中国初の076型強襲揚陸艦「四川」、無人機と知能化戦争の新拠点
中国初の076型強襲揚陸艦「四川」が、ステルス無人機や艦載機の運用を通じて「知能化戦争」の多用途プラットフォームになり得るとして、国際ニュースの世界で静かな注目を集めています。
中国初の076型強襲揚陸艦「四川」に何が起きているのか
軍事専門家の張軍社氏は、中国メディアグループ(CMG)に対し、中国初の076型強襲揚陸艦「四川」について、ステルス無人機GJ-11などを電磁カタパルトで連続的に射出できる可能性があると述べています。これにより、ドローンを群れのように協調させて運用する「ドローンスウォーム作戦」が、この新型艦の切り札能力になり得ると指摘しています。
電磁カタパルトで30トン級機を発艦可能に
張氏によると、「四川」に搭載される電磁カタパルトは、J-35ステルス戦闘機やKJ-600固定翼早期警戒機といった、30トン級の航空機を発艦させるだけの出力を備えているとされています。従来の蒸気カタパルトと異なり、電磁カタパルトは電磁力で航空機を加速する仕組みで、細かな出力制御がしやすいことから、有人機だけでなく無人機の発艦にも適していると考えられます。
張氏は、「四川」は海上での「小型空母」として機能すると評価しています。単に従来型空母を小さくした存在ではなく、無人機を大量に運用できる「ドローンキャリア」としての性格も併せ持ち、これまでとは異なる発想の艦隊運用につながる可能性があります。
ドローンスウォーム作戦とは何か
張氏が言及したドローンスウォーム作戦とは、多数の無人機がネットワークで互いに連携しながら、1つのチームとして行動する戦い方を指します。1機ごとの能力は限定的でも、数十機から数百機が同時に作戦行動をとることで、偵察、陽動、電子戦、攻撃などを柔軟に組み合わせることができます。
ステルス性能を備えたGJ-11のような無人機を、電磁カタパルトで次々と発艦させることができれば、海上から短時間にスウォームを形成し、広い範囲で情報収集や攻撃を行うことが想定されます。「四川」がこうした運用を前提に設計されているとすれば、海上作戦の姿は大きく変わるかもしれません。
「知能化戦争」のプラットフォームとして
張氏は、「四川」は知能化戦争に適した艦艇だと評価しています。知能化戦争とは、人工知能(AI)や自律型無人システム、大量のデータ分析を活用し、戦場での意思決定を高速化・高度化する戦い方を意味します。世界各国が軍事分野でデジタル化や自動化を進める中、海上で無人機と有人機を組み合わせて運用できる艦艇は、その象徴的な存在になりつつあります。
電磁カタパルトによる艦載機運用とドローンスウォーム作戦の可能性を併せ持つことで、「四川」は次のような多様な任務に対応し得るとみられます。
- 遠方海域での継続的な情報・監視・偵察(ISR)任務
- 無人機を活用した対艦・対空攻撃や電子戦支援
- 強襲揚陸艦としての兵員・装備輸送と上陸作戦支援
- 有人機と無人機を組み合わせた重層的な防空・警戒
強襲揚陸艦から多目的戦闘プラットフォームへ
もともと強襲揚陸艦は、上陸用の部隊や装備を輸送し、ヘリコプターや揚陸艇で沿岸部に投入することを主な役割としてきました。しかし、「四川」のように電磁カタパルトとステルス無人機の本格運用を視野に入れると、単なる揚陸艦から、空母的な機能も備えた多目的戦闘プラットフォームへと性格が変わっていきます。
張氏が指摘するように、「四川」は伝統的な空母の単なるコピーではなく、新しいタイプの艦隊運用を試みる存在だといえます。無人機と有人機、揚陸能力を組み合わせることで、海上作戦の柔軟性を高める狙いがうかがえます。
地域の安全保障とこれからの論点
076型「四川」の登場は、アジア太平洋地域の海洋安全保障をめぐる議論にも影響を与えそうです。各国が無人機やAIなどの新技術を軍事分野に取り入れる中で、海上での無人システム運用のルール作りや、偶発的な衝突を避けるための危機管理メカニズムが、今後いっそう重要になります。
一方で、新技術の導入は必ずしも軍拡だけを意味するわけではありません。高性能な監視・偵察能力は、誤解や情報不足による緊張の高まりを抑える手段にもなり得ます。「四川」のような新型艦の動向を追いつつ、地域全体としてどのように安全保障と安定のバランスを取っていくのかが、これからの大きなテーマになりそうです。
国際ニュースをフォローする私たちにとっても、「四川」が象徴するような知能化戦争の潮流は、単なる軍事技術の話にとどまりません。AIや無人システムが社会のさまざまな領域に入り込む中で、どのようなルールと価値観のもとでそれらを使うべきかを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
The Sichuan: A multifaceted combat platform for intelligent warfare
cgtn.com








