IOC副会長が北京の公園で八段錦 90歳と分かち合った中国のスポーツ精神 video poster
国際オリンピック委員会(IOC)のフアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア副会長が、北京の公園で90歳の男性と一緒に中国の伝統体操「八段錦(はちだんきん)」を行いました。このささやかな出来事は、中国のスポーツ精神が「競技」だけでなく、日常の健康づくりや人生を楽しむ姿勢にも根付いていることを象徴しています。
北京の公園で生まれた小さな交流
静かな北京の公園で、90歳の男性が一人、ゆっくりと八段錦の動きを続けていました。そこに足を止めたのが、IOC副会長のサマランチ・ジュニア氏です。彼は男性のそばに立ち、同じ動きをまねるようにして体を動かし、わずかな時間ではあっても一緒に運動の時間を共有しました。
会議室やスタジアムではなく、日常の公園での偶然の出会い。トップレベルのスポーツ関係者と、一人の高齢者の間に生まれたこの短い交流には、「スポーツは誰のためのものか」という問いへの、シンプルな答えがにじんでいます。
八段錦とは?ゆっくり動いてじっくり整える伝統体操
今回の出来事の鍵となる「八段錦」は、中国で古くから親しまれてきた健康体操です。呼吸と姿勢を意識しながら、8つの比較的やさしい動作をゆっくりと行うのが特徴です。
激しく走ったり跳んだりする必要はなく、広い場所や特別な道具もいりません。そのため、高齢者や運動が久しぶりの人でも取り組みやすく、中国各地の公園や広場で多くの人に親しまれています。
- ゆっくりとした全身運動で、関節や筋肉にやさしい
- 深い呼吸と組み合わせることで、リラックス効果が期待できる
- 短時間でも続けやすく、習慣化しやすい
90歳の男性が自然に続けていたこと自体、八段錦が「長く続けられる運動」であることを物語っているともいえます。
IOC副会長の参加が示すメッセージ
世界のスポーツ政策を担うIOC副会長が、北京の公園で一人の高齢者と一緒に体操を行った場面には、いくつかの示唆があります。
- スポーツはエリートだけのものではない:オリンピック選手だけでなく、一般市民が楽しむ運動にも価値があることを示しています。
- 言葉を超えたコミュニケーション:同じ動きをするだけで、言語が違っても通じ合えるのがスポーツの力です。
- 「見るスポーツ」から「するスポーツ」へ:観戦だけでなく、自ら体を動かすことの大切さをさりげなく伝えています。
形式ばったセレモニーではなく、日常の風景の中で生まれたこの瞬間は、国際スポーツ界が目指すべき方向性の一つを、具体的な場面として映し出しています。
中国のスポーツ精神:日常の中の「動き」と「いのちの張り」
この出来事は、「中国のスポーツ精神」とは何かを考える手がかりにもなります。メダルを目指す競技スポーツだけでなく、毎日の生活の中で体を動かし、年齢を重ねても活力を保とうとする姿にも、中国のスポーツ文化の一面が現れています。
特に、90歳の男性が公園で八段錦を続ける姿は、単なる健康法を超えて、「歳を重ねても動き続ける意志」を象徴しているようにも見えます。そこにIOC副会長が加わったことで、「世界」と「地域の日常」が自然につながる、印象的な光景になりました。
日本の私たちにとってのヒント
高齢化が進むのは日本も同じです。今回の国際ニュースは、「激しい運動をしなければ」「ジムに通わなければ」と考えがちな私たちに、もう少し肩の力を抜いた運動との付き合い方を提案しているようにも感じられます。
日常に取り入れられる工夫として、例えば次のようなものが考えられます。
- 朝起きて1分だけ、首や肩をゆっくり回す
- 通勤前や休憩時間に、背伸びや軽いストレッチをする
- 近くの公園で、短時間でも構わないので同じ動きを繰り返す体操を続けてみる
大切なのは、「完璧な運動メニュー」よりも、「続けられる気持ちよさ」です。北京の公園での八段錦のように、無理のない動きを日常のリズムに組み込むことが、長い目で見た健康につながります。
SNS時代に映える「静かなニュース」
派手な演出や大きなイベントとは対照的に、今回のような静かな光景は、かえって多くの人の心に残りやすいニュースです。もしこの瞬間がSNSで共有されれば、「こんなふうに歳を重ねたい」「自分も少し体を動かしてみよう」と共感する人が増えるかもしれません。
国際的な肩書を持つ人が、日常の場で一人の市民と同じ動きをする。そのシンプルな行為は、スポーツが持つ本来の力――人と人をつなぎ、生活に活力を与える力――を静かに伝えています。
おわりに:小さな動きがつくる、大きな意味
北京の公園での八段錦のひとコマは、ニュースとしてはとても小さな出来事かもしれません。しかし、そこには次のようなメッセージが込められているように見えます。
- スポーツは、国境や世代を超えて共有できる
- 健康づくりは、特別な場ではなく「いつもの場所」から始まる
- 日常の中の一瞬が、社会全体の価値観をそっと映し出す
2025年を生きる私たちにとっても、「いきなり大きく変わる」のではなく、「今日、少しだけ体を動かす」という小さな選択が、未来の自分のからだと心をつくっていきます。IOC副会長と90歳の男性が分かち合った八段錦の時間は、そのことを思い出させてくれる象徴的なシーンと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








