中国の核融合「人工太陽」計画が加速 国際研究プログラム始動 video poster
中国が核融合エネルギーの国際研究プログラムを立ち上げ、安徽省で進めるコンパクト核融合実験装置BESTの研究計画を公表しました。「人工太陽」実現に向けた一歩として注目されています。
中国が始めた国際核融合研究プログラム
この国際科学プログラムは、核融合研究の鍵となる「燃焼プラズマ」の理解を深めることを目的としています。中国東部の安徽省で月曜日に発表され、同時にコンパクト核融合実験装置BEST(Burning Plasma Experimental Superconducting Tokamak)の研究計画も公開されました。
核融合エネルギーをめぐる国際的な研究競争が続く中で、今回の発表は、中国が「人工太陽」技術の実用化に向けて研究協力を一段と加速させる動きといえます。
「人工太陽」を目指すBESTとは
BESTは、その名の通り燃焼プラズマを対象とした超伝導トカマク型の実験装置です。比較的コンパクトな規模で設計されており、高温のプラズマを安定して閉じ込めるための技術検証を行うことが想定されています。
核融合エネルギーは、太陽内部で起きている反応を模倣してエネルギーを取り出す技術で、「究極のクリーンエネルギー」として期待されています。BESTは、その実現に向けて必要となる物理現象や工学技術を検証する「実験室の人工太陽」と位置づけられます。
核融合エネルギーはなぜ注目されるのか
核融合は、軽い原子核どうしが結びつくことで大きなエネルギーを放出する反応です。燃料として利用できる物質が比較的豊富であるとされ、理論的には二酸化炭素を排出せず、放射性廃棄物の量も抑えられる可能性があります。
こうした魅力から、数十年にわたり世界中の研究機関が核融合に挑戦してきました。特に、強力な磁場で高温のプラズマを閉じ込める「磁気閉じ込め方式」など、さまざまな技術ルートが探究されています。しかし、何億度という超高温状態を長時間、安定して維持することは非常に難しく、各国がしのぎを削って研究を続けている段階です。
国際協力がカギに
今回の取り組みが「国際科学プログラム」として打ち出されたことは、燃焼プラズマ研究における国際協力の重要性が一段と高まっていることを示しています。実験データや知見を共有し合うことで、単独の研究機関では到達しにくい課題にもアプローチしやすくなります。
核融合のような巨大科学プロジェクトでは、装置の建設や運用だけでなく、人材育成や標準化といった側面でも国際的なネットワークが欠かせません。中国が主導する今回のプログラムが、世界の研究者にどのような協力の場を提供していくのかが注目されます。
エネルギー転換の流れの中で
世界的に脱炭素化が大きな課題となる中、核融合は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを補完する長期的な選択肢として語られています。安定して大量の電力を供給できる可能性があることから、エネルギー安全保障の観点でも期待されています。
今回の中国の動きは、クリーンエネルギー技術をめぐる国際的な連携と競争の両方を加速させる可能性があります。どの国や地域がどのような形でこのプログラムに関わり、成果を共有していくのかは、今後の重要なポイントです。
これから注目したいポイント
- 国際科学プログラムに今後どのような国・地域の研究者が参加し、共同研究がどの分野に広がるのか
- コンパクト装置であるBESTから、燃焼プラズマや磁気閉じ込め技術に関するどのような成果が報告されるのか
- 核融合エネルギーが、各国のクリーンエネルギー政策や産業戦略の中でどのように位置づけられていくのか
核融合エネルギーは、いまだ研究段階にある「未来のエネルギー」です。しかし、中国を含む世界各地の取り組みは、今後のエネルギー地図を静かに形づくり始めています。今回の国際科学プログラムとBEST計画が、国際エネルギー政策や技術協力にどのような影響を与えるのか、日本からも注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
China accelerates push for nuclear fusion with global research program
cgtn.com








