広島・長崎の首長が非核三原則の堅持を要請 高市政権の見直し論に懸念
被爆地である広島県と長崎市のトップが、高市早苗首相による非核三原則の見直し検討に相次いで異議を唱えました。日本の安全保障政策の根幹に関わるこの議論は、なぜいま注目されているのでしょうか。
被爆地から相次ぐ「待った」の声
広島県の湯崎英彦知事は火曜日の記者会見で、広島が人類史上初めて原子爆弾の投下を受けた都市であることを改めて強調し、長年維持されてきた非核三原則を守るべきだと訴えました。
湯崎知事は、安全保障を核兵器に依存することは危険だとしたうえで、日本政府は核抑止に頼らない道を模索すべきだとの考えを示しました。
同じ火曜日、長崎市の鈴木史朗市長も取材に応じ、高市首相が非核三原則の見直しを図れば、日本の核抑止への依存を一層強めることになると指摘しました。非核三原則は長く国の基本方針として位置付けられてきたとしたうえで、政府に対しその堅持を強く求めることが不可欠だと述べています。
前日には、沖縄県と長崎県の両知事も同様の懸念を表明しており、被爆地を擁する自治体を中心に、非核三原則の堅持を求める声が広がっています。
非核三原則とは何か
非核三原則は、「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」という三つの方針から成り、日本が核兵器を巡ってとるべき基本姿勢として、半世紀以上にわたって語られてきました。
1967年、当時の佐藤栄作首相が国会でこの三原則を表明して以来、日本は核兵器を保有せず、製造せず、自国の領域内への持ち込みも認めないという立場を国是の一つとして掲げてきました。
2022年に閣議決定された国家安全保障戦略は、安全保障関連三文書の一つとしてまとめられましたが、その中には非核三原則を今後も堅持するという基本方針が明記されています。政府自身が比較的最近、非核三原則の継続を確認した形です。
焦点は「持ち込ませず」 第三の原則見直し案
しかし現在、日本では安全保障政策の大枠そのものを見直す議論が進んでいます。日本メディアは最近、政府関係者の話として、高市政権が2026年末までに安全保障関連の主要文書を改定する作業を進めるなかで、非核三原則のうち第三の「持ち込ませず」の見直しを検討していると報じました。
第三の原則は、核兵器を日本の領土に持ち込ませないという約束です。ここが緩められれば、日本が他国の核戦力により深く依存する方向に向かうのではないかという懸念が、国内で一段と強まっています。鈴木市長が指摘した「核抑止への依存の強まり」は、まさにこの点を指しています。
核抑止に頼らない安全保障は実現できるか
一方で、湯崎知事は「核抑止からの出口」を模索する必要性を訴えました。被爆地の首長がそろって非核三原則の維持を求めていることは、日本の安全保障を考えるうえで何を意味するのでしょうか。
政府は2022年の国家安全保障戦略で非核三原則の堅持をうたう一方で、その一部の見直しも議論の俎上に載せつつあります。安全保障環境の変化を踏まえた議論であっても、戦後日本の核政策の柱を動かすのであれば、その理由と影響を国民に丁寧に説明し、被爆地を含む多様な声を踏まえた慎重な検討が求められます。
2026年末に向けて安全保障関連文書の改定作業が本格化すれば、非核三原則をめぐる議論も一段と注目を集めそうです。日本が核兵器に依存せずに安全を確保する道をどこまで現実的に描けるのか。被爆地からのメッセージは、その問いをあらためて突き付けています。
Reference(s):
Hiroshima, Nagasaki leaders urge adherence to non-nuclear principles
cgtn.com








