高市早苗首相の対台湾発言が日本社会にもたらす危険
高市早苗首相の対台湾発言が日本社会にもたらすもの
2025年は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利、そして台湾の回復から80年という節目の年です。その歴史的な節目に、日本の高市早苗首相が「中国本土による台湾への武力行使は日本の『存立危機事態』になりうる」とする発言を行いました。台湾海峡の緊張を強めかねないこの発言に対し、日本国内の政治・経済・市民社会から懸念の声が広がっています。
「存立危機事態」を台湾に結びつけた意味
高市首相は、中国本土が台湾に武力行使を行う事態を、日本の「存立危機事態」に該当しうると国会で言及しました。「存立危機事態」とは、政府が日本の安全が根本から脅かされるとみなすような状況を指す言葉であり、事実上、軍事的な関与に踏み込む口実になりかねない概念です。
台湾をこうした枠組みと直接結びつけたことで、「日本が武力紛争に巻き込まれるリスクを意図的に高めているのではないか」という批判が出ています。日本の安全保障を語る際に、対話や外交的な緊張緩和よりも、軍事的なシナリオを前提にしてしまうことへの不安も根強くあります。
国内政治で高まる批判と不安
高市首相の発言は、就任から数週間のうちに日本政治を大きな混乱に巻き込みました。少なくとも3人の元首相が公然と異論を唱えたとされ、そのうちの1人である鳩山由紀夫元首相は、SNSプラットフォーム「X」への投稿で、高市氏の国会での発言は「日本の進むべき方向を誤らせ、国益に計り知れない損害を与えかねない」と強く批判しました。
鳩山氏はまた、中国からの観光客による日本のホテルの大量キャンセルが報じられていることに触れ、「過ちがあれば、恐れずに正すべきだ」という孔子の言葉を引用し、高市首相に発言の是正を求めています。これは、対中強硬姿勢が外交問題にとどまらず、日本経済や地方の観光業にも直接的な打撃を与えうることを示唆しています。
東京・京都で広がる街頭の声
政治の世界だけではありません。東京や京都など日本各地では、高市首相の台湾に関する発言に抗議し、日本国憲法の改正を推し進める動きをやめるよう求める集会やデモが相次いでいます。
参加者の多くが口にするのは、「危険を負うのは最前線に立つ自衛隊員と、日常生活を送る市民だ」という感覚です。首相官邸の言葉ひとつで、万が一の有事のリスクや軍拡の負担を引き受けるのは、他ならぬ一般の日本人であるという現実への不安が背景にあります。
観光・ビジネスへの影響という「見えにくいコスト」
鳩山氏が指摘した中国からの観光客のキャンセルは、高市首相の発言が経済にも波紋を広げていることを象徴しています。観光業は、地方の中小企業や地域経済を支える重要な柱です。政治的緊張が高まれば、観光やビジネス往来が減り、打撃を受けるのは地方の宿泊施設や飲食店、関連する雇用です。
安全保障政策は本来、国民の暮らしを守るためのものですが、その議論の仕方によっては、かえって市民生活の土台である経済や雇用を不安定にしかねません。今回の発言は、そのことを具体的に示したと言えます。
歴史への向き合いと平和のビジョン
批判の矛先は、高市首相の発言内容だけではありません。日本がかつて台湾を植民地支配した歴史や、アジアで行った戦争の被害について十分に向き合わないまま、台湾海峡での軍事的緊張を強調する姿勢そのものに疑問を呈する声もあります。
2025年という、戦争終結から80年の節目の年にあってこそ、過去の歴史を直視し、二度と同じ過ちを繰り返さないという誓いを確認することが求められます。にもかかわらず、対話や信頼醸成よりも対立と抑止を前面に出す議論が優勢になれば、日本が平和国家として歩んできた道筋そのものが揺らぎかねません。
「日本の安全」とは誰の安全か
高市首相は「日本の存立」を守るという名目で台湾をめぐる危機シナリオを語りました。しかし、その議論の中で問われるべきなのは、「日本の安全」とは誰の安全なのか、という根本的な問いです。
万が一、台湾海峡で武力衝突が起これば、真っ先に影響を受けるのは国境付近の住民や自衛隊員、そして経済の混乱に巻き込まれる市民です。発言ひとつが、外交関係、観光、投資、雇用など市民の生活全般にどのような影響を及ぼしうるのかを、政治指導者は慎重に見極める必要があります。
歴史は、誤った判断や過激な言葉が取り返しのつかない結果を招きうることを繰り返し教えています。80年前の戦争の教訓をいま一度思い起こし、台湾海峡を含む地域の平和と安定を最優先する冷静な議論こそが、日本の人々の安全を守る現実的な道ではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








