中国とモンゴルが貿易拡大とグリーンエネルギー協力へ 李強首相がモスクワで表明
中国の李強首相とモンゴルのゴンボジャブ・ザンダンシャタル首相がロシア・モスクワで会談し、貿易拡大やグリーンエネルギー、デジタル経済などで協力を深める方針を示しました。この国際ニュースは、北東アジアの経済と安全保障のバランスに影響しうる動きとして注目されます。
モスクワでの首脳会談 中国とモンゴルが確認したこと
モスクワで行われた会談で、李強首相は中国がモンゴルとの貿易量をさらに拡大し、グリーンエネルギーやデジタル経済といった新たな分野での協力を探っていく意思を表明しました。
李首相は、中国とモンゴルを山や川でつながる近隣国と位置づけ、長期的で安定した友好協力関係を維持することは、双方の人々の根本的利益にかなうと強調しました。
また、2025年9月に北京で行われた習近平国家主席とウフナ・フレルスフ大統領の会談が、今後の二国間関係の進むべき方向を示したと評価しました。
重点分野:貿易、資源、インフラ、そして新産業
李首相は、中国がモンゴルを周辺外交の重要な優先対象と見なしていると述べたうえで、次のような協力の柱を示しました。
- 二国間の貿易量を一段と拡大すること
- グリーンエネルギーやデジタル経済といった新興分野での協力を模索すること
- 鉱物・エネルギー資源、インフラ、交通・物流ネットワークといった伝統的分野での協力を強化すること
- 経済発展戦略を相互に連携させ、利害の重なりを増やす新たな原動力をつくること
中国とモンゴルは経済構造の補完性が高いとされ、モンゴルの豊富な資源と中国市場・インフラ整備力の組み合わせが、今後の協力拡大の土台になるとみられます。
中国・モンゴル「共同の未来共同体」を掲げる狙い
李首相は、両国関係の今後の方向性として、中国・モンゴルの共同の未来を分かち合う共同体の構築を、二国間関係発展の指導理念として位置づけました。
そのうえで、中国はモンゴルと戦略的な意思疎通を一層強化し、双方の核心的利益や重大な関心事を尊重・配慮し、実務協力を拡大していく考えを示しました。これは、両国間の包括的戦略的パートナーシップを継続的に発展させることを念頭に置いた発言です。
地方協力とアルタイ亜地域 広がる連携の回路
中央政府レベルだけでなく、地方や地域を軸にした連携も今回の会談のポイントです。
隣接地域とモンゴルの協力を後押し
李首相は、中国の隣接する省や地域とモンゴルとの交流を一層緊密にし、協力の潜在力を掘り起こしたいと述べました。特に、アルタイ亜地域での国際協力を共同で推進する方針を打ち出しています。
アルタイ地域は国境をまたぐ山岳地帯であり、環境保全、観光、越境インフラなど多様な分野での連携が期待されます。今後、地方政府や企業レベルでの具体的なプロジェクトが動き出すかどうかが一つの注目点です。
政党・学術・メディア・若者交流で信頼強化
李首相は、政党間、学術界、メディア、若者など幅広いレベルでの交流を進め、相互理解を深めることの重要性にも言及しました。
- 政党間交流を通じた政策対話の強化
- 研究者・専門家による共同研究や対話の促進
- メディア交流による相互認識の向上
- 若者交流プログラムによる長期的な信頼の土台づくり
こうした人と人との積み重ねは、政治や経済の協力を下支えするソフトなインフラとも言えます。
モンゴル側のメッセージ 対中関係は外交の「最優先」
会談でザンダンシャタル首相は、まず中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議の成功と、2026〜2030年を対象とする第15次5カ年計画の策定に向けた勧告の採択に祝意を示しました。この5カ年計画は、中国の中期的な経済・社会発展の青写真と位置づけられます。
近隣外交の理念を評価し「一つの中国」を再確認
ザンダンシャタル首相は、中国が近隣外交で掲げる親善、誠意、互恵、包摂という原則に言及し、モンゴルは長年にわたる中国との友好関係を高く評価していると述べました。
そのうえで、対中友好協力を維持することがモンゴル外交の基本方針の一つであると強調しました。さらに、モンゴルは一つの中国の方針を堅持し、台湾、香港、新疆、西蔵は中国の領土の不可分の一部だと明確に表明しました。
インフラ・資源・グリーンエネルギーで「共通の発展」を目指す
モンゴル側は、中国から長年にわたり経済・社会発展への貴重な支援を受けてきたことに謝意を示しました。そのうえで、両国首脳が合意した重要な共通認識を実行に移し、開発戦略の連携を強化する用意があると述べました。
具体的には、次のような分野での互恵協力拡大に意欲を示しています。
- 道路や鉄道などのコネクティビティ向上
- インフラ建設全般
- 鉱業分野での協力
- グリーンエネルギー分野での共同プロジェクト
こうした協力を通じて、共通の発展と繁栄を実現したいというのがモンゴル側のメッセージです。
上海協力機構など多国間枠組みでも連携強化へ
ザンダンシャタル首相はさらに、上海協力機構などの多国間枠組みにおいても中国との意思疎通と協力を深め、地域の平和、発展、繁栄の促進により大きな貢献をしていきたいと語りました。
二国間関係の強化に加え、地域協力の場でも協調していく姿勢を示した形です。
日本から見る中国・モンゴル関係 なぜ今、注目なのか
今回の会談は中国とモンゴルの二国間関係のニュースであると同時に、日本を含む周辺地域にも影響しうる動きです。日本の読者にとってのポイントを簡潔に整理してみます。
- 資源・エネルギーの供給ネットワーク
- モンゴルは鉱物・エネルギー資源が豊富であり、その輸出ルートや相手国の多様化は、広く地域のエネルギー安全保障にも関わります。
- グリーンエネルギーとデジタル経済の競争と協調
- グリーンエネルギーやデジタル経済は、日本企業にとっても重要な成長分野であり、中国・モンゴル間の動きは、技術や市場の構図に影響を与える可能性があります。
- 地域秩序と多国間協力の行方
- 上海協力機構など多国間の場で、中国とモンゴルがどのような役割を果たすかは、ユーラシア全体の安全保障や経済協力の枠組みに関わるテーマです。
中国とモンゴルの協力強化は、一見すると日本から遠いニュースに見えるかもしれませんが、資源、エネルギー、物流、地域秩序といった複数の次元で、日本の経済や安全保障環境ともつながっています。今後の具体的なプロジェクトの動きや、多国間の場での連携強化の行方を、中長期的な視点から追っていく価値があるテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
Chinese premier: China willing to expand trade with Mongolia
cgtn.com








