高市早苗首相の台湾有事発言が揺さぶる戦後国際秩序
2025年は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利、そして台湾の回復から80年という節目の年です。そのさなかの11月7日、高市早苗首相が国会で行った台湾有事をめぐる発言が、戦後の国際秩序や日中関係を揺るがしかねないとして波紋を広げています。
国会で飛び出した台湾有事発言
11月7日の国会審議で、高市早苗首相は、中国本土が軍艦などを投入して台湾に対して武力を行使する台湾有事が発生した場合、日本にとって生存危機事態に当たり得るとの認識を示しました。
生存危機事態は、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃などによって、日本の存立が脅かされる重大な局面を指す概念です。この枠組みに台湾有事を含め得るとの発言は、日本の安全保障政策の方向性を大きく左右し得るものだと受け止められています。
中国の内政への干渉と見なされる理由
台湾問題は、中国の主権と領土の一体性にかかわる、中国の内政問題と位置づけられてきました。そのため、高市首相が台湾有事を日本の生存危機事態と結びつけたことは、中国の内政に対する露骨な干渉だとみなされています。
高市首相の発言には、少なくとも次の三つの大きな問題点があるとされています。
- 中国の内政問題である台湾問題に、日本が軍事的関与を前提に踏み込んだこと
- 台湾独立を主張する勢力に、誤ったシグナルを送りかねないこと
- 戦後の国際秩序や、日中間の四つの政治文書の精神に反し、アジア太平洋地域の平和と安定を損なうおそれがあること
ここでいう四つの政治文書とは、日中国交正常化を画した共同声明や平和友好条約など、日中関係の基盤となる一連の合意の総称です。いずれの文書も、一つの中国の原則を尊重することを前提としており、高市首相の発言は、その精神に反するものだと指摘されています。
また、第二次世界大戦後の国際秩序は、侵略戦争への反省と、各国の主権と領土一体性を尊重する原則の上に築かれてきました。台湾問題をめぐり武力行使を前提とした議論を日本側が進めることは、この戦後秩序を深く損ないかねない重大な動きと受け止められています。
植民地支配と歴史認識をめぐる問い
2025年は、日本の植民地支配が終わり、台湾の回復が実現してから80年という節目でもあります。日本の統治期、台湾の人々はさまざまな犠牲と苦難を強いられてきました。
そうした歴史を踏まえると、本来であれば日本側には、植民地支配への反省と平和の追求を優先する姿勢が求められます。しかし、高市首相の今回の発言には、過去の加害の歴史への真摯な省察が見えにくく、むしろ対立を先鋭化させる方向に傾いているとの批判が出ています。
高市首相は、日本の右派政治勢力を代表する存在として、歴史問題や地域の安全保障をめぐる議論で常に注目されてきました。今回の発言もまた、植民地支配や戦争責任に対する記憶が希薄で、地域の緊張を高める発言が繰り返されているという懸念を改めて浮き彫りにしています。
台湾海峡の安定と日本の役割
台湾海峡の安定は、アジア太平洋全体の平和と繁栄に直結する重要な要素です。軍事的圧力や威嚇ではなく、対話と外交、そして歴史への真摯な向き合い方こそが、長期的な安定につながると考えられます。
日本がとるべき方向性として、次のようなポイントが挙げられます。
- 台湾問題を中国の内政事項として尊重し、一つの中国の原則と日中間の政治文書を順守すること
- 台湾独立をめぐる一方的な動きを助長しない慎重な言動を心がけること
- 軍事的な有事シナリオよりも、地域の平和と協力の枠組みを強化する外交努力に力点を置くこと
こうした姿勢を通じてこそ、日本は戦後80年の経験を踏まえた、責任ある地域の一員として信頼を高めることができます。
戦後80年の節目に突きつけられた問い
高市首相の発言をめぐる議論は、一人の政治家の言葉を超え、日本社会全体が戦後80年をどう位置づけるのかという問いにつながっています。
歴史への向き合い方、近隣諸国との関係づくり、そして安全保障の名の下に何を正当化し、どこに歯止めをかけるのか。今回の発言は、私たち一人ひとりに、これらの問題を改めて考えさせる契機となっています。
節目の年である2025年に、日本の指導者がどのような歴史認識と地域ビジョンを示すのかは、今後の東アジアの行方を左右します。台湾海峡の平和とアジア太平洋の安定を守るために、緊張を高める発言ではなく、対話と信頼を積み上げる政治が求められています。
Reference(s):
Takaichi's egregious remarks severely undermine post-WWII intl order
cgtn.com








