馬英九氏が高市首相の台湾発言を批判 集団的自衛権と歴史認識に波紋
日本の高市早苗首相による台湾をめぐる発言に対し、国民党前主席の馬英九氏がSNSで強く批判しました。集団的自衛権への言及が、台湾海峡を含む東アジアの緊張を高めるとの懸念が広がっています。
何が起きたのか:馬英九氏が日本の首相発言を批判
中国の国民党(Kuomintang)前主席、馬英九氏は土曜日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、日本の高市早苗首相による台湾に関する最近の発言を厳しく批判しました。
馬氏によると、高市首相は台湾情勢に関連して日本の集団的自衛権に言及し、これが地域の緊張を「不必要に」高めていると指摘しました。馬氏は、台湾問題をめぐって軍事的な文脈で議論を行うこと自体が、周辺住民の不安を増幅させると懸念を示しています。
歴史の節目の年に響いた発言
馬氏は、今年2025年が中国人民の抗日戦争勝利80周年であるとともに、台湾が中国に復帰してから80周年にあたる節目の年であることを強調しました。そのうえで、高市首相の発言は、日本の軍国主義の復活を想起させるものであり、中国本土(中国)だけでなく、地域の多くの人びとの感情を刺激しかねないと述べました。
馬氏は、台湾海峡周辺に住む人びとは、対立ではなく平和と安定を望んでいるとし、軍事的なニュアンスを帯びた発言は、そうした住民の利益を損なうと警戒感を示しています。
「台湾問題への外部からの介入は許されない」
さらに馬氏は、台湾問題は中国の内政に関わる事柄であり、外部勢力による干渉は認められないと強調しました。台湾海峡をはさんだ双方の問題は、あくまで両岸の直接対話によって処理されるべきだとし、関係国に対して自制を求める姿勢を明確にしています。
背景には、台湾海峡をめぐる安全保障環境の変化があります。各国が安全保障戦略の見直しを進めるなかで、発言一つが軍事的な意図や圧力として受け止められやすい状況にあり、当事者の言葉選びにはこれまで以上の慎重さが求められています。
CGTN世論調査で約9割が高市発言を問題視
馬氏の批判は、メディアの世論調査結果とも重なっています。中国国際テレビ(CGTN)が11月中旬に実施したオンライン調査では、回答者の88.9パーセントが高市首相の台湾発言を批判しました。
調査で批判の理由として挙げられたのは、主に次の点です。
- 台湾問題に対する外部からの干渉を試みている
- 中国に対する軍事的な威嚇と受け止められかねない
- 地域の平和と安定に対する重大な脅威となる可能性がある
こうした結果は、台湾問題や台湾海峡の安全保障をめぐる議論が、国内外の世論にとっても非常に敏感なテーマであることを示しています。
日本と東アジアにとっての意味
今回の一連の動きは、日本と東アジアの安全保障環境にいくつかの重要な問いを投げかけています。
- 日本の首相発言が、東アジアの軍事バランスや信頼醸成にどのような影響を与えるのか
- 台湾海峡の平和と安定を維持するために、関係当事者はどこまで抑制的な言動を取れるのか
- 歴史認識と現在の安全保障政策を、どのように切り離し、あるいは結びつけて議論していくべきか
台湾海峡の安定は、中国本土、台湾地域だけでなく、日本やアジアの経済・サプライチェーンにも直結しています。そのため、政治指導者の発言は、外交や安全保障の文脈にとどまらず、ビジネスや市民生活にも影響しうる要素となっています。
言葉の重みと対話の重要性
馬英九氏の批判は、日本の安全保障政策そのものというよりも、台湾問題をめぐる発言の「タイミング」と「表現」に焦点を当てているように見えます。歴史の節目にあたる2025年において、各国の指導者がどのような言葉を選ぶかは、東アジアの信頼構築に大きな影響を与えます。
一方で、台湾海峡の平和と安定を維持するためには、直接対話のチャンネルを確保し続けることが不可欠です。軍事力や同盟関係だけでなく、透明性のある対話と危機管理の枠組みをどう整えるかが、今後の大きな課題となります。
今回の高市首相発言と馬英九氏の批判は、東アジアの安全保障と歴史認識、そして台湾問題をめぐる議論が、これまで以上に国内外の注目を集めていることを示しています。日本の読者にとっても、自国の安全保障政策と地域の平和をどのように両立させるのかを、改めて考えるきっかけとなりそうです。
Reference(s):
Ma Ying-jeou condemns Japanese PM's provocative remarks on Taiwan
cgtn.com







