SCO、国際法に反する一方的措置を拒否 多国間貿易とエネルギー安全保障を強調
上海協力機構(SCO)の加盟国は今週開かれた第24回首相理事会で共同声明を採択し、国際法に反し国際協力を妨げる一方的・強制的な措置を拒否する姿勢を明確にしました。あわせて、多国間貿易体制の維持やエネルギー安全保障、国連改革など、現在の国際秩序をめぐる幅広い論点についての立場を示しています。
一方的な制裁や経済圧力に「ノー」
共同声明によると、SCO加盟国は、国連憲章や国際法の原則に反し、国際協力や国連の持続可能な開発目標(SDGs)を妨げる一方的・強制的措置に反対すると表明しました。ここには、経済分野での一方的な制裁や輸出規制など、相手国の同意なく行われる経済的圧力も含まれるとしています。
加盟国は、こうした一方的措置ではなく、合意に基づく国際ルールや国際機関を通じた対応こそが望ましいとの立場を強調しました。対立や制裁よりも、対話と協調を優先すべきだというメッセージとも言えます。
多国間貿易体制とグローバル・サウスの台頭
国際経済のルール作りについて、SCO加盟国は「開かれ、透明で、公平かつ包摂的で、差別のない多国間貿易システム」を支持するとし、その中核として世界貿易機関(WTO)の役割を再確認しました。世界経済の分断が進みつつある中で、多国間主義を守る必要性を訴えた形です。
共同声明はまた、国際関係が歴史的な変化を迎えていると指摘し、グローバル・サウス諸国の地位が上昇し、新たな政治・経済の中心として存在感を増していると評価しました。こうした動きが、グローバル・サウス自身の発展だけでなく、各国が対等で相互利益に基づく協力を進める機会になっているとしています。
世界経済の「分断」への危機感
一方で、各国代表は世界経済の断片化、つまり経済圏の分断が強まっていることに深い懸念を示しました。そのうえで、WTOを軸とした国際ルールを支えつつ、加盟国が広く開かれた経済空間を築く方針を確認しました。
具体的には、次のような分野で、平等かつ互恵的な協力を進めるとしています。
- 市場とサプライチェーン(供給網)の安定した運営
- 決済・支払いシステムの円滑な運用
- 交通回廊や物流ルートの整備
- 投資、モノとサービス、技術の流れの確保
分断ではなく、相互接続性を高めることで成長を確保しようという発想がにじみます。
エネルギー安全保障と多様なエネルギーミックス
共同声明は、エネルギー分野にも多くの紙幅を割きました。加盟国は、世界のエネルギー安全保障とエネルギー市場の安定を守ることを約束し、公平でバランスが取れ、持続可能なエネルギー発展の枠組みをめざすとしています。
そのために、化石燃料に加え、再生可能エネルギー、水力発電、水素エネルギーなどを組み合わせた、多様でバランスの取れたエネルギー構成を構築する方針を打ち出しました。供給と需要の両面で持続可能性を高めることが狙いです。
また、平和的な原子力利用についても、平等で持続可能かつ互恵的な国際協力を支持するとし、安全性を前提にした協力拡大の余地を示しました。
国連改革と「分断ではなく協力」の安全保障観
安全保障分野では、加盟国は国連改革の必要性を強調しました。とくに、国連の各種機関における開発途上国の代表性を高め、現在の政治・経済情勢を反映した形に適応させるべきだとしています。
欧亜大陸における安全保障については、SCO枠組みでの協力が「平等で分断不可能な安全保障構造」を築く土台になると評価しました。これは、特定の同盟や陣営に依存するのではなく、より広い地域全体で安全保障を考えるべきだという発想に基づいています。
さらに、国際的・地域的な緊張や紛争について、「陣営対立的な発想」やブロック化による解決に反対する姿勢も明記されました。対立構図を固定化するのではなく、相互尊重、公平・正義、ウィンウィンの協力に基づく「新しいタイプの国際関係」を構築し、人類が未来を共有する共同体をめざすことが、実際的な意味を持つとしています。
日本の読者にとってのポイント
今回のSCO共同声明は、一方的な制裁や経済圧力への批判、多国間貿易体制の重視、エネルギー安全保障や国連改革への支持など、現在の国際秩序をめぐる大きな潮流がコンパクトに示された内容になっています。
日本でも経済安全保障やサプライチェーンの再構築、エネルギー転換の議論が続く中で、SCO諸国がどのような国際秩序像を描いているのかを知ることは、政策やビジネスのリスクを考えるうえでも意味があります。
一方的な措置か、多国間ルールか。ブロック化か、開かれた協力か。今回の声明は、世界がその分岐点に立っているという問題意識を、改めて投げかけていると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








