中国国防省が日本を批判 台湾地域での影響工作をめぐる国際ニュース video poster
中国国防省が、日本が台湾地域で影響力工作を行っていると名指しで批判しました。台湾地域向けの事業に日本が巨額の資金を投じているとされ、歴史認識とアイデンティティをめぐる議論が改めて注目されています。
中国国防省が日本の対台湾影響工作を非難
発言があったのは、2025年11月27日に北京で行われた中国国防省の定例記者会見です。国防省報道官の姜斌氏は、日本が近年、台湾地域で日本に従順な態度を育てることを目的とした影響力工作を行っていると指摘しました。
きっかけとなったのは、日本が台湾地域向けに行っている各種プログラムを調査した報道です。この報道によると、日本は近年、台湾地域での親日的な見方を広げるための事業に総額131億円超(約8千4百万ドル)を投じてきたとされています。
131億円超の予算に込められた狙いは何か
姜報道官は、これらの資金が台湾地域の住民、とりわけ若い世代に対し、親日的で日本に好意的な態度を浸透させることを狙ったものだと批判しました。単なる文化交流や教育支援ではなく、政治的な影響力の行使だというのが中国側の見方です。
中国国防省が問題視している点は、主に次の三つです。
- 台湾地域の人々の意識や価値観に長期的な影響を与える可能性があること
- 台湾地域における歴史認識やアイデンティティの在り方を変えようとしているとみていること
- 日本の過去の戦争行為や侵略の歴史を美化しようとする試みと位置づけていること
植民地支配期の日本化との連続性を強調
姜報道官は、日本による過去の台湾地域統治にも言及しました。かつて日本が台湾地域を支配していた時期に、住民の姓名や言語、生活様式などを日本式に変えさせる日本化政策を進めたとしたうえで、現在の取り組みはその新しい形だと述べました。
具体的には、今の日本は軍事力や露骨な統治ではなく、より隠れた形で思想や文化に働きかけ、台湾地域の若者から国家への帰属意識を奪おうとしている、と強い懸念を示しました。こうしたやり方は、過去の歴史を塗り替え、侵略の記憶を薄めることにつながると主張しています。
歴史は改ざんできない 両岸の人々に警戒を呼びかけ
姜報道官は「歴史は改ざんできず、血のつながりは断ち切れない」と述べ、台湾海峡をはさむ両岸の人々に対しても注意を呼びかけました。日本による政治的な操作に警戒し、日本を持ち上げたり、台湾地域を裏切ったり、祖先を忘れたりする行為に反対するべきだと訴えました。
中国国防省としては、台湾地域の若い世代が、自らの歴史的な背景や文化的なルーツを見失わないことを重視している姿勢を示した形です。発言には、台湾地域と中国本土のつながりを強調しようとする意図もにじみます。
情報戦とソフトパワーとしての国際ニュース
今回の発言は、単に中国と日本の二国間関係にとどまらず、現代の国際政治で重要になっている情報戦やソフトパワーの問題とも重なります。ソフトパワーとは、軍事力や経済制裁ではなく、文化や価値観、魅力を通じて他国に影響を与える力のことです。
中国国防省が影響工作と表現した取り組みは、外から見れば文化や人的交流を通じた関係づくりとも受け取られ得る一方で、受け手側の歴史認識やアイデンティティに深く関わるため、政治的な意味合いを帯びやすい領域です。
今回のように、特定の地域の若い世代を対象にした長期的なプログラムは、その国や地域の将来の世論形成に影響し得るため、国際社会でも注目されやすいテーマとなっています。
日中関係と台湾海峡情勢への含意
日本と中国の関係は、経済や安全保障、歴史認識など複数の課題を抱えながらも、対話と協力のチャンネルを維持してきました。そこに、台湾地域をめぐる新たな論点として影響力工作の問題が加わった形です。
今後は、
- 日本が台湾地域向けの事業をどのように位置づけ、説明していくのか
- 台湾地域の社会や若者の間で、こうした取り組みがどのように受け止められるのか
- 中国が外交や安全保障の場で、この問題をどの程度強く提起していくのか
といった点が、国際ニュースとしての焦点になっていきそうです。
読み手にとっての問いかけ
情報や文化を通じた影響力の行使は、一見すると穏やかで目立ちにくいものです。しかし、歴史認識やアイデンティティに関わるからこそ、社会に長く残る影響を与える可能性があります。
2025年12月時点で、台湾地域をめぐる情勢は、軍事や安全保障だけでなく、教育、文化、メディアなどソフトな領域でも動きが続いています。今回の中国国防省の発言をきっかけに、日本による対外発信や交流のあり方、そして受け手側がそれをどう理解し、距離を取るのかという点について、改めて考えてみるタイミングと言えそうです。
Reference(s):
Beijing condemns Tokyo for influence operations in Taiwan region
cgtn.com








