米中ピープル・トゥ・ピープル対話2025 文化と情報の断絶をつなぐ video poster
2025年12月の今週、米カリフォルニア州ロサンゼルスで、米中の市民交流をテーマにした年次会合「United States–China People-to-People Dialogue 2025」が開かれています。テーマは、文化と情報のギャップに向き合うことを掲げた「Bridging the Cultural and Information Divide」です。本記事では、この国際ニュースのポイントを、日本語で分かりやすく整理します。
ロサンゼルスで進む米中ピープル・トゥ・ピープル対話
United States–China People-to-People Dialogueは、米中両国の市民・専門家・教育関係者などが集まり、政治や安全保障だけでは見えにくい「人と人とのつながり」に光を当てる場です。2025年の会合は、ロサンゼルスで開催され、米中関係をめぐる対話の一つとして注目されています。
今回の対話は、米中関係の対話を長年支えてきた団体であるNational Committee on United States–China Relationsと、中国の清華大学に設置されたシンクタンク、Center for International Security and Strategy(国際安全保障戦略センター)が共同で運営しています。
現地の様子は、中国の英語ニュースチャンネルCGTNの特派員エディズ・ティヤンサン氏が、ロサンゼルスから伝えています。会場では、文化、教育、メディア、テクノロジーなど、幅広いテーマで意見交換が行われているとみられます。
テーマ「Bridging the Cultural and Information Divide」が示す課題
2025年のUnited States–China People-to-People Dialogueのテーマは、英語で「Bridging the Cultural and Information Divide」、直訳すれば「文化と情報の断絶をつなぐ」といった意味です。この言葉には、単なるイメージアップではなく、具体的な課題への問題意識が込められています。
文化の断絶:互いの「当たり前」が通じない
米中のあいだには、歴史や社会制度、価値観の違いからくる文化的なギャップがあります。こうしたギャップは、ニュースやSNSで交わされる言葉の解釈にも影響します。
- ある言葉や政策が、一方では前向きな改革と受け止められても、他方では不安材料と映る
- ユーモアや皮肉の表現が、相手側では失礼と受け取られてしまう
- 家族観や仕事観の違いが、ビジネスや教育の現場で誤解を生む
文化の断絶を埋めるには、相手を「一枚岩」と見なさず、多様な声や背景を理解しようとする姿勢が欠かせません。
情報の断絶:違うニュース、違うタイムライン
もう一つの大きなテーマが「情報の断絶」です。人々が日々触れているニュースやSNSのタイムラインは、国や言語、プラットフォームによって大きく異なります。米中の人びとが「同じ出来事」を見ていても、そこに添えられる説明や強調されるポイントはしばしば違います。
- 自国メディアと相手国メディアで、同じニュースのトーンや見出しが大きく異なる
- アルゴリズムによって、自分と似た意見ばかりが流れてくる「情報の泡」に閉じこもりがちになる
- 一部の切り取られた映像や投稿が拡散し、相手国への不信感やステレオタイプを強めてしまう
United States–China People-to-People Dialogueが掲げる「情報の断絶をつなぐ」というテーマは、こうした分断を乗り越え、互いの社会でどのように情報が選ばれ、語られているのかを知ることの重要性を示しています。
なぜいま、市民レベルの対話なのか
2025年の世界では、米中関係は経済、安全保障、テクノロジーなど多くの分野で複雑さを増しています。そのなかで政府間のメッセージだけを追いかけていると、関係が「対立」か「協力」かという二択に見えてしまいがちです。
一方で、ピープル・トゥ・ピープル(人と人)の対話は、こうした二択の外側にある、より長期的で地道な関係をつくる営みだといえます。
- 研究者や学生、文化関係者が顔を合わせることで、相手社会を「データ」ではなく「具体的な人」として理解できる
- 短期的な政治日程に左右されにくい、長期の信頼関係が生まれやすい
- 誤解や不信感が高まったときの「安全弁」として、市民レベルのネットワークが役立つ可能性がある
デジタル世代と「情報の橋渡し」
今回のUnited States–China People-to-People Dialogueのテーマは、XやInstagram、TikTokなどで日々ニュースに触れているデジタル世代とも深く関わっています。情報の断絶は、必ずしも「情報がない」ことではなく、「違う情報環境が見えない」ことからも生まれます。
- 自分のタイムラインに流れてこないニュースは、「存在しないもの」として扱ってしまいがち
- 相手国の人びとが、どんなプラットフォームやメディアから情報を得ているのか、具体的なイメージを持ちにくい
- 短い動画や見出しだけで判断し、背景や文脈を追いかける時間が取りづらい
だからこそ、対面での対話や長めの議論の場が持つ意味は、デジタル時代になっても小さくなってはいません。むしろ、オンラインで拡散するイメージを補正する場として、市民交流の役割は高まっているともいえます。
日本の読者にとっての意味
米中の市民対話は、日本から見ると遠い話に聞こえるかもしれません。しかし、アジア太平洋の安定やグローバル経済の動きを考えるうえで、米中関係の行方は日本社会にとっても無関係ではありません。
- 米中の対立と協力のバランスは、日本企業のサプライチェーンや投資環境にも影響を与えうる
- 国際ニュースの受け取り方や情報リテラシーは、日本の私たち自身にも問われているテーマ
- 日本と他国のあいだでも、誤解やステレオタイプを和らげる市民交流の重要性は共通している
United States–China People-to-People Dialogueのような場は、「国際政治の大きな話」を、私たち一人ひとりの生活や情報の受け取り方と結びつけて考えるきっかけを与えてくれます。
「分断」を前提にしない対話へ
ロサンゼルスで開かれている2025年のUnited States–China People-to-People Dialogueは、米中関係のすべてを一度に解決する場ではありません。それでも、「文化と情報の断絶」を自覚し、その橋渡しを目指すというテーマ設定そのものが、一つのメッセージになっています。
分断が当たり前と感じられがちな時代だからこそ、相手を一括りにせず、時間をかけて理解しようとする姿勢が問われています。国際ニュースを追う私たち一人ひとりもまた、その「橋」をどう支えていくのかを考えるタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
2025 U.S.–China People-to-People Dialogue underway in Los Angeles
cgtn.com








