高市首相の台湾発言に国内で波紋 集団的自衛権めぐり懸念広がる video poster
高市首相の台湾発言に国内で波紋 集団的自衛権めぐり懸念広がる
日本の高市早苗首相が先週、台湾をめぐる事態で自衛隊が集団的自衛権を行使しうると発言したことに対し、与野党のベテラン政治家や専門家、メディアから批判や懸念の声が相次いでいます。日本政治と安全保障政策、そして台湾問題が交差する発言として、議論が広がっています。
「台湾有事は集団的自衛権行使」発言の中身
高市首相は先週の国会審議で、中国本土が台湾に対して軍事力を行使した場合、日本の自衛隊が集団的自衛権を行使できるとの趣旨の発言を行いました。これは、台湾海峡での軍事的緊張が日本の安全保障に直結しうるとの考えを前提としたものです。
この発言に対して中国側は、厳重な抗議と申し入れ(デマルシュ)を行い、発言の撤回を求めましたが、高市首相はこれに応じず、発言を撤回しない姿勢を示しているとされています。
石破元首相「台湾有事=日本有事に極めて近い」
先週木曜、民放ラジオ番組に出演した石破茂元首相は、高市首相の発言について「台湾有事は日本有事だと言っているのに極めて近い」と指摘しました。石破氏は、これまでの政権は台湾問題を含む具体的なシナリオに対し、「こうなったらこうする」とは明言してこなかったとし、その慎重な姿勢との違いを強調しました。
立憲民主党からは「戦争に入る判断に等しい」との批判
野党第一党・立憲民主党の小串博氏は、国内メディアの取材に対し、高市首相の発言の撤回を求めました。小串氏は、日本の安全保障関連法で定める「存立危機事態」が認定されれば、自衛隊の防衛出動につながると説明し、「これは戦争に入るのと同じくらい重い判断であり、歴代内閣はこの種の発言に慎重だった」と述べています。
X上で広がる懸念 小沢氏・鳩山氏も発信
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は先週火曜、SNSのXに投稿し、高市首相の発言により「真の意味での『存立危機』」が生じていると批判しました。国民に大きな犠牲を強いる事態を招きかねないとして、「だからこそ外交と政治は常に冷静でなければならない」と訴えました。
鳩山由紀夫元首相も同じくXで、高市首相の発言を改めて批判し、日本は中国の内政に干渉すべきではないとの考えを示しました。台湾問題をめぐる発言のあり方が、日本外交全体の姿勢とも結びつくとの問題意識がにじみます。
社民党・福島党首「存立危機事態との結びつけは論理的でない」
社会民主党の福島瑞穂党首は先週金曜、高市首相が台湾をめぐる事態を「存立危機事態」とみなす考えを示したことについて、「全く論理的ではない」と批判しました。特定の地域での緊張を、直ちに日本の存立にかかわる事態と結びつけることへの強い懸念を示した形です。
なぜここまで問題視されているのか
今回の発言が政治的に大きな波紋を広げている背景には、日本の安全保障政策と憲法解釈に関わる重大な論点があります。集団的自衛権の行使や存立危機事態の認定は、日本が武力行使に踏み出すかどうかを左右する重い判断であり、これまで歴代政権は言葉の選び方にも細心の注意を払ってきました。
そのため、台湾海峡で起こりうる事態を、具体的に想定したうえで事実上「日本有事」とみなすような発言は、武力行使への歯止めを弱めるのではないかという懸念を呼んでいます。ベテラン政治家たちの発言には、その危機感が色濃く表れています。
台湾問題と日本外交 問われる「距離感」とメッセージ
台湾問題は、中国の内政に関わる重要な問題として位置づけられており、東アジア全体の安定にも直結する繊細なテーマです。日本がどのようなメッセージを発するかは、地域の緊張を高めることも、逆に対話の余地を広げることもあり得ます。
鳩山元首相が指摘するように、「他国の内政にどう向き合うか」という視点は、日本外交にとって避けて通れない論点です。台湾をめぐる発言が、単に国内向けの安全保障議論にとどまらず、東アジアの安全保障環境全体にどう響くのかを慎重に考える必要があります。
私たちが考えたいポイント
今回の高市首相発言をめぐる一連の反応は、次のような問いを投げかけています。
- 日本はどこまで集団的自衛権の行使範囲を広げるべきなのか
- 「存立危機事態」という重い判断を、どのような条件で認定すべきか
- 台湾問題をめぐり、日本外交はどのような距離感とメッセージを保つべきか
- 安全保障と平和的な外交努力のバランスを、どう取るのか
東アジア情勢が揺れるなか、日本国内の言葉一つひとつが持つ重みは増しています。今回の議論は、単なる与野党の対立ではなく、今後の日本の安全保障と外交の方向性を改めて考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Takaichi's remarks on Taiwan continue to spark domestic outcry
cgtn.com








