揚子江の潮が運ぶ「生きた遺産」 南京で語られた水辺と歴史の未来 video poster
中国・南京で開かれた Global Mayors Dialogue は、揚子江の流れと古い城壁に囲まれたこの都市が、どのように歴史遺産と現代の暮らしを結びつけているのかを世界の都市リーダーに示しました。水辺文化と文化財の保存をめぐる試みは、歴史都市の未来像を考えるうえで、日本にとってもヒントになりそうです。
揚子江と城壁が形づくる南京の物語
Nanjing の街の輪郭は、揚子江の大きな流れと、古い城壁の線によって描かれています。川は物流と人の往来を支えてきただけでなく、人々の記憶や物語を運んできました。城壁はその周りで積み重なった時間を静かに刻み続けています。
今回の Global Mayors Dialogue に合わせて、故郷の南京に戻った中国メディア CGTN の Zhang Meng さんは、生まれ育った街を取材者としてあらためて見つめ直しました。揚子江と城壁は、彼女にとって過去の記憶であると同時に、今も変化を続ける現在の風景でもあります。
世界の都市リーダーが集う Global Mayors Dialogue
南京で開かれた Global Mayors Dialogue には、イタリア、セルビア、ドイツ、ナミビアなど、さまざまな国や地域の都市リーダーが参加しました。参加者たちは、市民の暮らしを支える都市づくりや、水辺と歴史遺産の活用について意見を交わしました。
都市の課題は世界各地で共通する部分が少なくありません。人口の動きや経済の変化、観光と生活のバランス、文化財の保護と開発の両立など、どれも一つの都市だけでは解けない問いです。南京はその課題に対して、水辺文化と歴史を軸にした一つの答えを提示しようとしています。
Grand Bao'en Temple と Six Dynasties Museum が見せたもの
参加した都市リーダーたちは、Grand Bao'en Temple の柔らかな光の中や、Six Dynasties Museum に展示された多くの遺物の前で、水辺の都市がどのように歴史を守り、今に生かしているのかを目にしました。
そこにあったのは、単なる文化財の保存ではありません。寺院や博物館は、静かな展示空間であると同時に、人々が集まり、学び、日常の時間を過ごす場として機能しています。歴史はガラスケースの中に閉じこめられるのではなく、街の暮らしと重なり合う存在として再解釈されていました。
保存から共生へ 歴史都市がめざす姿
今回の取材で浮かび上がったキーワードは、生きた遺産という発想です。南京では、揚子江に面した水辺空間や古い城壁が、過去の記念碑として守られるだけでなく、現代の都市計画や市民生活の一部として語られていました。
生きた遺産という考え方がめざすのは、例えば次のような方向性です。
- 川や水辺を、市民が憩い、学び、交流する公共空間として位置づけること
- 城壁や歴史的建造物を、都市景観や文化活動と結びつけること
- 寺院や博物館を、観光だけでなく地域の日常にも開かれた場にすること
歴史を守ることと、都市の成長や変化を受け入れることをどのように両立させるか。その問いに対して、南京は水辺と遺産をつなぐ都市像を世界に示したといえます。
日本の都市への静かな問いかけ
南京の事例は、日本の都市にとっても他人事ではありません。川や港とともに発展してきた街、歴史的な町並みと再開発の狭間で揺れる地域は、日本各地にもあります。
急速な変化の中で、
- 何を残し、どこまで変えるのか
- 歴史的な場所を、観光資源だけでないどんな価値として捉え直せるのか
- 水辺と街を、さまざまなリスクも含めてどうつなぎ直すのか
といった問いは、これからの都市づくりにおいて避けて通れません。揚子江と城壁の街・南京で交わされた対話は、水辺と歴史を抱えた世界の都市に向けて、静かな問いかけを投げかけています。
通勤電車の中や一日の終わりに、よく知っているはずの自分の街の川や古い建物を思い浮かべてみると、南京の風景が少しちがった意味をもって見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








