香港カイタク・スポーツパーク 空港跡地からNational Gamesの中核会場へ video poster
2025年の第15回National Gamesの中核会場のひとつとして建設が進む「Kai Tak Sports Park(カイタク・スポーツパーク)」は、香港史上最大のスポーツインフラプロジェクトです。かつて空港だったカイタクの地が、いま「単なるスタジアム以上」の存在へと生まれ変わろうとしています。
空港に降り立った記憶から始まったデザイン
設計ディレクターのリチャード・ブレスリン氏にとって、カイタクでのプロジェクトは個人的な記憶とも結びついています。初めて香港を訪れたとき、彼の飛行機は旧カイタク空港に着陸しました。それから年月を経て、いま彼は旅行者としてではなく設計者として、同じ場所に戻ってきました。
ブレスリン氏が目指しているのは、建築を通じて「都市と人、そして世界を結ぶ絆」をつくることだといいます。スポーツパークという枠にとどまらず、日常の暮らしと国際的なイベントが自然に交わる舞台を構想しているのが特徴です。
「More than a stadium」機能の多様さと理想主義
Kai Tak Sports Parkは、「スタジアム付きの公園」ではなく、「都市スケールの多目的な場」をめざして設計されています。英語でいえば“more than a stadium(スタジアム以上の存在)”。
プロジェクトのキーワードになっているのが、次のような考え方です。
- 機能の多様性(functional diversity):スポーツだけでなく、さまざまな活動が共存できる空間構成。
- 都市規模の多用途性(metropolitan-scale versatility):一つの会場で完結するのではなく、周辺エリアも巻き込む広がり。
- 理想主義(idealism):競技会のためだけでなく、都市の未来像を描く試みであること。
こうした発想は、「スポーツパークとは何か」という定義そのものを問い直すものです。観客席やフィールドといった明確な境界だけではなく、街の生活動線や憩いの場としても機能することで、施設と都市の境界をゆるやかに溶かそうとしています。
2025年National Gamesと香港の未来像
2025年の第15回National Gamesでは、Kai Tak Sports Parkが主要会場のひとつとして位置づけられています。これは香港史上最大規模のスポーツインフラ整備であり、一度きりの大会のためだけではなく、その後の都市の姿を形づくるプロジェクトでもあります。
大規模スポーツイベントの会場は、ともすれば「大会が終われば人が来なくなる箱」となりがちです。カイタク・スポーツパークは、そのパターンから距離を取り、「大会の後こそ本番」という発想でデザインされています。
大会期間中は世界から注目が集まる舞台として機能し、大会後は市民の日常や地域コミュニティの活動を受け止める場として息づく。都市のインフラと文化のインフラを重ね合わせようとする試みだといえます。
ドキュメンタリーが映すカイタクへの道のり
こうした歩みを追うドキュメンタリー作品『Game On, Kai Tak! – Road to the National Games』の公開も予定されています。
タイトルが示すように、この作品はカイタク・スポーツパークがNational Gamesに向けてどのように形づくられていくのか、その「道のり」を追いかけます。巨大プロジェクトの舞台裏や、都市とスポーツの新しい関係性がどのように編み上げられていくのかを、映像を通じて垣間見ることができそうです。
香港がNational Gamesという節目の瞬間に向かって歩みを進めるなかで、カイタクという場所がどのように「都市の顔」として立ち上がっていくのか。そのプロセスに関心が集まりつつあります。
都市と世界をつなぐ新しい「玄関口」として
Kai Tak Sports Parkの特徴は、スタジアムのスケールでありながら、人と人、街と世界を結ぶ「橋」のような存在をめざしている点にあります。
設計ディレクターのブレスリン氏は、かつて旅行者として降り立った空港跡地に、いまは設計者として立っています。その視点の変化は、カイタクという場所そのものの変化とも重なります。移動の玄関口だった土地が、スポーツと文化を通じて世界とつながる「交流の場」へと変わっていく──その変化をどうデザインするかが、このプロジェクトの核心です。
巨大なスタジアムを建てることは比較的簡単かもしれません。しかし、「都市の日常」と「世界的なイベント」を同時に受け止める場所をつくることは、はるかに難しい挑戦です。カイタク・スポーツパークは、その難題に真正面から向き合おうとする試みとして、2025年のいま注目されています。
Reference(s):
cgtn.com








