中国と米国、ハワイで海上安全協議 軍艦・軍用機の「ニアミス」回避へ
中国と米国の軍当局は2025年11月18日から20日にかけて、米ハワイで軍事海上協議協定(MMCA)の作業部会と2025年の年次会合を開きました。軍艦や軍用機の安全な運用を話し合う枠組みで、偶発的な衝突を防ぐための重要な対話です。
ハワイで開かれた海上・航空安全の協議
中国海軍によると、今回の会合は「対等かつ相互尊重」の原則に基づき行われ、中国と米国の海上・航空の安全保障情勢について率直で建設的な意見交換が行われました。
両軍は、海上や空中で実際に起きた典型的な接近事例を振り返り、安全確保のための行動規則の運用状況を評価しました。そのうえで、今後どのように誤解や誤判断を減らし、リスクを管理していくかについて議論したとしています。
具体的には、海空における遭遇時の行動規則(Rules of Behavior for Safety of Air and Maritime Encounters)の実施状況を検証し、両国軍の現場部隊がより安全かつ専門的に行動できるようにするための改善策を話し合いました。
MMCAメカニズムの役割とは
MMCA(軍事海上協議協定)は、中国と米国の軍艦や軍用機が接近した際の安全を確保し、偶発的な衝突やエスカレーションを防ぐことを目的とした仕組みです。年次会合や作業部会を通じて、過去の事例の検証や安全運用ルールの見直しを行ってきました。
今回の会合で双方は、このMMCAメカニズムが前線の部隊同士のより専門的で安全なやり取りを後押しし、誤解や誤判断を減らし、リスク管理に役立ってきたとの認識で一致しました。今後もこの枠組みを通じて実務レベルの対話を続ける方針が確認された形です。
また、2026年に予定されている次回の作業部会に向けて、取り上げるべきテーマや議題についても意見交換が行われました。継続的な対話の場をどう設計するかが、今後の安全保障環境を左右するポイントになりそうです。
中国側が強調した「主権」と「安全保障」
中国側は会合の中で、いわゆる「航行の自由」や「飛行の自由」を名目に、中国の主権と安全を損なうおそれのあるいかなる行動にも断固反対する立場をあらためて表明しました。
さらに、中国に対する侵犯行為や挑発行為、接近した偵察活動にも強く反対するとしたうえで、今後も法令に基づき国家の領土主権と海洋権益を断固として守り、地域の平和・安定・繁栄を維持していくと強調しています。
なぜ今、海と空の「安全な距離」が問われているのか
アジア太平洋地域では、中国と米国双方の軍事活動が活発化しており、軍艦や軍用機が近距離で向き合う場面が増えています。意図しない接触や誤認が起きれば、一気に緊張が高まりかねません。こうしたリスクを抑えるためには、相手の行動原則を共有し、現場での手順を細かくすり合わせることが欠かせません。
今回のような実務レベルの対話は、政治的な立場の違いをすぐに解消するものではありませんが、少なくとも「事故を起こさない」「現場で冷静に対応する」という共通の目標を確認する場になります。緊張が高まるほど、こうした安全メカニズムの重要性は増していきます。
日本と地域にとっての意味合い
日本を含むアジア太平洋地域の国や地域にとって、中国と米国の軍事的なコミュニケーションが保たれているかどうかは、自国の安全保障や海上交通の安定に直結します。今回、両軍がMMCAを通じて対話を重ねたことは、地域の不測の事態を抑えるうえで一定の安心材料といえます。
一方で、海上や空中での活動そのものは今後も続いていくとみられます。どこまで具体的な運用ルールの改善や情報共有が進むのか、そして2026年の次回会合でどのようなテーマが議論されるのかが、今後の注目ポイントになりそうです。
対話の継続がもたらす「小さな安全」
大国同士の関係は、一度の会合で劇的に変わるものではありません。それでも、現場の兵士や乗組員、パイロットの安全を守るための具体的なルールづくりは、目に見えにくい「小さな安全」を積み重ねる作業です。今回のハワイでの協議が、その一歩としてどこまで実を結ぶか。今後も中国と米国の海上・航空対話の行方を丁寧に追っていく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








