CGTNドキュメンタリー「The Spirit of Shaolin」が映す少林寺の今 video poster
中国中部・嵩山のふもとに立つ少林寺を舞台に、禅と功夫の源流と現代の姿を追うCGTNのドキュメンタリー番組「The Spirit of Shaolin」が、古いだけではない「生きた中国文化」を伝えようとしています。
少林寺を訪ねるCGTNドキュメンタリー
中国の国際メディアCGTNのホスト、セルゲイ・ゴルデーエフ氏が案内役を務める「The Spirit of Shaolin」は、中国中部の嵩山にたたずむ少林寺を訪ね、その歴史と現在をカメラに収めます。
嵩山の山あいに建つ古い寺院は、千年以上にわたり世界の人びとを魅了してきた存在とされています。番組は、その少林寺を「中国の禅仏教(チャン仏教)のゆりかご」であり、「少林功夫の発祥の地」として位置づけ、寺に息づく精神性と身体性の両方に焦点を当てています。
禅と功夫、ふたつの修行が交差する場所
番組が描き出すのは、祈りと鍛錬が一体となった少林寺の日常です。静かな読経や座禅の時間と、激しくダイナミックな武術の稽古が、同じ境内で繰り返されている様子は、多くの視聴者にとって印象的に映るでしょう。
少林寺で育まれてきたとされる中国の禅仏教は、「今この瞬間」に心をととのえることを重んじる思想です。その精神が、長い年月をかけて少林功夫の型や呼吸法、所作に刻み込まれてきたことを、番組は映像と言葉で伝えようとしています。
番組の主なポイント
- 中国中部・嵩山の自然の中に建つ少林寺の風景
- 禅仏教の修行と少林功夫の稽古が同じ空間で行われる様子
- 寺の歴史を語る継承者や門弟たちの証言
継承者・弟子・Z世代僧侶が語る少林寺の今
「The Spirit of Shaolin」の特徴は、過去の栄光を振り返るだけでなく、少林寺で暮らす人びとの現在の姿を丁寧に追っている点にあります。番組には、技と教えを守り伝える継承者たち、日々の修行に打ち込む弟子たち、そしてZ世代と呼ばれる若い僧侶たちが登場します。
彼らは皆、同じ少林寺で生活しながらも、それぞれ異なる時代背景や価値観を持っています。幼いころから憧れて寺に入った者、家族の勧めで修行を始めた者、インターネットや映像をきっかけに少林功夫に出会った若者など、その歩みは多様です。
番組は、こうした人びとの声を通じて、伝統が単に「守られるべきもの」ではなく、時代とともに形を変えながら受け継がれていくプロセスであることを示そうとしています。
Z世代の僧侶がひらく古寺の新しい章
作品のもう一つの柱が、Z世代の僧侶たちです。2025年の今、デジタル環境で育った若い世代が、何百年も続く寺院文化の中でどのように生きているのかは、多くの視聴者にとって気になるポイントでしょう。
番組は、修行の厳しさや規律と向き合いながらも、自分なりの言葉で禅や功夫の意味を語ろうとする若い僧侶たちの姿を映し出します。そこには、古い慣習をただ踏襲するのではなく、自分の世代の感覚で理解し直し、国内外の人びとに伝えたいという意識がにじみます。
「古代中国の文化が、現代において新しい章を開こうとしている」という番組のメッセージは、こうした若い僧侶たちの存在によって、より具体的な物語として立ち上がってきます。
国際ニュースとしての少林寺——なぜ今注目されるのか
少林寺や少林功夫は、映画やドラマ、アニメなどを通じて、長く世界のポップカルチャーの一部になってきました。一方で、実際の寺の日常や僧侶たちの価値観まで深く知る機会は多くありません。
CGTNによるこのドキュメンタリーは、国際ニュースとしての中国文化の発信という役割も担っています。歴史や観光の名所としてだけでなく、21世紀の社会の中で少林寺がどのような役割を果たしているのかを知ることは、中国理解を深める一つの窓口になり得ます。
- 伝統文化の継承と変化を、当事者の視点から描いていること
- 宗教・思想・武術・生活が一体となった場としての少林寺を紹介していること
- 若い世代がどのように古い教えと向き合い、次の世代につなげようとしているのかを示していること
日本の視聴者にとっての「問い」
禅や武道の文化を持つ日本の読者にとって、少林寺の物語は決して遠い世界の出来事ではありません。日常の鍛錬を通じて心と体をととのえるという発想は、剣道や柔道、座禅や茶道など、日本の文化とも重なる部分が多くあります。
このドキュメンタリーが投げかけているのは、次のような問いかもしれません。
- 自分たちの身近な伝統や文化は、誰がどのように受け継いでいるのか
- デジタル時代に、心をととのえる場や時間をどのように確保するのか
- 異なる国や地域の精神文化を知ることが、自分の生き方を見直すきっかけになり得るのか
2025年の今、世界のニュースは政治や経済だけでなく、文化や精神性のあり方についても問いかけています。少林寺を描いた「The Spirit of Shaolin」は、その一つの例として、古くて新しい中国文化の姿を日本語で考える手がかりを提供してくれる作品と言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








