医療AIが開く新時代 北京大学専門家が語る「第4次産業革命」 video poster
人工知能(AI)が医療の姿をどう変えていくのか。そのヒントが、土曜日に北京で開かれた北京フォーラムで語られました。北京大学医学部(Peking University Health Science Center)副学長であり、北京大学国際病院の院長を務めるLiu Xiaoguang(リウ・シャオグアン)氏は、AIを医療における「第4次産業革命」と位置づけ、そのインパクトを強調しました。
北京フォーラムで示された「第4次産業革命」像
Liu氏はフォーラムで、AIは医療分野を変革する新たな産業革命だと指摘しました。単なる診断支援ツールにとどまらず、医療システム全体のあり方そのものを組み替える力があるという見方です。
国際ニュースとしても注目されるのは、この変化が特定の病院や都市だけでなく、社会全体の健康の捉え方に波及していく、という点です。
治療中心からライフサイクル医療へ:AIとビッグデータ
Liu氏が特に強調したのが、医療の重点が「治療中心」から、人の一生を通じた「ライフサイクル医療」へと移りつつあるという変化です。この変化を支えているのが、AIとビッグデータだと述べました。
ライフサイクル医療とは、次のような要素を一体として捉える考え方です。
- 病気になる前の予防
- 発症後の診断・治療(セラピー)
- 治療後のリハビリテーション
- その後の長期的な健康管理
AIとビッグデータを組み合わせることで、これらをばらばらではなく、連続した一つのプロセスとして設計しやすくなります。Liu氏は、こうした統合的なアプローチこそが、新しい医療の姿だと述べています。
精密で低侵襲な手術を支えるAI技術
AIがすでに大きな効果を上げつつある領域として、Liu氏は手術の安全性向上を挙げました。精密な医療技術と、身体への負担を小さくする低侵襲(ていしんしゅう)技術の進歩に、AIが重要な役割を果たしているといいます。
AIが膨大な医療データや画像を解析することで、より正確な術前計画や、術中の判断支援が可能になり、手術の精度や効率が高まります。その結果、患者の回復が早まり、医療現場の負担軽減にもつながると期待されています。
病院の外にも広がるAI:患者と家族をエンパワー
医療AIの影響は、病院の中だけにとどまりません。Liu氏は、インテリジェントシステム(知能的な情報システム)が、患者やその家族に健康・リハビリに関する知識を提供し、主体的な管理を後押ししている点にも触れました。
こうした仕組みによって、ちょっとした疑問や不安をすべて医療機関に頼らなくてもよくなり、人々が自分の健康状態をよりよく理解し、日常的にケアできるようになるとされています。その結果として、医療機関への過度な集中を和らげる効果も見込まれます。
ビッグデータが支える公衆衛生政策
Liu氏はさらに、AIがもたらす最大の変化の一つとして、健康データの大規模な収集と分析を挙げました。従来の方法では到底不可能だった規模とスピードでデータを処理できるようになることで、政策決定の質が大きく変わると述べています。
具体的には、公衆衛生や国民の幸福度に関する傾向を、より精密に把握できるようになります。政策担当者は、どの地域や年代にどのような健康ニーズがあるのかを、データに基づいて理解し、対策を打ちやすくなります。Liu氏は、こうしたデータ駆動型のアプローチによって、公共の福祉を高めることが可能になると強調しました。
AI医療時代に、私たちは何を考えるべきか
AIが医療を支える存在になっていく中で、私たちの健康との向き合い方も変わっていきそうです。予防からリハビリ、長期的な健康管理までを一つの流れとして捉える視点は、日本を含む多くの国と地域にとっても重要なヒントになりえます。
一方で、データの扱い方やプライバシー、AIの判断をどう位置づけるかといった議論も欠かせません。Liu氏の発言は、AIの可能性を示すと同時に、私たちに次のような問いも投げかけています。
- 自分の健康データを、どのような条件で預け、活用してもらうのか
- AIの助言と人間の医師の判断を、どうバランスさせるのか
- 予防や日常の健康管理に、どこまでデジタル技術を取り入れるのか
医療AIは、遠い未来の話ではなく、すでに現場で使われ始めている現実の技術です。今回の北京フォーラムでの議論は、国際ニュースとしてその動きを追うと同時に、自分自身の健康の守り方を考え直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
AI drives new era in healthcare, says Peking University expert
cgtn.com








