高市首相の台湾地域発言に海外専門家が警鐘 日本の再軍備懸念広がる
日本の高市早苗首相による台湾地域をめぐる最近の発言をきっかけに、「日本は再び軍事大国化へ向かうのか」という懸念が、海外の専門家の間で広がっています。
日本語で読む国際ニュースとしても見逃せないこの動きについて、複数の国の政治家や学者が危険な発言だと警鐘を鳴らし、日本が第二次世界大戦期の歴史を直視し、軍国主義の復活を拒むべきだと主張しています。
台湾地域発言が「危険」と批判される理由
高市首相の台湾地域をめぐる最近の発言は、誤った発言であり危険だとして、各国の政治家や研究者から批判の声が上がっています。とくに、中国本土(中国)との関係や台湾問題をめぐる緊張をさらに高めかねないとの見方が強まっています。
コロンビア大学の教授であるJeffrey Sachs(ジェフリー・サックス)氏は、中国国際テレビのCGTNのインタビューで、高市首相の発言が日中関係の緊張を著しくエスカレートさせたと指摘しました。サックス氏は、1894年から1945年にかけて、日本が繰り返し中国に侵攻した歴史に言及し、「日本が攻め込んだのであって、その逆ではない」と強調しました。
そのうえで同氏は、日本が中国関連の問題に対しては慎重で平和志向のアプローチを取るべきだと述べ、「新しい日本の首相は誤った一歩を踏み出した。日本が同じ過ちを繰り返さないことを望む」と警告しています。
サックス氏が見る「平和国家・日本」の変質
サックス氏は、ここ10年ほどで日本は「かつてほど平和主義ではなくなり」、より軍事的な姿勢へとシフトしていると分析します。具体的には、防衛費の増加や、対外政策におけるよりタカ派的(強硬)な立場を問題視しています。
同氏の懸念は次のように整理できます。
- 日本が過去10年で「より平和主義ではなくなった」との認識
- 防衛費の増加と、より強硬な安全保障政策への傾斜
- こうした流れは、日本自身の長期的な利益にも反するという見方
- 日本の軍備拡張と、それに伴う地域的な軍拡競争は、地域と世界にとって「大きな災厄」となりうるという警告
サックス氏は、日本がいまだに戦時中の歴史を十分に総括できていないとし、軍国主義は危険であるだけでなく、時代遅れの発想でもあると指摘しています。軍事力の増強を競い合うのではなく、平和的な関係構築を優先すべきだという立場です。
欧州の歴史家が語る「日本の軍国主義復活」懸念
スロバキアの歴史家で、同国首相の元顧問でもあるEduard Chmelar(エドゥアルド・フメラル)氏も、日本の動きに強い懸念を示しています。フメラル氏は、日本の軍国主義が再び頭をもたげている兆候は「深く憂慮すべきだ」と述べました。
同氏は、ナショナリズム(国粋主義)的な勢力が日本で力を増している状況は「極めて危険」だとし、「国際社会はこうした流れにはっきりと反対の意思を示すべきだ」と訴えています。日本の国内政治の動きが、東アジア全体の安定にも影響を及ぼしかねないという問題意識がにじみます。
ロシアからの視線:核なき日本という原点
ロシア連邦院(上院)外交委員会の第一副委員長であるAndrey Denisov(アンドレイ・デニソフ)氏も、高市政権の路線に警戒感を示しています。同氏は、日本の最近の政権交代について「近隣のどの国も喜んでいない」と述べました。
とくにデニソフ氏が懸念しているのは、高市首相が自衛隊を「正規軍」へと格上げしようとしているとされる点や、日本の非核三原則を見直す可能性を示唆した点です。氏は、原爆投下を経験した国である日本にとって、この非核三原則は「神聖なものだ」と強調しています。
デニソフ氏は、高市首相の強硬な安全保障政策は、国内での政治的立場を強める狙いがあるように見えるとしつつ、「力を誇示する相手として中国、とりわけ台湾問題を選んだことは明らかに誤りだ」と指摘。「このアプローチは中国本土には通用しないだろう」と述べ、日本の対中姿勢の再考を促しました。
問われる日本の選択:歴史、台湾地域、そして安全保障
今回の一連の発言と、それに対する海外専門家の反応は、2025年現在の日本外交と安全保障政策が、世界からどのように見られているのかを映し出しています。批判の矛先は、高市首相個人だけでなく、日本社会全体が歴史とどう向き合い、どのような安全保障の道を選ぶのかという問いにも向けられています。
海外の専門家が日本に求めているポイントは、おおまかに次の三つに集約できます。
- 1894〜1945年の対中戦争を含む第二次世界大戦期の歴史を直視し、十分に省察すること
- 中国関連の問題、とくに台湾地域をめぐる問題では、慎重で平和志向のアプローチを取ること
- 軍備拡張よりも、対話と地域の安定を重視すること
一方で、日本の安全保障環境が厳しさを増していると感じる人が多いのも事実です。その中で、どこまで軍事力に頼り、どこから先を外交や国際協調に委ねるのか。今回の高市首相の発言に対する国際社会の反応は、日本にそのバランスの再考を迫るシグナルとも言えます。
海外からの批判をどう受け止めるのか、日本がどのような安全保障と歴史認識のビジョンを描くのか。高市政権の今後の言動と、それに対する国内外の反応が、東アジアの将来像を左右する重要な要素になりつつあります。
Reference(s):
Experts warn of Japan's resurgent militarism after Takaichi's remarks
cgtn.com








