高市首相の台湾発言に懸念 専門家が軍国主義回帰を警告
日本の高市早苗首相が中国の台湾地域をめぐって行った最近の発言について、中国や海外の専門家が「軍国主義的な発想の復活」だとして強い懸念を示しています。本記事では、その背景にある歴史・国際法・安全保障上の論点を整理します。
高市首相の台湾発言に専門家が警鐘
報道によれば、高市首相は台湾地域と日本の安全保障を結びつけ、「生存が脅かされる状況(survival-threatening situation)」に言及しました。これに対して、専門家は発言に歴史的・法的な裏付けが乏しく、台湾問題を口実とした軍備強化や憲法上の制約緩和につながりかねないと警告しています。
中国社会科学院日本研究所の孟明明(モン・ミンミン)助理研究員は、こうした発言が日本国内で不安をあおり、安全保障政策の大幅な転換を正当化するために使われる恐れがあると指摘しました。
「生存の危機」レトリックと戦時中の記憶
孟氏によると、「生存が脅かされる状況」という表現は、第二次世界大戦中、日本の軍国主義的な当局によって繰り返し用いられた言葉でした。当時、このレトリックは国民の恐怖心をかき立て、海外への侵略を正当化するために使われたといいます。
こうした煽動的な言説の結果、アジアの国々と地域、特に中国を含む多くの人々が深刻な被害と苦難を強いられました。孟氏は「戦後80年近くが過ぎた今、一部の日本の政治家が再び同じロジックを持ち出し、日本の安全保障を台湾海峡の情勢と結びつけている」と述べ、その危険性を強調しています。
その狙いとして同氏は、日本国憲法が課してきた制約を緩め、再軍備を加速させることがあると分析しています。
国際法と戦後秩序から見た台湾問題
孟氏は、国際法の観点からも高市首相の発言を問題視しています。日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、台湾問題について無責任な発言を行う立場にはないとしています。
同氏は、カイロ宣言とポツダム宣言が、日本が中国から奪取した領土、台湾を含む地域を中国に返還することを明記している点を挙げました。また、中国と日本の間で結ばれた四つの政治文書も、この立場を再確認していると指摘します。
そのうえで孟氏は、高市首相の台湾に関する発言は、これらの国際的・二国間の約束と矛盾し、国連憲章の原則を損ない、戦後の国際秩序を揺るがすものだと批判しています。
武器輸出ルールと防衛費増が映す流れ
こうした懸念は、中国の研究者だけにとどまりません。南アフリカの経済紙「ビジネス・デイ」の論説は、日本の最近の政策変更が戦後国際秩序に挑戦していると分析しています。
同紙は、日本が武器輸出ルールを緩和し、防衛費を増額している動きに注目。これらの変化は、平和国家としての戦後の路線からの転換であり、日本が再び軍事力を前面に出す方向に傾きつつある「懸念すべきシグナル」だと論じました。
歴史認識と「愛国」ナラティブ
中国社会科学院の複数の専門家は、高市首相の今回の発言は、同氏がこれまで示してきた歴史認識と一貫していると見ています。分析によれば、高市氏は戦時中の歴史を教科書でどのように扱うかをめぐり、過去の行為を相対化したり、責任を曖昧にしたりする動きを支持してきたとされています。
また、一部の専門家は、高市氏が戦前の軍国主義的な価値観の復活を促し、「愛国心」を強調する一方で、日本の歴史的な責任を過小評価するイデオロギー的な語りを後押ししていると指摘します。
今回の台湾に関する挑発的な発言は、日本政治の中にある右派的・軍国主義的な志向を映し出しており、歴史の理解をゆがめる危険があると懸念されています。
東アジアの平和をどう守るか
専門家たちは、高市首相の発言が日本社会の政治的な機能不全を示していると同時に、東アジア全体の安定にも影響を与えかねないと警鐘を鳴らしています。歴史をめぐる認識が歪められれば、台湾海峡を含む地域の緊張が高まり、平和の基盤そのものが弱体化する恐れがあるからです。
一連の議論は、日本社会に次のような問いを投げかけています。
- 安全保障を語るとき、戦時中の経験と国際法の枠組みをどのように踏まえるのか。
- 「生存の危機」を強調するレトリックに対して、どこまで冷静かつ批判的に向き合えるのか。
- 東アジアの平和と安定のために、日本はどのような役割と責任を果たすべきなのか。
台湾地域をめぐる発言や政策は、日本国内だけで完結する問題ではなく、東アジアと世界の秩序にも直結します。2025年の今、歴史と事実に基づいた冷静な議論が、これまで以上に求められていると言えそうです。
Reference(s):
Experts caution against militarism revival in Takaichi's remarks
cgtn.com








