海南・陵水の海の民タンカ族 500年続く「海上ノマド」の暮らしと観光
中国・海南の陵水リー族自治県には、「海の民」と呼ばれるタンカ族が暮らしています。海上に張り巡らされたいかだの上で生活し、500年以上続く漁業の伝統と、近年の民宿や体験型観光を両立させようとする姿は、2025年の今も多くの注目を集めています。
海の上に広がる「迷路」のような集落
陵水リー族自治県の新村漁港には、沖合に大きな「海上の集落」が広がっています。上空から見下ろすと、魚の養殖いかだが無数の囲い込みをつくり、その間を小さな小屋と細い木の通路が結び、まるで迷路のように見えます。
この海上集落で暮らすのが、タンカの人びとです。長く海に浮かぶ生活を続けてきたことから、英語で「sea nomads(海の遊牧民)」とも呼ばれてきました。家も仕事場も海の上という、都市生活とはまったく違う日常がここにはあります。
霧の中から戻る船 500年以上続く漁の一日
新村漁港の朝は静かな霧の中から始まります。沖合で一夜を過ごした漁船が、夜明けとともに港へと戻り、前の晩にとった魚を次々と荷下ろししていきます。
こうした漁を中心とした暮らしは、500年以上にわたり受け継がれてきたとされています。2025年現在も、タンカの人びとは魚の養殖いかだの上で生活しながら、海とともに生きる独自の暮らし方を守り続けています。
近年進む民宿づくりと体験型観光
近年、このタンカの海上集落では、民宿(ベッド・アンド・ブレックファスト)の整備が少しずつ進んでいます。訪れた人が海上の小屋に泊まり、地元でとれた海産物を味わい、漁に同行するなどの体験ができるようになりつつあります。
提供されるのは、例えば次のようなプログラムです。
- 地元の魚や貝を中心にした海鮮料理を味わう
- 漁船に乗り込み、漁の様子を間近で見学する体験
- タンカの暮らしや歴史、伝統文化に触れるアクティビティ
観光を通じて収入源を増やしつつ、長く続いてきた海の暮らしを次世代に伝えようとする試みだと言えます。
伝統と変化のはざまで考えたいこと
海上の暮らしは、自然環境の変化や経済の波を受けやすいという側面もあります。だからこそ、タンカの人びとが新たな収入源として観光に取り組む動きは、地域社会にとって大きな意味を持ちます。
一方で、観光が進めば進むほど、「見せるための暮らし」と「本来の暮らし」のバランスが問われます。訪れる側が、写真映えだけを求めるのではなく、500年以上続く海と人との関わりを尊重しながら学ぼうとする姿勢も重要になってきます。
中国・海南の陵水で続くタンカの海上生活は、2025年の今、「伝統」と「変化」を同時に映し出す鏡のような存在です。画面越しの遠い風景として眺めるのではなく、自分たちの暮らし方や、海や自然との付き合い方を考えるヒントとして捉えてみると、新しい発見があるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








