Nature Index 2025:世界の科学都市トップ10で中国勢が過半数に
世界の科学研究の「地図」が、静かに塗り替わりつつあります。英科学誌ネイチャーの指標「Nature Index 2025 Science Cities」によると、世界の科学都市ランキング上位10都市のうち、初めて6都市を中国の都市が占めました。2016年から首位を維持している北京は、2024年時点でも世界の「トップ科学都市」の座を守っています。
Nature Index 2025 Science Citiesとは
「Nature Index」は、主要な学術誌に掲載された研究論文をもとに、国や都市、研究機関の研究力を可視化する指標です。今回公表された「Nature Index 2025 Science Cities」では、2015年から2024年に発表された論文データをもとに、世界の科学都市を比較しています。
評価の中心となる指標は「Share(シェア)」と呼ばれる数値です。これは、1本の論文を共著機関の数で割り、それぞれの機関の貢献度を「持ち分」として割り当てたものです。各都市のスコアは、その都市に所在するすべての研究機関のShareを合計して算出されています。時系列データは2024年水準に調整されており、最新の動向が反映されています。
トップ10の顔ぶれ:中国の都市が多数を占める
最新のランキングで、世界の科学都市トップ10に入ったのは次の都市・都市圏です。
- 1位:北京(中国)
- 2位:上海(中国)
- 3位:ニューヨーク大都市圏(米国)
- 4位:ボストン大都市圏(米国)
- 5位:南京(中国)
- 6位:広州(中国)
- 7位:サンフランシスコ湾岸地域(米国)
- 8位:武漢(中国)
- 9位:ボルチモア〜ワシントン大都市圏(米国)
- 10位:杭州(中国)
2023年の時点ではトップ10のうち中国の都市は5つでしたが、2024年には6つに増加しました。ランキング上位10都市の過半数を中国の都市が占めるのは、今回が初めてです。
北京・上海はさらに伸長、米国勢はシェア減
首位の北京は、2023年から2024年にかけて調整済みShareが9.14%増加しました。すでに世界トップに立っている都市が、なおも伸び続けていることになります。
2位の上海はそれを上回る20%増と、研究成果の伸びが際立ちます。一方で、トップ10に入った米国の都市・都市圏全体のShareを合算すると、同じ期間に減少したと報告されています。
補足資料は「都市の動きは、中国がリードを広げる一方で、米国が地位を徐々に失いつつあるという、指数全体の広い傾向を反映している」と指摘しています。科学研究の重心が、長年の中心地であった米国から、多極化へと移りつつある様子がうかがえます。
分野別ランキングでも中国の都市が優勢
分野別に見ると、中国の都市は化学、物理科学、地球・環境科学の3分野で強さを発揮しています。いずれの分野でも、中国の都市が世界ランキングでトップクラスを占めました。
- 化学:トップ10の都市がすべて中国の都市に
- 物理科学:トップ10のうち6都市が中国の都市
- 地球・環境科学:こちらもトップ10のうち6都市が中国の都市
とくに北京は、この3分野すべてで世界1位となり、総合力だけでなく、基礎科学と環境関連分野の両方で突出した存在となっています。
世界の科学地図はどこへ向かうのか
科学都市ランキングは、単なる順位表ではありません。どの都市に研究者や投資が集まり、どこで次の技術革新が生まれやすいのかを示す「地図」としても読むことができます。
今回の「Nature Index 2025 Science Cities」は、少なくとも自然科学の分野において、中国の主要都市が世界の研究ネットワークの中でますます存在感を高めていることを示しました。同時に、米国の伝統的な研究都市も依然として上位にとどまりつつ、競争環境の変化に直面している様子が見てとれます。
アジアを含む世界の研究者や学生にとって、どの都市で学び、働き、どの都市と連携するかは、キャリアや研究テーマにも直結する選択です。科学都市の動きを追うことは、自分たちの未来の選択肢を考える手がかりにもなりそうです。
Reference(s):
Nature: China extends science lead with most high-ranking city hubs
cgtn.com







