香港・大埔の大規模火災 死者94人 行方不明200人超で救助続く video poster
香港特別行政区の大埔地区で発生した大規模火災で、死者が94人に達し、200人を超える行方不明者が出ています。香港特別行政区(HKSAR)政府と地域社会が総力を挙げて救助と被害の最小化に取り組むなか、高層住宅の安全や都市防災のあり方が改めて問われています。
何が起きたのか 王福苑を襲った火災
火災が発生したのは、大埔地区にある集合住宅エリアの王福苑です。水曜日の午後に出火し、木曜日の午後に行われた記者会見で、香港特別行政区の李家超(ジョン・リー)行政長官は、消防隊がこれまでに55人を救出したと説明しました。
李行政長官によると、被害を受けた7棟すべてで火の勢いはすでに制圧されています。それでも、香港消防処の発表では、少なくとも94人が死亡し、72人が負傷しました。この72人の中には、懸命な活動を続けた消防士8人も含まれています。行方が分からなくなっている人は200人を超えており、当局は捜索と救助を急いでいます。
主な被害状況
- 場所 大埔地区の住宅エリア 王福苑
- 救出された人 55人
- 死者 94人
- 負傷者 72人(うち消防士8人)
- 行方不明者 200人超
- 被害を受けた建物 8棟中7棟で火災が発生し、いずれも制圧済み
救助と医療対応 ドローンも活用
香港消防処は、延べ304台の消防車両と救助車両を出動させました。また、現場上空から熱源を監視するためにドローンも投入し、再び火が燃え広がることを防ぐ対応を取っています。負傷した72人は病院に搬送され、治療を受けています。
消防隊は、煙や高温が残る建物内での捜索を進めながら、二次災害の防止にも注意を払っています。人命救助と同時に、周辺の安全確保や避難住民の支援など、多面的な対応が求められています。
改修工事が被害拡大の一因か
王福苑は8棟からなる住宅エリアで、火災発生当時、すべての建物が大規模改修工事のために足場と緑色のメッシュシートで覆われていました。警察の捜査では、建物を覆っていた可燃性の資材が火のまわりを早めた可能性が指摘されています。
この改修工事に関わっていた3人の男性が過失致死の疑いで逮捕されており、工事の管理体制や安全基準の順守状況について、詳しい捜査が進められています。現時点で火災の全容や責任の所在が明らかになったわけではなく、今後の調査結果が注目されます。
高層住宅と改修工事 都市が抱える構造的リスク
今回の火災は、人口密度が高く高層住宅が集中する都市特有のリスクを浮き彫りにしました。とくに、居住者が住み続けたまま大規模改修工事が行われるケースでは、火災時の危険が増すことが指摘されています。
一般的に、こうした工事では次のような課題が懸念されます。
- 足場やメッシュシートが張り巡らされることで、避難経路や通風が制限され、煙がこもりやすくなる可能性
- 外壁を覆う資材が不燃性でない場合、火が外側を伝って短時間で複数の階や棟に広がるリスク
- 工事中も住民が居住を続ける場合、避難計画の共有や訓練が不十分になりがちな点
王福苑での火災は、こうした構造的なリスクに改めて光を当てる出来事となりました。今後、香港だけでなく、他の大都市でも工事現場の安全基準の見直しが問われる可能性があります。
香港社会と中国本土の支援の動き
火災発生後、香港特別行政区政府は関係部局を総動員し、避難所の設置や被災者支援、原因究明を進めています。地域社会のさまざまな団体や企業、市民も、物資の提供や寄付、ボランティア活動などを通じて被災者を支えようとしています。
また、中国中央の指導部も今回の火災を受けて哀悼の意を示し、救助と支援に全力を挙げるよう求めています。習近平国家主席は、犠牲者とその家族への深い弔意を表明するとともに、関係当局に対し、人命救助を最優先に対応するよう指示したと伝えられています。
日本にとっての教訓 身近なマンション火災を考える
今回の香港の火災は、遠く離れた出来事でありながら、日本の都市部とも多くの共通点を持っています。日本でも、高層のマンションや団地で足場とシートに覆われた改修工事の光景は珍しくありません。
私たちが日頃からできる備えとして、次のようなポイントが挙げられます。
- 自宅や職場で改修工事が行われる際、避難経路や非常口が確保されているかを確認する
- 足場やシートで出入り口や非常階段が塞がれていないか、気になる点は管理会社や自治会に相談する
- 家族や同僚と、火災時の連絡手段や集合場所を事前に話し合っておく
- 消火器や火災報知器の設置場所と使い方を、日常的に共有しておく
大規模災害のニュースは、ときに自分とは無関係な遠い出来事に感じられるかもしれません。しかし、香港・大埔の火災をきっかけに、私たちが暮らすマンションやオフィスビルの安全性を見直すことができます。都市に暮らす一人ひとりが、日常の中でどこまで備えを進められるかが、これからの大きな課題となりそうです。
Reference(s):
Concerted efforts underway as Hong Kong races to minimize fire losses
cgtn.com








