中国のシダでレアアース集積を発見 クリーンエネルギーに新たな一手
中国の研究チームが、あるシダ植物がレアアース(希土類元素)を体内にため込み、その内部で規則的な構造を自発的につくる現象を見つけました。クリーンエネルギーとハイテク産業を支える重要資源レアアースの新しい取得方法として注目されています。
シダ植物の体内で起きていたこと
2025年に国際学術誌Environmental Science & Technologyに掲載された論文によると、このシダは周囲の土壌からレアアースを取り込み、葉や茎などの組織の中で高濃度に集積していました。研究者らは、植物の組織内でレアアースが自己組織化し、固体の「相」と呼ばれる状態をつくる様子を観察しています。
このように、生物が体内で鉱物のような固体をつくる現象は、生体鉱物化(バイオミネラリゼーション)と呼ばれます。貝殻や骨などもその一種ですが、レアアースのような希少金属で同様の現象が確認されるのは珍しいケースといえます。
レアアースと現代のテクノロジー
レアアースは、風力発電や電気自動車の高性能モーター、スマートフォン、光学機器など、多くのクリーンエネルギー技術やハイテク製品に欠かせない金属です。その一方で、採掘や精錬の過程で環境への負荷が大きく、資源が特定の地域に偏っていることから、供給をめぐる地政学的なリスクも指摘されています。
こうした背景から、環境への影響を抑えながらレアアースを安定的に確保する方法を探ることは、各国のエネルギー政策や産業戦略にとって重要なテーマになっています。
新しい資源戦略となるか
今回の発見は、植物を利用してレアアースを回収するという、新しい資源戦略の可能性を示しています。たとえば、レアアースを含む土壌にこのシダを植え、成長した植物から金属を取り出す「ファイトマイニング(植物採鉱)」のような利用イメージが描かれています。
環境負荷やリスクを考えると、次のような点が議論されています。
- 採掘に比べてエネルギー消費や廃棄物を減らせる可能性
- 低品位の鉱石や汚染土壌からのレアアース回収への応用
- クリーンエネルギー技術に必要な金属の供給源を多様化できる可能性
シダ植物の体内で見つかった自己組織化したレアアース構造は、こうした応用のための基礎的なメカニズムを理解するうえで重要な手がかりになります。
今後の課題と私たちへの問い
もちろん、植物を使ったレアアース回収がすぐに実用化されるわけではありません。どれだけの量を効率よく集められるか、生態系への影響をどう抑えるかなど、多くの検証が必要です。
それでも、自然のしくみを利用して資源と環境の両立を目指そうとする今回の研究は、クリーンエネルギー時代の資源のあり方を考え直すヒントを与えてくれます。レアアースのような見えにくい素材の裏側で、どのような技術と選択が進んでいるのか。日々使うスマートフォンや家電を手に取りながら、一度立ち止まって想像してみる価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








