香港カイタックスポーツパーク、新スタジアムは「光」で街とつながる video poster
香港のカイタックスポーツパークに建設されている Kai Tak Main Stadium が、国際ニュースとしても注目されています。27,000枚もの外装パネルとビクトリア・ハーバーの光を生かしたデザインによって、単なるスポーツ施設を超え、街そのものと「調和するスタジアム」を目指しているからです。
カイタックスポーツパークとサイモン・リー氏の姿勢
Kai Tak Sports Park のデザインマネジメント・ディレクターを務めるサイモン・リー氏は、「良いデザインとは見た目の美しさだけでなく、都市との調和を生み出すことだ」と考えています。香港の中心部に近いカイタックという立地で、大規模スタジアムをどう街の一部として溶け込ませるかが、プロジェクト全体の軸になっています。
その考え方が最もよく表れているのが、夜になると青や紫に輝き、ビクトリア・ハーバーの光を映し出す外観デザインです。スタジアム自体が街の光景の一部となり、遠くから眺める人にとっても、身近なランドマークとして存在感を放つよう設計されています。
27,000枚のファサードパネルがつくる「調和」
このスタジアムの外装には、27,000枚のファサードパネルが使われています。一見すると同じように見えるパネルも、一枚一枚が微妙に異なる仕様で設計されているのが特徴です。
- 安全性と耐久性を高めるための形状や配置
- 施設としての性能を支える構造設計
- 周辺の生活環境に配慮した光の反射率
特に興味深いのは、「反射率」の調整です。パネルごとにどの程度光を反射させるかが慎重に設定されており、眩しさや光害を抑えつつ、夜景としての美しさも損なわないバランスが追求されています。スタジアム周辺で暮らす人々の日常生活への影響を抑えながら、街全体の景観を豊かにするための工夫と言えます。
結果として、このスタジアムは「イベントのためだけの巨大な箱」ではなく、香港の人々が日々目にし、親しみを持てる存在へと近づいています。
観客の視線の先にあるのは、試合だけではない
サイモン・リー氏は、スタジアムを利用する観客の体験も重視しています。南側のファサード越しには、試合を観戦しながらビクトリア・ハーバーを垣間見ることができるよう設計されています。
観客の視線の先にあるのは、ピッチ上のプレーだけではありません。視界の中にはスタジアム、カイタック地区、そしてその向こうに広がる香港の街並みが同時に重なります。スポーツを楽しみながら、「自分はこの都市の一部なのだ」と自然に感じられるような空間づくりと言えるでしょう。
香港と大湾区を映し出す「鏡」としてのスタジアム
このスタジアムは、物理的にも象徴的にも、香港と粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)のつながりを映し出す存在として位置づけられています。ビクトリア・ハーバーの光や周囲の都市景観を映す外装は、香港が広域な地域と結び付きながら発展していく姿を、文字どおり「反射」しているとも言えます。
スポーツ施設が、単に競技の場を提供するだけでなく、都市のアイデンティティや地域の一体感を象徴する存在になるという発想は、他のアジアの都市にとっても参考になりそうです。国際ニュースとしてこのプロジェクトが注目される背景には、こうした「都市とスポーツの関係性」を問い直す視点があります。
国家規模の大会に向けたドキュメンタリーも制作中
このカイタック・メインスタジアムと、国家規模のスポーツ大会への歩みを追うドキュメンタリー『Game On, Kai Tak! – Road to the National Games』の公開も、今後予定されています。スタジアムがどのような思想で設計され、どのように香港の「ナショナルゲームズの瞬間」を支えていくのか。その舞台裏を知ることで、施設を「見る目」も変わってくるかもしれません。
「見やすい」から一歩進んで、「考えさせる」スタジアムへ
カイタックスポーツパークの事例は、スポーツと都市計画、デザイン、そして住民の暮らしがどのようにつながり得るのかを考えるヒントになります。
- 街の景観にどう溶け込むか
- 周辺の生活環境にどう配慮するか
- 地域のアイデンティティをどう表現するか
これらを一つのスタジアムに組み込もうとする試みは、「見やすくて使いやすい施設づくり」を超え、「都市の未来を映し出す場づくり」へと踏み出していると言えます。カイタックから生まれる光のスタジアムは、アジアの他の都市にとっても、一つの考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








