ウズベキスタン大統領と中国外相が会談 鉄道・AI協力で関係強化へ
リード:ウズベキスタンと中国が包括的な協力強化で一致
ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は現地時間の金曜日、訪問中の中国の王毅外相(中国共産党中央政治局委員)と会談し、鉄道や人工知能(AI)、貧困削減まで幅広い分野での協力強化を確認しました。2025年の今、中央アジアと中国の関係の行方を占う動きとして注目されています。
会談の概要:習主席への祝意と長年の支援への謝意
ミルジヨエフ大統領は会談の冒頭、中国の習近平国家主席への親書とあいさつを王外相に託し、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議の成功裡の開催に祝意を伝えました。
また、中国の第15次5カ年計画で掲げられた任務は、定められた期間内に達成されると確信していると述べるとともに、これまで中国がウズベキスタンの経済・社会発展や国民生活の向上を長期的に支えてきたことに対し、改めて感謝の意を示しました。
一つの中国の原則と「揺るがない友情」
ミルジヨエフ大統領は、中国とウズベキスタンの協力はさまざまな分野で大きな前進を遂げており、二国間関係の発展はどのような外部要因によっても影響を受けないと強調しました。
そのうえで、ウズベキスタンは一つの中国の原則を揺るぎなく支持し、中国と共にテロリズム、分離主義、過激主義と断固として闘い、互いに信頼できる友人・パートナーとして、尊重と理解、支え合いを続けていく意思を示しました。
鉄道からグリーンエネルギーまで 具体的な協力分野
会談では、今後の具体的な協力分野についても幅広い議論が行われました。ウズベキスタン側は、中国とハイレベルの往来を維持し、戦略的な相互信頼を一層深めたいとの考えも示しました。そのうえで、次のような取り組みを進めたいとしています。
- 中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の建設を本格的に推進すること
- 投資やハイテク分野での協力を強化すること
- インフラや物流など「コネクティビティ(つながり)」の向上
- 農業分野での生産性向上や技術協力
- 再生可能エネルギーなどグリーンエネルギー分野の連携
- 貧困削減に向けた共同プロジェクト
- 文化交流や教育交流など人と人との往来の拡大
- 地方政府・自治体レベルでの協力(いわゆるサブナショナル協力)の深化
高官同士の「トップ同士の信頼」に加え、現場レベルの協力をどこまで広げられるかが、今後の焦点になりそうです。
中国側:改革を進めるウズベキスタンを全面的に支持
王毅外相は、習近平国家主席の親しいあいさつをミルジヨエフ大統領に伝えたうえで、両国の首脳のリーダーシップのもと、中国とウズベキスタンの関係はこれまでにない高い水準に達し、協力は実り多い成果を上げていると述べました。
中国は、ウズベキスタンが国家の独立、主権、領土の一体性を守ることを断固として支持し、ミルジヨエフ大統領が進める改革と発展のための取り組みを強く支持すると表明しました。
さらに王外相は、中国とウズベキスタンは発展戦略が噛み合い、統治の考え方にも共通点が多く、経済構造も高い補完性があると指摘し、互いに支え合う真の友人であり、共に発展を目指す緊密なパートナーだと位置づけました。
第15次5カ年計画がもたらす「新しい機会」
今回の会談の背景には、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で、中国の今後5年間の経済・社会発展の方向性を示す第15次5カ年計画に関する勧告が採択されたことがあります。
王外相は、この上位設計が今後の中国の発展だけでなく、中国とウズベキスタンの協力、さらには世界の発展にも新たな機会をもたらすと強調しました。そのうえで、両国が発展戦略の連携を加速させ、中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道を前進させ、より多くの分野で目に見える成果を生み出していくべきだと提案しました。
両国の貿易額をできるだけ早期に200億ドル規模に拡大し、さらにその先の高みを目指すという目標も示されました。
文化センターと姉妹都市 人文交流の拡大
ハード面のインフラだけでなく、人と人とのつながりを強める「ソフト」な交流も重視されています。王外相は、双方の国に文化センターを設立する作業を加速させ、地方自治体どうしの交流を深め、より多くの姉妹省・姉妹都市をつくるべきだと呼びかけました。
こうした人文交流は、ビジネスや観光、教育など多方面の信頼関係を支える基盤となるため、中長期的な関係の安定につながると考えられます。
貧困削減と2030年目標への評価
ウズベキスタンは近年、貧困削減で顕著な成果を上げているとされます。王外相は、ミルジヨエフ大統領が掲げる「2030年までに絶対的貧困を解消する」という目標は予定通り達成できるとの見方を示し、中国としても自国の経験を共有しながら支援を続ける意向を表明しました。
2030年という中長期の目標に向けて、2025年の段階でどのような協力の枠組みを整えられるかが、今後の鍵となりそうです。
グローバル・イニシアチブとAI協力 国際秩序づくりで「連携」
ミルジヨエフ大統領は、習主席が提唱した四つのグローバル・イニシアチブと、一帯一路(ベルト・アンド・ロード)構想は時代にとって大きな意義を持つと評価し、その実施に中国と共に取り組む用意があると表明しました。中国の世界平和と発展に向けたリーダーシップの役割も高く評価しています。
王外相は、中国が提唱するグローバル・ガバナンス・イニシアチブに対するウズベキスタンの迅速な支持に謝意を示し、国連を中核とする国際システムを守りつつ、上海協力機構(SCO)の枠組みやアフガニスタン問題での協調、中国と中央アジアの協力メカニズムの最適化・強化を進め、「中国・中央アジア運命共同体」をより緊密なものにしていく考えを示しました。
さらに、中国はウズベキスタンが「世界人工知能協力機構」の設立準備に参加し、創設メンバーとなることを歓迎し、国際調停機関である「国際調停機構」への早期加盟を期待するとしています。AI分野や国際仲裁の枠組みで連携することで、より公正で公平なグローバル・ガバナンスを築き、世界の平和と発展に新たな貢献をしていく狙いです。
外相戦略対話:関係の「定期点検」の場に
同じ日に、王外相はウズベキスタンのバフティヨル・サイドフ外相と第2回中国・ウズベキスタン外相戦略対話も開催しました。定期的な戦略対話は、合意事項の進捗を確認し、新たな課題への対応を協議する「関係の定期点検」の場として機能するとみられます。
今回の会談をどう捉えるか
今回の会談は、インフラ、投資、AI、貧困削減、人文交流と、協力分野の広がりが印象的です。中央アジアの要であるウズベキスタンと中国の関係が深まることは、地域の経済回廊づくりや安全保障の枠組みにも影響を与えうるテーマです。
一方で、鉄道建設や貿易額200億ドルの目標、AIや国際調停の新たな枠組みづくりは、短期間で成果が見えるものではありません。今後数年にわたり、どのプロジェクトが実際に動き出し、地域の人々の暮らしにどう反映されていくのかを、落ち着いて追いかけていくことが大切だと言えます。
日本からニュースをフォローする私たちにとっても、中国と中央アジアの関係は、エネルギー、物流、デジタル技術、国際ルールづくりなど、多方面で間接的な影響を持ち得るテーマです。今回の会談をきっかけに、長い時間軸で地域の動きを見ていく視点を持てるとよいのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








