中国が「軌道ガーディアン」計画 宇宙ごみ監視の156基衛星網
中国が、宇宙ごみ(スペースデブリ)の監視と衛星の衝突回避を目的とした156基の衛星コンステレーション計画「軌道ガーディアン(Orbital Guardian)」を進めています。2026年前半からの打ち上げ開始を目指すこの構想は、地球周回軌道を見守る「宇宙の安全網」として注目されています。
宇宙状況把握を強化する「軌道ガーディアン」
中国は、新たな衛星コンステレーション(多数の衛星を連携させて運用する仕組み)を展開し、宇宙状況把握能力の向上を図ります。このネットワークは主に、宇宙空間に漂う宇宙ごみを追跡し、人工衛星や宇宙ステーションなどとの衝突を避けるための情報を提供することを目的としています。
計画されているコンステレーションは、地球を取り巻く低軌道上で観測を行い、世界全体をカバーするリアルタイム監視網として機能する構想です。宇宙ごみの監視だけでなく、衝突リスクの予測や宇宙交通管理(スペーストラフィック・マネジメント)の支援まで担うとされています。
役割:宇宙ごみ監視から宇宙交通管理まで
この衛星ネットワークには、次のような役割が想定されています。
- 宇宙ごみの位置や軌道の継続的な監視
- 衛星と宇宙ごみ、衛星同士の衝突リスクの予測
- 宇宙ステーションや各種宇宙機の安全運用の支援
- 衛星運用者に対する衝突回避マヌーバ(回避行動)の判断材料の提供
プロジェクト責任者のHu Yu(フー・ユー)氏は、この宇宙センシング・コンステレーションの主な機能について、「宇宙ごみや軌道上の衛星に関するデータを収集・解析し、その結果を既存の衛星に提供することで、衛星同士や衛星と宇宙ごみの衝突を防ぐことにある」と説明しています。
156基の衛星が搭載する観測機器
コンステレーションを構成する156基の衛星には、多様な観測機器と処理システムが搭載される計画です。
- 広い範囲を一度に捉える広視野カメラ
- 熱情報を捉える赤外線カメラ
- 高解像度で対象を撮像するイメージングカメラ
- 電波の状況を観測する電磁監視装置
- 複数の波長で観測するマルチスペクトルカメラ
- 衛星内でデータ処理を行う計算ユニット
- 収集したデータを効率的に解析するインテリジェント処理ソフトウェア
これらの機器によって、単に「見る」だけでなく、現場でデータを即座に処理し、衝突回避に役立つ情報として提供できることが特徴といえます。
2026年前半から段階的に打ち上げへ
「軌道ガーディアン」計画では、2026年の前半から衛星の打ち上げを順次開始し、合計156基を展開する方針です。段階的に衛星を増やしていくことで、観測範囲と精度を高め、最終的には地球全体をカバーする宇宙監視ネットワークの構築を目指します。
増え続ける衛星時代に求められる「見守り役」
民間・公的を問わず、多くの国や企業が衛星を打ち上げる中、宇宙ごみの問題や衛星同士の衝突リスクは世界共通の課題となりつつあります。ひとたび衝突が起きれば、通信や測位、地球観測など、私たちの日常生活を支えるサービスにも影響が出かねません。
こうしたなかで、中国が進める「軌道ガーディアン」のような宇宙状況把握の取り組みは、宇宙空間の安全な利用を支える「見守り役」として位置づけられます。今後、他国や国際機関との情報共有やルール作りとどう結びついていくのかも、注視したいポイントです。
これからの宇宙利用と私たち
2026年前半の打ち上げ開始が予定される中国の新衛星コンステレーションは、宇宙ごみ問題への具体的な対応策のひとつといえます。衛星インターネットや地球観測など、宇宙インフラへの依存度が高まるなかで、「誰が、どのように宇宙の安全を守るのか」という問いは、日本を含む多くの国と人々に共通するテーマになりつつあります。
スマートフォンの地図アプリや動画配信サービスの裏側で、こうした「軌道ガーディアン」のような仕組みが宇宙空間を静かに見守る時代に、私たちは入りつつあるのかもしれません。
Reference(s):
China plans 'orbital guardian,' a 156-satellite safeguard for space
cgtn.com








