中国、AI特許の倫理審査を強化へ 2026年から新ガイドライン施行
中国が人工知能(AI)関連の特許審査で倫理面のチェックを強化します。2026年1月1日に施行予定の新たな特許審査ガイドラインのポイントと、その背景を整理します。
AI特許に倫理審査を明記した新ガイドライン
中国国家知識産権局(CNIPA)は記者会見で、改正版の特許審査ガイドラインにおいて、人工知能とビッグデータに関する専用の章を初めて設けると説明しました。新ガイドラインは2026年1月1日に施行される予定です。
この専用章では、AI関連の技術解決策について、次のような点が重視されます。
- データ収集やルール設定など、AIの実装方法が法律の要件に適合していること
- 社会倫理や公共の利益に反しないかどうかを審査すること
- モデル構築・モデル訓練などの場面ごとの記載要件を明確化すること
データ収集とルール設定も審査対象に
CNIPAのJiang Tong氏は、新しい章で、データの集め方やルールの設定方法といったAIの実装に関わる部分が、法令や社会倫理、公共の利益に適合しているかどうかを確認する方針を示しました。単にアルゴリズムの性能だけでなく、社会への影響を含めた視点から技術を評価していく姿勢がうかがえます。
ブラックボックス性と「十分な開示」
AIモデルは内部の仕組みが外から見えにくいことから、特許出願の際に技術内容の開示が不十分になる懸念があります。Jiang氏は、こうしたブラックボックス性に対応するため、新ガイドラインで十分な開示かどうかの判断基準を細かく整理したと説明しました。
具体的には、モデル構築やモデル訓練のシナリオごとに、どのような情報を明確に書くべきかを定めることで、出願人と審査側の双方にとって分かりやすいルールづくりを目指しているとみられます。
第15次五カ年計画期間の知財戦略と国際協力
記者会見では、CNIPAのLiang Xinxin氏が、第15次五カ年計画(2026〜2030年)期間の知的財産権発展計画についても言及しました。
この計画では、次のような方向性が示されています。
- 知的財産分野での国際的な協力と交流を継続的に深める
- 国内企業と海外から投資を受ける企業の知的財産権を平等に保護する
- あらゆるタイプの企業にとって有利なビジネス環境を整える
- 国内市場と国際市場の二つの循環を促進する
AI特許に対する倫理審査の強化は、こうした長期的な知財戦略の一環として位置づけられており、技術の保護と社会的な信頼の両立を目指す動きといえます。
日本企業・研究者が押さえておきたいポイント
中国でのAI関連特許を検討する企業や研究者にとって、今回の発表は今後の出願戦略に影響を与える可能性があります。現時点で想定されるポイントを簡単に整理します。
- AIやビッグデータ関連の発明について、データの扱い方やルール設定が法律や社会倫理とどのように整合しているかを説明できるよう準備しておく必要があります。
- モデル構築・学習プロセスに関する技術情報を、従来よりも具体的かつ体系的に開示することが求められると考えられます。
- AIの利用目的や社会的影響を意識した設計や運用が、特許審査での評価に影響する可能性があります。
AI技術が急速に進化するなかで、特許制度もまた変化を迫られています。2026年1月から施行される新ガイドラインが、AIと知的財産の関係をどのように形作っていくのか、今後の運用に注目が集まりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








