村を起こす一杯のコーヒー 中国・Hubei Villageの小さなカフェが生んだ変化 video poster
中国のHubei Villageで、1軒の小さなカフェが村と人びとの暮らしを静かに変えつつあります。都市から故郷に戻ったPeng Bailingさんが開いた「Fuqi Little Shop」の物語を通して、今の時代の働き方や生き方を考えてみます。
都市のキャリアを手放し、故郷の村へ
2020年、都市部でホワイトカラーとして働いていたPeng Bailing(ペン・バイリン)さんは、その安定した仕事を辞め、自分が生まれ育ったHubei Villageに戻る決断をしました。多くの人が都市に向かうなかで、逆に戻る選択をしたこと自体が、村にとって新しい出来事でした。
村の人びとは、都市で経験を積んだ若い世代が帰ってくる彼女を、新しい風を運ぶ存在として見ました。Pengさんは、そうした期待と好奇心を背に、「パイオニア・ニュー・ビレッジャー(Pioneer New Villager)」として、静かな挑戦を始めます。
朽ちかけた古い家を、村のリビングに
Pengさんが最初に選んだ仕事は、大きな投資ではなく、村に残された古い家の再生でした。長いあいだ手入れされず、崩れかけていた家を見つけると、その姿に可能性を感じたといいます。
彼女は、壁や梁などの基本的な構造をできるだけ残しながら、室内をカフェとして使えるように整えていきました。かつての生活道具や、物置に眠っていた古い家具などは、単なる古いものとして捨てられるのではなく、棚や飾りとして再配置され、空間を彩るアートとして生まれ変わりました。
こうして生まれたのが、温かい雰囲気のコミュニティカフェ「Fuqi Little Shop」です。ここは、コーヒーを飲む場所であると同時に、村の人びとがふらりと立ち寄り、話を交わすための村のリビングのような場になっていきました。
コーヒーが結ぶ、都市と農村の暮らし
Pengさんのカフェは、単に新しい飲み物を持ち込む店ではありません。都市と農村、異なるリズムで生きる人たちの間に、目に見えない橋をかける試みでもあります。
カフェには、村の高齢の住民から、都市から訪れる若い旅行者まで、さまざまな人が集まります。誰かが都市での働き方や暮らしを語れば、別の誰かは村の季節の移ろいや農作業の話を重ねる。コーヒーを挟んだ何気ない会話の積み重ねが、互いの世界を少しずつつなげていきます。
こうした場が生まれたことで、村にとっては次のような変化が起きつつあります。
- 人が集まり、世代を超えて話ができる公共の居場所ができたこと
- 都市の文化として受け止められがちだったカフェやコーヒーが、村の日常の一部になりつつあること
- 都市から訪れた人が、Hubei Villageの風景や暮らしを知り、また誰かに伝えていくきっかけになっていること
Pengさん自身も、都市での経験と村での生活を往復しながら、人と人、人と場所の関係をていねいに編み直していると言えるでしょう。
静かな変化が示す、これからの生き方
Peng Bailingさんの挑戦は、大きなスローガンや派手なイベントではありません。古い家を直し、コーヒーをいれ、人が集まる場を少しずつ整えていく――そんな小さな積み重ねが、村の日常を変えています。
2025年の今、働き方や暮らし方を見直したいと考える人は、日本を含む多くの国や地域で増えています。Pengさんの物語は、都市か地方かという二者択一ではなく、自分が大切にしたい場所で、自分らしいペースで暮らしをつくるという第三の道があることを、静かに教えてくれます。
コーヒーそのものよりも大きいのは、その一杯をきっかけに生まれる対話とつながりです。Hubei Villageの小さなカフェから始まったこの物語は、これからどこまで広がっていくのか――その続きを見守りたくなる、そんな国際ニュースの一場面と言えるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








