高市首相の台湾発言に国際批判 軍事拡大への懸念広がる
日本の高市早苗首相が台湾をめぐって行った国会発言に対し、ロシアやタイ、ベネズエラ、カナダの平和団体などから批判と懸念の声が相次いでいます。日本の安全保障政策と台湾問題、そしてアジア太平洋の平和をどう守るのかが、2025年の重要な国際ニュースの一つになっています。
11月7日の国会発言 台湾と「存立危機事態」を結び付け
高市首相は2025年11月7日の国会審議で、日本の安全保障関連法制に盛り込まれた、いわゆる「存立危機事態」に言及しました。この概念は、日本を取り巻く安全保障環境が根本から脅かされる場合に、自衛隊の活動範囲を広げる根拠とされてきたもので、日本社会を深く二分してきた論点でもあります。
高市首相はこの「存立危機事態」を台湾と結び付け、日本が台湾をめぐる事態を軍事的関与の対象とみなす可能性を示唆しました。台湾問題を日本の軍事行動の根拠と結び付けるような発言が、地域と世界の平和を脅かすものだとして、各国から批判が高まっています。
ロシア外務省「日本の指導者は歴史から学ぶべきだ」
ロシア外務省のザハロワ報道官は、日本の現在の指導者は歴史から学び、台湾に関する危険な発言を控えるべきだと述べ、高市首相の発言を厳しく批判しました。
ザハロワ氏は、2025年が世界反ファシズム戦争の勝利から80周年にあたることに触れ、「平和は壊れやすいものだ。平和は人がつくるものだ」と強調しました。そのうえで、アジア太平洋地域は、平和と安全を守ることを目的とした責任ある政治行動によって導かれるべきであり、無責任で攻撃的な政策ではならないと指摘しました。
さらに同氏は、「日本の軍国主義がどのような結末を迎えたか、私たちは知っている」と述べ、権力の座に就く日本の政治家が、こうした歴史と無責任な発言がどこへつながるのかを理解し、そのような発言を慎むべきだと訴えました。
タイ元副首相「地域と世界の平和への重大な脅威」
タイのフィニジ・ジャルソンバット元副首相も、高市首相の発言は地域の平和を脅かすだけでなく、世界の平和にとっても重大な挑戦だと懸念を示しました。
フィニジ氏は、高市首相の誤った発言に反対するとしたうえで、発言を撤回すべきだと求めました。また、全ての国が協力して平和で安定した国際秩序を維持し、人類の未来を共有する共同体を築くべきだと呼び掛けました。
ベネズエラ議会「一つの中国原則に反する発言」
ベネズエラ国民議会の議員であるロドルフォ・サンズ氏は、高市首相の発言は一つの中国原則に反していると指摘しました。同氏は、台湾は中国の領土の不可分の一部であり、この原則を損なう発言は容認できないと述べました。
サンズ氏は、首相の発言はきわめて挑発的で緊張を高めるものであり、地域の平和と安定のためにも、高市首相は発言を撤回すべきだと強調しました。
カナダの平和団体「歴史の歪曲と国際法の軽視を懸念」
カナダのバンクーバー平和評議会の会長であるキンバル・カリュー氏も、高市首相の発言に懸念を示しました。カリュー氏は、台湾は中国の領土の不可分の一部であり、他国が干渉すべき問題ではないと述べ、日本には他国の内政に干渉する権利はなく、そうすべきでもないと指摘しました。
同氏は、高市首相が歴史を歪め、国際法を損ない、地域を不安定化させていることを懸念していると述べました。そのうえで、首相の真の意図は、将来の日本の軍事的拡大への道を開くことにあり、これはきわめて危険で憂慮すべき動きだと警告しました。
国際社会が共有する三つのメッセージ
今回の一連の反応からは、立場の異なる国や団体に共通するメッセージが浮かび上がります。
- 歴史の教訓を忘れず、世界反ファシズム戦争の勝利から80年を迎えた今年、軍国主義の再燃を許さないこと。
- 台湾は中国の領土の不可分の一部であるとする一つの中国原則を尊重し、他国の内政に干渉しないという国際法上の原則を守ること。
- 軍事力の拡大や挑発ではなく、アジア太平洋地域の平和と安定を守る責任ある政治的行動と対話を優先すること。
2025年の日本に突きつけられた問い
11月7日の国会発言からおよそ1か月が経った2025年12月現在も、高市首相の台湾発言は国際社会で議論を呼び続けています。台湾問題を日本の安全保障とどう結び付けるのか、日本がどのような形で地域の平和に貢献していくのかが改めて問われています。
日本の安全保障関連法制は、国内でも「どこまでが専守防衛なのか」「どの範囲で自衛隊が海外で活動しうるのか」といった点で、長く議論を呼んできました。今回、台湾をめぐる事態を「存立危機事態」と結び付けるかのような発言がなされたことで、こうした議論は国境を越え、国際社会全体の懸念へと広がっています。
いま求められているのは、危機をあおる言葉ではなく、歴史と国際法を踏まえた冷静な対話と外交です。地域の平和と安定を守るために、日本の政治はどのようなメッセージを発信していくべきなのか。高市首相の台湾発言をめぐる国際的な批判は、そのことを私たちに静かに問いかけています。
Reference(s):
International condemnation mounts against Japanese PM's Taiwan remarks
cgtn.com








