中国がオープンソースAIで米国逆転 MIT・Hugging Face調査
MITとオープンソースAI企業Hugging Faceの最新調査で、中国発のオープンソースAIモデルが世界のダウンロードシェアで米国を初めて上回ったことが明らかになりました。国際ニュースとしても、AI競争の構図に静かな変化が生まれています。
MITとHugging Faceの調査、中国が世界首位に
調査によると、過去1年間にダウンロードされたオープンソースAIモデルのうち、中国で開発されたモデルが世界全体の17.1パーセントを占め、米国の15.8パーセントを初めて上回りました。オープンソースAIの世界市場で、中国が重要な位置を占めるようになったことを示す数字です。
ダウンロード数を特に押し上げているのは、DeepSeekやアリババが開発するQwenといった中国発の大規模モデルです。こうしたモデルが開発コミュニティで広く使われることで、中国の存在感はさらに強まっています。
オープンソースAIモデルとは何か
オープンソースAIモデルとは、開発者が自由にダウンロードし、改変し、自社サービスや研究プロジェクトに組み込めるAIモデルのことです。コードやモデルが公開されているため、世界中の研究者やエンジニアが改良や検証に参加できます。
調査によれば、こうしたオープンソースモデルは
- スタートアップ企業の製品開発を加速させる
- AI研究を世界規模で前進させる
- 新しいサービスやビジネスモデルの実験をしやすくする
といった役割を果たしており、その急速な普及がAI技術の未来を形づくりつつあります。
2025年北京カンファレンスで語られた自信
2025年11月21日に北京で開かれた2025 OpenAtom Developers Conferenceでは、中国工程院の院士であるNi Guangnan氏が、オープンソースとAI大規模モデルの重要性を強調しました。
Ni氏は、オープンソースが世界のIT発展の強力なエンジンとなっているとしたうえで、特に大規模モデルが主導するAIの時代には、その勢いが顕著だと指摘しました。そして、中国は現在、オープンソース大規模モデルの世界最大の提供者になっていると述べました。
具体例として、Qwen、DeepSeek、Kimiといったモデルが評価プラットフォームLMArenaで上位に入っていることも紹介され、中国発モデルの評価の高さを示しました。
第15次五カ年計画とオープンソース戦略
中国の第15次五カ年計画2026〜2030年では、より高いレベルの対外開放と互恵協力が掲げられています。その中で、オープンソースの推進と発展は、世界的な潮流と一致する取り組みだと位置づけられています。
国家レベルの計画と、企業やコミュニティによるオープンソースAIの取り組みがかみ合うことで、中国発のオープンソースAIエコシステムは、国内だけでなく国際的にも影響力を増していると見ることができます。
米スタートアップにも広がる採用
Ni氏が引用した米国の報告書によると、米国のAIスタートアップの80パーセントが中国のオープンソースモデルを利用しているといいます。これは、中国で開発されたモデルが、中国国外の開発現場にも深く入り込んでいることを示す数字です。
中国主導のオープンソースコミュニティは海外でも急速に拡大しており、国境を越えて多くの開発者が参加する場になりつつあります。Ni氏は、中国のオープンソースAIエコシステムが包摂性とグローバルな開放性を重視し、国際的な開発者人材を結集し、技術交流を促し、イノベーションに新たな原動力を与えていると説明しました。
日本の開発者・ビジネスにとっての意味
オープンソースAIモデルの存在感が増すことで、日本を含む世界の開発者や企業にとって、利用できる選択肢はこれまで以上に広がっています。特定の国や企業だけではなく、誰もが参加できる形でAI技術の基盤が共有されつつあるともいえます。
日本の読者にとって、注目すべきポイントとしては、例えば次のような点が挙げられます。
- スタートアップや中小企業でも、高性能なAIモデルを活用しやすくなる可能性
- 自社のサービスや業務フローに合わせてモデルを細かく調整できる余地が広がること
- 国際的な開発コミュニティに参加し、世界の最新動向を学びながらプロジェクトを進めやすくなること
中国がオープンソースAIで存在感を高める中、日本の開発者や企業がどのようにモデルを選び、どのような形でグローバルなエコシステムと関わっていくのかは、今後の重要な論点になりそうです。
これからのオープンソースAIをどう捉えるか
オープンソースAIの世界では、どの国のモデルを使うか以上に、どのように使いこなし、どのようなコミュニティに参加するかが問われつつあります。中国発モデルの台頭は、その流れを象徴する出来事の一つといえます。
中国が示しているように、大規模モデルをオープンにし、世界の開発者と共有する動きは今後も続きそうです。読者のみなさんにとって、この変化は自分の仕事や学びとどこでつながるのか。通勤時間やスキマ時間に、少し立ち止まって考えてみるニュースかもしれません。
Reference(s):
China overtakes U.S. in global open-source AI model market: study
cgtn.com








