代の競争力を左右するという現実です。
ニュースを追いながら、自分たちの社会でどのようなAIの使い方とルールを望むのか、身近なレベルで考えてみることが求められています。
Reference(s):
World Internet Conference Wuzhen Summit ends with major achievements
cgtn.com








