中国と南アフリカ、政治的信頼を一段と強化へ G20直前の会談で確認
12月5日(金)、週末にヨハネスブルクで開かれた第20回G20サミットを前に、中国の李強首相は南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領と会談しました。中国と南アフリカの政治的信頼の深化、経済協力の拡大、そしてアフリカ全体を視野に入れた連携強化が話し合われました。
政治的信頼の深化と「核心的利益」への相互支持
李首相は、中国が南アフリカと共に政治的相互信頼を一層深め、双方の核心的利益と重大な関心事項で揺るぎない支持を続ける用意があると強調しました。核心的利益とは、主権や安全保障、発展の道など、国家の根幹に関わる問題を指します。
李首相は、両国が長年にわたり「山と海を越えた兄弟」として信頼関係を築いてきたと述べました。習近平国家主席とラマポーザ大統領の戦略的な指導のもと、中国と南アフリカは新時代の包括的戦略的協力パートナーシップを推進し、自国の人々に利益をもたらすことを目指しています。
南アフリカの「一つの中国」方針の再確認
ラマポーザ大統領は、李首相を通じて習近平国家主席への親しみを込めたあいさつを伝えてほしいと述べるとともに、自身と習主席が確認した「新時代の包括的戦略的協力パートナーシップ」が、両国関係を歴史的に新たな高みに引き上げたと評価しました。
大統領は、南アフリカが一つの中国方針を揺るぎなく堅持していると改めて表明し、台湾は中国領土の不可分の一部であると再確認しました。そのうえで、南アフリカは中国と共に、互いの核心的利益に関わる問題で引き続き支持し合う姿勢を示しました。
開発戦略の連携とゼロ関税措置の推進
李首相は、10月に開かれた中国共産党中央委員会第20期第4回総会で、第15次5カ年計画の策定に向けた勧告が審議・採択されたことに言及しました。一方、南アフリカも10項目からなる経済行動計画を発表しており、両国は今後、開発戦略の連携を強めていく考えです。
中国側は、南アフリカに対するゼロ関税措置の早期実施を進める方針を示しました。これにより、二国間の貿易拡大や投資促進が期待されます。ラマポーザ大統領は、中国による南アフリカの経済・社会開発への支援に謝意を表し、貿易、投資、鉱業、産業、科学技術、エネルギー、インフラなど幅広い分野で協力をさらに深める意欲を示しました。
鉱業からAIまで 補完性を生かした協力拡大
李首相は、中国と南アフリカが資源や経済構造の補完性を生かし、次のような分野で協力を強化できると述べました。
- 鉱業とインフラ建設
- 自動車産業における新たな協力の柱づくり
- 新エネルギーや人工知能(AI)などの新興分野
- 衛星測位や共同研究施設の設置を含む科学技術イノベーション
中国側は、こうした分野での協力を通じて両国の共通の発展を促し、アフリカ全体の連携強化にもつなげたい考えです。ラマポーザ大統領は、中国企業の投資と事業活動に対し、安全で良好な環境を提供する用意があると述べました。また、他のアフリカ諸国と共に、中国の有利な政策を最大限活用し、アフリカと中国の協力を一段と深めたいとの姿勢を示しました。
貧困削減・農村振興から公衆衛生・教育まで
李首相は、両国が貧困削減や農村振興の経験を共有し合うことを提案しました。そのうえで、公衆衛生、文化、教育、若者交流などの分野でも連携を強め、人々が実感できる成果につなげるべきだと呼びかけました。
こうした「人と人」の交流を重視するアプローチは、経済協力にとどまらず、社会や文化のレベルで相互理解を深めることで、長期的な関係の安定に寄与するとみられます。
アフリカ近代化を支える共同イニシアチブ
李首相によると、中国と南アフリカは、アフリカ大陸の近代化を支援するための協力イニシアチブを共同で立ち上げました。両国は国際社会に対し、アフリカへの関心と投資を一段と高めるよう促しており、中国とアフリカが共に発展を目指す枠組みづくりを進めています。
これは、アフリカ諸国が自らの発展戦略を主導しつつ、国際協力を引き寄せていく動きとも重なり、アフリカの声をグローバルな場でどう反映させていくかという課題とも関わっています。
BRICS・G20での連携と4つのグローバル・イニシアチブ
李首相は、中国が南アフリカと共にBRICSやG20などの場で協調を強め、次のような課題に取り組む方針を示しました。
- 習近平国家主席が提唱する4つのグローバル・イニシアチブの着実な実行
- 多国間貿易体制の擁護
- グローバル・ガバナンス(世界のルールづくり)の改革推進
- 途上国の共通の利益の保護
ラマポーザ大統領は、習主席による4つのグローバル・イニシアチブを高く評価すると述べました。また、国連やG20などの多国間枠組みで中国との意思疎通と協調を強め、多国間主義を共同で守っていく考えを示しました。南アフリカは、今回のG20サミット開催に向けた中国の強力な支援に謝意を表し、中国がサミットの成果創出やコンセンサスづくりに重要な役割を果たしていると評価しました。
今回の会談は何を意味するのか
今回の中国と南アフリカの会談は、次の三つの観点から注目されます。
- 政治面では、一つの中国方針の再確認や核心的利益への相互支持を通じた、信頼の土台の強化
- 経済・技術面では、ゼロ関税や新エネルギー・AI、鉱業・インフラなど多層的な協力を通じた、補完的なパートナーシップの拡大
- 国際秩序の面では、BRICSやG20を舞台にした多国間主義の擁護と、アフリカ近代化を支える新たな共同イニシアチブの推進
グローバルな力学が変化し、いわゆるグローバル・サウスの存在感が高まるなか、中国と南アフリカの関係強化は、国際政治や世界経済の行方を考えるうえで重要な動きの一つです。アフリカと世界の関係、そして多国間協力のあり方をどう再設計していくのか。その一つの方向性を示す会談だったと言えます。
Reference(s):
China ready to deepen political trust with South Africa: Premier Li
cgtn.com








