李強首相とメルツ首相が会談 G20で中国・ドイツ対話強化と協力拡大を確認
20回目となるG20サミットに合わせて、中国の李強(り・きょう)首相とドイツのフリードリヒ・メルツ首相が会談しました。両首脳は、中国とドイツの対話を一層強化し、互いの懸念を丁寧に扱いながら、経済・技術分野での協力を広げていく方針を確認しました。
G20サミットでの中国・ドイツ首脳会談の概要
会談はG20サミットの場をとらえて行われ、李強首相とメルツ首相は、両国関係の現状と今後の方向性について幅広く意見を交わしました。
李首相は、中国とドイツが互いに重要な経済・貿易パートナーであり、外交関係樹立から53年にわたって対話と協力を重ねてきたと強調しました。その結果、両国の共通の発展が促されてきたという認識を示しました。
また李首相は、今年5月に習近平国家主席とメルツ首相が電話会談を行い、中国・ドイツ関係の一層の深化に向けた方向性が示されたと指摘。そのうえで、「相互尊重」が両国関係の基本原則であり、「ウィンウィンの協力」が最大の特徴だと位置づけました。
さらに、今年は中国と欧州連合(EU)の外交関係樹立50周年にあたることにも触れ、中国・EU関係を長期的かつ広い視野で捉える必要性を訴えました。
李強首相が打ち出した3つのメッセージ
李首相の発言は、今後の中国・ドイツ関係を考えるうえで大きく3つのポイントに整理できます。
- 1. 政治的信頼と「コアな利益」の尊重
両国が互いの核心的利益と重大な関心事項を尊重しあうことで、二国間関係の政治的な土台を固めていくべきだと強調しました。これは、政策対話を通じて誤解や不信を避ける狙いがあります。 - 2. 実務協力の拡大と産業転換の推進
新エネルギー、インテリジェント製造(高度な自動化製造)、バイオ医薬、水素エネルギー技術、自動運転などの新興分野での協力を提案しました。こうした分野での連携を通じて、産業構造の転換と高度化を進め、新たな協力の原動力を生み出したい考えです。 - 3. 現実的で開かれた対中姿勢をドイツに期待
ドイツ側には、理性的で現実的な対中政策をとり、二国間関係を進める際に生じる障害や外部からの圧力を乗り越え、共通利益に焦点を当てて協力の基盤を強化してほしいと呼びかけました。また、EUに対しても、中国をパートナーとして位置づけ、対話と協力を重ねる方向でドイツが役割を果たすことに期待を示しました。
メルツ首相の狙い:開かれた協力と技術連携
メルツ首相は、これまでのドイツ・中国関係が着実に発展し、経済・貿易の結びつきが強まり、多くの分野で実りある協力が進んできたと評価しました。
特に、両国の経済構造が補完関係にあるとしたうえで、中国の第15次五カ年計画がドイツやEUにとって新たなビジネス機会をもたらすとの見方を示しました。ドイツとしては、開放性を維持しつつ、政治・経済・貿易の対話と交流を一段と深めたい考えです。
また、科学技術など将来志向の分野での協力の可能性にも言及し、EUと中国の対話を後押しする上で、ドイツが建設的な役割を果たす意思を表明しました。
さらにメルツ首相は、中国とドイツがともに経済のグローバル化の「受益者」であり「支援者」であるとしたうえで、国際社会での意思疎通と協調を強め、世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制と自由貿易を守り、国際社会の平和・安定・発展を促していく姿勢を示しました。
国際秩序の中での位置づけ:UN・G20での協調
李首相は、中国とドイツが国連やG20などの枠組みの中で意思疎通と協調を強め、グローバル・ガバナンス(国際的なルールづくり)の改善に貢献していくべきだと強調しました。多国間主義と自由貿易を守ることで、国際社会において平和と発展を後押しする「安定した建設的な力」になりたいとの考えを示しました。
なぜ日本の読者にとって重要なのか
一見すると中国とドイツの二国間の話に見えますが、この会談は日本を含むアジアや世界経済にも影響を及ぼしうるテーマを含んでいます。
- サプライチェーンと産業地図への影響
新エネルギーや自動運転、バイオ医薬などで中国・ドイツの協力が進めば、技術標準やサプライチェーンの構造が変化する可能性があります。これらの分野で事業を展開する日本企業にとっても、競争環境や協業の機会に影響が出るかもしれません。 - EUの対中スタンス形成におけるドイツの役割
ドイツはEU内で経済規模が大きく、中国との関係でも中核的な立場にあります。ドイツが中国との対話・協力をどう位置づけるかは、EU全体の対中政策や貿易・気候変動分野のルール形成にも関わってきます。 - 多国間主義と国際ルールの行方
中国とドイツがWTOを中心とした多角的貿易体制や自由貿易の維持に言及したことは、国際ルールに基づく秩序を重視する日本にとっても関心の高いポイントです。UNやG20などでの両国の連携は、国際ルールづくりの議論の方向性に影響を与えうるためです。
今後の焦点:対話の「量」から「質」へ
今回の会談では、「対話の強化」「懸念への適切な対応」「新分野での協力」といったキーワードが繰り返し示されました。今後は、これらをどこまで具体的なプロジェクトや政策協調に落とし込めるかが焦点になりそうです。
新エネルギー、水素技術、インテリジェント製造、自動運転といった分野は、各国が競い合いながらも協力の余地が大きい領域です。今年、中国とEUの外交関係樹立50周年という節目の年に行われた今回の首脳会談は、中国・ドイツのみならず、中国・EU全体の関係を見通すうえで重要な一コマといえます。
今後の中国・ドイツ間の閣僚級対話や企業間協力の動き、そしてEU内での議論の行方を追うことで、世界経済と国際秩序の次の一手が見えやすくなるかもしれません。
Reference(s):
Premier Li urges China, Germany to boost dialogue, address concerns
cgtn.com








