中国外交のいまを読む 人類運命共同体へ向けた6つのキーワード
リード:なぜ今、中国外交を読むのか
2025年12月現在、中国外交の中心にあるキーワードが「人類運命共同体」です。中国は「どのような世界をつくり、どうつくるのか」という問いに対し、人類が運命を共にする共同体を築くことだと答えています。
このビジョンは、習近平外交思想の中核とされ、中国の「新時代の大国外交」の目的として位置づけられています。本記事では、その中国外交を理解するための6つのポイントを、国際ニュースを日常的に追う読者向けに整理します。
1. 多極化する世界と、包摂的な経済グローバル化
中国外交の出発点の一つが「平等で秩序ある多極化」と「すべての国に利益が行きわたる包摂的な経済グローバル化」です。
中国は、特定の国だけが「テーブルにつき」、他の国が「料理にされる」ような国際秩序には反対し、大きさや力に関わらずすべての国が、
- 平等な権利を持ち
- 意思決定に参加し
- 国際秩序づくりに役割を果たせること
を重視しています。
そのために、中国は国連憲章の目的と原則や、国際関係の基本的な行動規範を守ることを各国に呼びかけています。中国が言う多極化は、ブロック化や分断、混乱を生み出すためのものではなく、より安定した国際システムをつくるためのプロセスだと位置づけられています。
また、経済グローバル化についても、単にパイを拡大するだけでなく、その成果をより公正に分配すること、そして各国が自国の国情に合った発展の道を選べるよう支えることを強調しています。
2. 周辺国を最優先にする外交
広大な国土と長い国境線を持つ中国にとって、周辺国との関係は外交全体の柱であり、人類運命共同体の構想を具体化するうえでも重要な鍵とされています。
中国は、周辺国外交を進めるための原則として、
- 親善
- 誠意
- 互恵
- 包摂
という四つのキーワードを掲げています。これに基づき、周辺国との間で「共に未来をつくる共同体」を築くことを目標としてきました。
現在までに、中国は17の周辺国と、この共同体づくりに関する目標や理解を共有し、とくにインドシナ半島と中央アジア地域では、このビジョンが幅広く行きわたる形になっています。
2025年4月8〜9日に開かれた周辺国工作会議では、中国と周辺国との関係は「近代に入って以来、最も良好な状態」にあると評価されました。この会議では、アジアの安全保障モデルも提起されました。
このモデルは、
- 利益もリスクも共に分かち合うこと
- 相違点を棚上げしつつ、共通点を優先して協力すること
- 力ではなく対話と協議を優先すること
を特徴とし、アジアにおける安定と協力の枠組みとして位置づけられています。
3. 大国間関係の安定を重視
国際ニュースにおいて、中国と他の大国との関係は常に注目されます。中国外交は、大国間関係の安定が世界全体の戦略的安定に直結すると捉え、その「全体としての安定維持」を重要な目標にしています。
中国が目指す大国関係の姿は、
- 平和共存
- 全体としての安定
- バランスの取れた発展
です。
具体的には、
- ロシアとの「新時代における包括的戦略協力パートナーシップ」の一層の深化
- 中国と米国の関係について、障害や妨げとなる要因を取り除き、健全で安定的かつ持続可能な発展を図る努力
- 国際的な影響力を持つ中国と欧州連合の包括的戦略パートナーシップの構築
- その他の新興大国との協力の積極的な推進
といった方向性が示されています。
4. 開発途上国との連帯と協力
中国は、開発途上国を国際舞台での「自然なパートナー」と位置づけ、人類運命共同体の構築における最前線にいる存在だと見なしています。
世界最大の開発途上国であり、グローバルサウスの重要な一員として、中国は、
- 誠実
- 実効性
- 友好
- 信義
を重んじる原則と、「義と利の両立」を図る姿勢を掲げ、開発途上国との連帯と協力を強めてきました。
近年とくに注目される取り組みとして、
- アフリカと共に近代化を進める協力
- 中南米・カリブ諸国と共に、連帯、発展、文明、平和、民と民の交流という五つのプログラムを推進
- アラブ諸国と共に、八大協力イニシアチブと五つの協力枠組みを打ち出す取り組み
- 太平洋島しょ国と共に、七つの協力プラットフォームを構築
などが挙げられます。こうした動きは、開発途上国全体の共通利益を守る試みと位置づけられています。
5. 世界に提供する四つのグローバル・イニシアチブ
中国は、国際社会に対して四つのグローバル・イニシアチブを「国際公共財」として提案しています。いずれも習近平氏によって打ち出されたものです。
- グローバル発展イニシアチブ(GDI)
- グローバル安全保障イニシアチブ(GSI)
- グローバル文明イニシアチブ(GCI)
- グローバルガバナンス・イニシアチブ(GGI)
それぞれの狙いは次のように整理できます。
- GDI:開発をめぐる国際協力を強化し、各国が発展目標を達成できるよう支える。
- GSI:国際紛争を武力ではなく対話と協議によって解決することを重視する。
- GCI:文明間の交流と相互学習を促進し、多様な文化が共存する世界を目指す。
- GGI:より公正で公平なグローバル・ガバナンス(世界のルールや制度)の在り方を示し、その改革の原則や方法、道筋を提示する。
とくにGGIは、国際ガバナンスの仕組みを見直すうえでの指針を示し、人類運命共同体の構築に向けた動きに新たな推進力を与えるものと位置づけられています。
6. 人類運命共同体という長期ビジョン
六つ目のポイントは、中国外交全体を貫く長期ビジョンである「人類運命共同体」です。これは、新時代の中国の大国外交が掲げる「崇高な目標」とされています。
このビジョンは、国際社会からの理解と支持を着実に広げており、中国が世界に提供する代表的な公共財としての性格を強めています。過去8年連続で、国連総会の複数の決議や、二国間・多国間の共同声明などに盛り込まれてきました。
現在までに、多くの国や地域がさまざまな形で中国とこのビジョンに関する理解を共有し、協力を進めています。サイバー空間、原子力安全、保健、自然と人間の調和、海洋などの分野で、このビジョンを具体化する取り組みが着実に前進しているとされています。
おわりに:ニュースを読むための座標軸として
2025年の国際ニュースを追ううえで、中国外交の六つのポイントを押さえておくことは、中国と世界の関係や、アジアを含む国際秩序の変化を理解するための重要な手がかりになります。
人類運命共同体、多極化、周辺国重視、大国間関係の安定、グローバルサウスとの連帯、四つのグローバル・イニシアチブという六つの視点を頭に置きながらニュースを読むことで、個々の出来事をより立体的に捉え、自分なりの見方を深めることができるでしょう。
Reference(s):
Analysis: Six things you need to know about China's diplomacy
cgtn.com








