女性の権利守る司法 成都で国際シンポジウム、北京宣言30年
2025年12月上旬の金曜日、中国南西部の四川省成都市で、女性の権利保護と司法の役割に焦点を当てた国際シンポジウムが開かれました。国連女性機関UN Womenと中国の最高人民法院が共催し、北京宣言及び行動綱領の採択30周年を記念しました。
成都で国際シンポジウム、司法の役割に焦点
今回のシンポジウムは、女性の権利を守るための司法の考え方と実務をテーマに、各国の専門家が意見を交わす場として開催されました。主催者は、司法を通じた女性と少女の権利保護や家庭内暴力の防止で、国際的な協力を一段と深めるねらいがあるとしています。
開会セッションでは、中国の最高人民法院副院長である王忠明Wang Zhongming氏、UN Womenアジア太平洋地域ディレクターのクリスティーン・アラブChristine Arab氏、四川省高級人民法院院長の王樹江Wang Shujiang氏がそれぞれあいさつしました。会議全体の進行と閉会のまとめは、中国応用法学研究所の陳智源Chen Zhiyuan所長が務めました。
北京宣言30年、司法から見るジェンダー平等
王忠明氏はあいさつの中で、このシンポジウムは女性の権利とジェンダー平等の推進を掲げた北京宣言及び行動綱領の30周年を記念すると同時に、司法が女性の権利保護に取り組み続ける決意を示す場でもあると強調しました。
国際社会では、女性への暴力や差別をなくすために法律や制度の整備が進められてきましたが、その理念を現場の裁判や救済につなげるには、判決の積み重ねや各国の経験共有が欠かせません。今回の会合は、そうした司法の実務面から北京宣言の精神をどう具体化していくかを議論する場となりました。
新たに公表された家庭内暴力の指導ケース
シンポジウムの開催に先立ち、最高人民法院は中国における家庭内暴力防止の司法実務を示す文書として、中国における家庭内暴力防止に関する2025年指導ケースを公表しました。ここには、過去3年間に終結した8件の事例が収められています。
指導ケースでは、家庭内暴力の捉え方や被害者支援の仕組みについて、具体的な論点が示されています。主なポイントとして、次のようなテーマが取り上げられました。
- 暴力が目に見える身体的なものだけでなく、精神的虐待も含まれることの認定
- 心理、医療、社会福祉など複数分野の専門家による証言を裁判でどう活用するか
- 相談、保護、医療、法的支援などを一体化したワンストップ支援体制の構築
- 家庭内暴力の被害を受けた人が担ってきた家事労働に対する補償のあり方
最高人民法院は、こうした指導ケースを公表することで、暴力ゼロを目指す継続的な取り組みを示したとしています。また、女性差別撤廃条約CEDAWの国際基準に沿った形で、家庭内暴力に司法がどう向き合うのかを明確にする狙いもあります。
国際協力で高まる説明責任と能力強化
UN Womenと最高人民法院の協力は、女性の権利保護や家庭内暴力防止の分野で年々強まっています。今回のシンポジウムでも、主催者は次の三つを大きな目的として掲げました。
- 各国の司法実務に関する国際的な交流を促進すること
- 女性と少女の権利を守るための国内制度や司法の能力を高めること
- 女性と少女の権利と利益を守るうえでの説明責任を強めること
こうした取り組みは、一つの国の中で完結するものではなく、判決例や被害者支援の仕組みを互いに学び合うことでより実効性を増していきます。アジア太平洋地域を含む各地からの参加者が集まった今回の会合は、そのための重要なステップと言えます。
日本の読者にとっての示唆
精神的虐待をどう認定するか、家事労働にどのような価値を認めるか、被害者を支えるワンストップ体制をどう整えるかといった論点は、日本を含む多くの国や地域に共通する課題でもあります。
家庭内暴力やジェンダーに関わる問題は、法律や制度だけでなく、それを運用する司法の姿勢や現場の運用によっても大きく変わります。今回の成都での国際シンポジウムと中国の指導ケース公表は、司法が女性の権利を守るためにどこまで踏み込めるかという問いを、改めて投げかけていると言えるでしょう。
ニュースをきっかけに、自国の制度や実務と見比べながら、どのような仕組みが被害者にとって最も安心できるのかを考えてみることが求められています。
Reference(s):
Symposium highlights judicial efforts to protect women's rights
cgtn.com








