「中国に来るリスク」ではなく「来ないリスク」変化から学ぶ国際ビジネス video poster
「中国に来るリスク」ではなく「来ないリスク」。約20年間中国で活動してきた、中国英国商会の元会長クレア・ピアソン氏の言葉は、変化の激しい2025年の国際ビジネスを考えるうえで示唆に富んでいます。
「来るリスク」より「来ないリスク」
クレア・ピアソン氏は、中国での約20年の経験を振り返りながら、「本当のリスクは『中国に来ること』ではなく、『来ないこと』だ」と語ります。つまり、環境の変化が大きい場所や市場から距離を置くこと自体が、長期的には不利になり得るという視点です。
世界がかつてないスピードで変化するいま、中国を含むグローバルな現場に身を置くかどうかは、企業や個人の学び方そのものを左右します。リスクを避けて安全圏にとどまるのか、それとも変化の中心に足を踏み入れて学ぶのか。その選択が、数年後の差につながるというメッセージでもあります。
変化こそ最高の先生:20年が教えたこと
ピアソン氏が中国での20年を通じて得た一番大きな教訓は、「変化こそ最高の先生」であるというものです。安定した環境よりも、ルールやプレーヤーが次々と変わる状況のほうが、ビジネスパーソンにとっては学びのスピードが上がることがあります。
変化の激しい環境では、次のような力が鍛えられます。
- 状況適応力:前提条件が変わっても、素早く考え方を切り替える力
- 学び直しの習慣:過去の成功パターンにとらわれず、常に学び続ける姿勢
- 異文化理解:価値観やビジネスの進め方が異なる相手と協働する力
こうした能力は、特定の国や地域だけで通用するものではなく、グローバルに働くうえでの「汎用スキル」として、どこでも生きてきます。
リスクを避けるより、「リスクの中で生きる力」
ピアソン氏は、「本当のアドバンテージ(優位性)は、リスクを避けることではなく、その中でどう生き抜くかを学ぶことだ」とも指摘しています。完全にリスクを排除することが難しい時代だからこそ、求められているのは「リスクのない場所」を探す姿勢ではなく、「リスクと共に進む」力です。
そのために、私たちが意識できるポイントを整理すると、次のようになります。
- 情報を集めて可視化する:何がどの程度リスクなのかを、できるだけ具体的に言語化する
- 現場の変化を体感する:机上の情報だけで判断せず、実際に足を運び、空気感やスピード感を自分の感覚でつかむ
- 小さく試しながら学ぶ:いきなり大きく賭けるのではなく、小さな実験を重ねて、成功と失敗から学ぶ
- 多様な人と対話する:中国や他の地域で経験を積んだ人の話を聞き、自分一人では見えない視点を取り入れる
こうした姿勢は、特定の国への投資や進出に限らず、キャリア形成や新しい技術へのチャレンジなど、あらゆる「選択とリスク」に共通して応用できます。
日本のビジネスパーソンへの示唆
日本でも、多くの企業や個人が中国やアジアとの関わり方を改めて考え直している時期にあります。慎重さは重要ですが、慎重であることと「関わらないこと」は同じではありません。
ピアソン氏の「来ないことこそリスク」という言葉は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 変化の激しい市場や分野から、必要以上に距離を置いていないか
- リスクを理由に「学ぶ機会」まで手放していないか
- 怖さや不確実性を減らすために、何をどこまで情報収集し、誰と対話しているか
2025年のいま、テクノロジー、地政学、経済構造など、世界の前提条件は絶えず書き換えられています。その中で、「変化から遠ざかる」ことを選ぶのか、「変化の只中で学ぶ」ことを選ぶのかは、一人ひとりの判断に委ねられています。
「変化の中に身を置く」ことをどう選ぶか
クレア・ピアソン氏が中国での20年を通じて示したのは、特定の国や地域を礼賛することではなく、「変化の中心に身を置くことでしか得られない学びがある」というシンプルなメッセージです。
国際ニュースや中国関連の情報に触れるとき、私たちはつい「リスクはどれくらいか」「安全かどうか」という二択で考えがちです。しかし、ピアソン氏の視点を借りれば、そこに「学びの大きさ」や「将来の選択肢の広がり」といった軸をもう一本加えることができます。
リスクをゼロにするのではなく、リスクの中でどう学び、どう成長していくのか。国際ニュースを読み解くときにも、そんな視点をそっと頭の片隅に置いてみると、いつものニュースの見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








