神舟21号クルー、軌道上で宇宙実験と初の減圧緊急訓練 国際ニュース解説 video poster
神舟21号クルー、軌道上で宇宙実験と緊急訓練を集中的に実施
有人宇宙船神舟21号のクルーであるZhang Lu、Wu Fei、Zhang Hongzhangの3人が、先週、軌道上で多くの宇宙実験と緊急対応訓練、設備点検を集中的に行いました。国際ニュースとしても注目される宇宙開発の最新動きを、日本語で整理してお伝えします。
微小重力で「直感の物理」を測る実験
クルーはまず、船内に備え付けられたノートパソコンを使い、微小重力環境での「直感的な物理感覚」を調べる実験に取り組みました。この実験では、長期の宇宙滞在が、人が物体の動きなどをどのように直感的に理解し、予測するかという「身体に染みついた物理の感覚」にどんな影響を与えるのかを、行動データとして詳しく記録します。
得られたデータは、宇宙飛行から帰還したあとに、その感覚がどのように回復していくのかを分析する手がかりにもなり、今後の長期ミッションの安全性や作業効率の向上につながると期待されています。
ラマン分光計で尿を分析 宇宙医学データを蓄積
宇宙医学の分野では、クルーがラマン分光計という分析装置を使い、尿に含まれる代謝成分を詳しく調べました。ラマン分光計は、光の散乱を利用して物質の状態を非破壊で分析する装置で、宇宙空間でも使えるのが特徴です。
この分析結果は、宇宙飛行中の身体の変化を示す「代謝物バイオマーカー」を整理し、その指標や評価基準をより精密にするために役立てられます。クルーは同時に、宇宙医学実験を支える新しいソフトウェアのインストールも完了させ、今後のデータ取得体制を強化しました。
微小重力物理の装置更新とモジュール作業
微小重力下の物理科学実験では、二相流(液体と気体が混ざった状態)に関する実験キャビネットの中で、高速撮像データを保存するストレージユニットの交換が行われました。あわせて、実験モジュールの分解と再組み立て作業も完了しています。
こうしたハードウェアの更新や再構成は、長期運用される宇宙ステーションにとって欠かせない作業であり、安定したデータ取得と実験の継続性を支える「縁の下の力持ち」のような役割を果たします。
初の「全系統」減圧緊急訓練で対応力を確認
今回注目されたのが、クルーによる初の「全系統」圧力異常を想定した緊急訓練です。宇宙ステーション内部で減圧が起きたという想定のもと、クルーは手順書に沿って、警報の確認から隔壁の閉鎖、機器の状態確認、地上管制との連絡に至るまで、一連の対応プロセスを通しで実践しました。
この訓練により、軌道上での危機対応能力だけでなく、地上の運用チームとの連携体制も改めて確認されました。突発的なトラブルが許されない宇宙空間では、こうした「もしも」に備えたリハーサルが、安全確保の要となります。
冷凍庫から空気まで 日常の点検・整備
日常的な点検・整備も、計画どおりに行われました。クルーが確認した主な項目は次のとおりです。
- 低温保存装置およびマイナス80度の宇宙用フリーザーの状態確認
- 環境制御用ガスボンベの圧力チェック
- 再生型生命維持システム機器のメンテナンス
さらに、船内の物資を整理し、キャビンの清掃を行うなど、「宇宙での家事」ともいえる作業も実施されました。清潔で整理された居住空間は、クルーの健康と安全、そして長期ミッションのストレス軽減にも重要です。
非侵襲の心機能検査で健康状態をモニタリング
クルーは、身体への負担が少ない非侵襲型の心機能検査を含むいくつかの医学的評価も受けました。取得された最新の生理データは、地上の研究者に送られ、3人それぞれの健康状態を継続的にモニタリングするために活用されています。
宇宙飛行中の心臓や循環器への影響を詳しく把握することは、ミッション期間中の安全確保だけでなく、将来の宇宙飛行士の選抜や訓練プログラムの改善にもつながると考えられています。
宇宙での「当たり前の一日」が未来の常識を変える
今回の神舟21号クルーの1週間の活動は、一見すると地味な点検や実験の積み重ねに見えるかもしれません。しかし、微小重力での感覚の変化の測定や、尿分析を通じた宇宙医学データの蓄積、減圧を想定した緊急訓練など、その一つひとつが、将来の長期宇宙滞在や月・火星探査を見据えた基盤づくりになっています。
宇宙開発のニュースは、ついロケットの打ち上げや新技術に目が向きがちですが、軌道上で続く地道な実験と運用の積み重ねこそが、次の大きな一歩を支えています。私たちが地上で「当たり前」と思っている安全や健康管理の常識が、宇宙でどう変わり、どう適用されていくのか——今後の国際ニュースをフォローするうえで、今回のミッションは一つの重要なヒントを与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








