中国南西部・老君山国家級自然保護区 四川パートリッジ保全の最前線
中国南西部の老君山国家級自然保護区は、絶滅の危機にある鳥・四川パートリッジの保全拠点として、いま静かに存在感を高めています。
中国南西部の秘境・老君山とは
老君山国家級自然保護区は、中国南西部の四川省に位置し、生物種が豊かに集まる「Hengduan Mountains 生物多様性ホットスポット」の一角にあります。多様な生き物が暮らすこの森は、中国南西部の野生の姿を今も色濃く残した地域です。
老君山は二〇〇〇年に保護区として設立され、二〇一一年には国家級自然保護区に指定されました。中国で初めて、キジの仲間の保全を主目的としてつくられた保護区でもあり、その時点から「鳥を守るための森づくり」が本格的に始まったといえます。
森の中には、ジャイアントパンダやレッサーパンダをはじめ、脊椎動物だけでも三百七十種を超える生き物が確認されています。希少種から身近な野生動物まで、多様な生き物が一つの生態系を形づくっているのが老君山の特徴です。
世界でも稀少なキジ科・四川パートリッジ
この保護区の「主役」ともいえるのが、四川パートリッジです。世界でもまれなキジ科の鳥で、中国にしか生息していない種とされています。
- 老君山保護区内に生息する四川パートリッジは四百羽以上
- これは、現在判明している世界全体の個体数のおよそ五分の一に相当
この数字からも分かるように、老君山は四川パートリッジの生存にとって欠かせない拠点です。その重要性が評価され、周辺の屏山県は、China Wildlife Conservation Association によって「四川パートリッジの故郷」と公式に位置づけられています。
二〇二五年の秋、カメラが捉えた野生の素顔
この秋(二〇二五年)、老君山では写真家たちに対して、野生動物の撮影のための貴重なアクセスが許可されました。ふだんは一般にあまり公開されないエリアで、彼らは森を歩き、動物たちの姿をカメラに収めました。
そこに写っていたのは、四川パートリッジだけではありません。パンダ類や多様な野生動物が同じ森の中で暮らす姿です。写真を通じて浮かび上がるのは、観光地として広く知られる場所ではなく、「静かな保全の現場」としての老君山の素顔でした。
この撮影の試みは、世界の注目を浴びることの少ない保護区であっても、日々重要な保全の物語が積み重ねられていることを思い出させてくれます。大きな見出しにはならなくても、こうした現場が地道に生物多様性を支えているのです。
老君山に映る、中国の科学的な自然保護へのシフト
老君山の歩みは、中国全体の自然保護政策の変化とも重なっています。近年、中国では科学的なデータや調査に基づく保全、いわゆる「科学的保全」へのシフトが進められてきました。
ユーザーの入力によれば、近年の主な動きは次の通りです。
- 保護区の拡大など、保護エリアネットワークの強化
- 野生動物のモニタリング体制の強化
- 在来の生息地を再生するための投資と取り組み
老君山の事例は、こうした政策の流れのなかで、実際に何が起きているのかを示す象徴的なケースといえます。一つの保護区での取り組みが、希少種の保全だけでなく、地域全体の森林や生態系の回復にもつながっていく姿が見えてきます。
「パンダだけではない」保全の視点を育てる
世界的な注目を集めるジャイアントパンダに比べると、四川パートリッジの名前を知る人は多くありません。しかし、このように広く知られていない種こそ、静かな保全努力に支えられていると言えるかもしれません。
老君山で進む取り組みは、特定の「看板」生物だけに頼らない保全のあり方を示しています。一つの希少種を守るために生息地を保全し、モニタリングを続けることは、結果として同じ森で生きる多くの生き物を支えることにもつながります。
通勤時間やスキマ時間にニュースを追う私たちにとって、老君山の物語は、自然保護をめぐる視点を少し広げてくれる話題です。中国南西部の森で続く静かな実験は、「どの種を、どのように守るのか」という問いを、あらためて私たちに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








