中国・アフリカ関係、戦略的パートナーシップ10年の節目
中国・アフリカ関係が、新しい戦略的パートナーシップの提案から10年を迎えました。インフラ整備からゼロ関税まで、この10年で何が変わり、これから3年間で何が動こうとしているのかを整理します。
2015年ヨハネスブルクから始まった新たな段階
2015年12月4日、南アフリカ・ヨハネスブルクで開かれた中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)首脳会合で、中国の習近平国家主席は、中国とアフリカの新型の戦略的パートナーシップを、包括的戦略協力パートナーシップへと格上げすることを提案しました。
2025年の今年は、その節目からちょうど10年にあたり、この間に中国とアフリカはかつてない規模で協力を深め、互恵的な成果を積み重ねてきたとされています。この10年間、両者は共通の課題に取り組み、経済発展を促し、人と人とのつながりを強めることで、近代化と持続可能な発展という共通ビジョンを追求してきました。
2024年北京FOCACと新時代の中ア運命共同体
昨年北京で開かれた2024年のFOCAC首脳会合では、習近平国家主席が新時代の全天候型の中ア運命共同体の構築を呼びかけました。中国と外交関係を持つすべてのアフリカ諸国との二国間関係を、戦略的関係のレベルに引き上げることも提案されています。
このビジョンを具体化するため、習主席は今後3年間で実施する10の協力行動も打ち出しました。対象となる分野は、文明交流から安全保障まで幅広く、次のような内容が含まれます。
- 文明間の相互学習
- 貿易の繁栄
- 産業チェーン協力
- コネクティビティ(交通・物流ネットワーク)
- 開発協力
- 保健・医療
- 農業と民生
- 人と人との交流や文化交流
- グリーン開発
- 共同安全保障
これらの行動計画を通じて、中国とアフリカは産業構造の高度化や持続可能な発展、人材育成などを同時に進めていくことを目指しています。現在、この枠組みは実行段階に入りつつあります。
25年で築かれたインフラとつながり
中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)の設立から約25年の間に、中国はアフリカで10万キロ以上の道路、1万キロ超の鉄道、約1,000の橋、約100の港を建設する支援を行ってきたとされています。
こうしたインフラは、アフリカ域内の貿易を促進し、地域間のつながりを大きく高めました。物流コストの削減や移動時間の短縮は、アフリカの経済成長を支える重要な土台になりつつあります。
インフラ協力は、単に道路や鉄道を増やすだけではありません。輸送ネットワークが整うことで、農産物や工業製品が市場に届きやすくなり、地域間の経済格差を縮小する可能性も指摘されています。
ゼロ関税が広げるアフリカ市場の可能性
貿易面では、ここ数年で中国・アフリカ関係に新たな動きが出ています。2024年12月1日から、中国は外交関係を持つすべての後発開発途上国(LDC)に対し、輸入品目の100%を対象にゼロ関税を適用しました。この中には33のアフリカ諸国が含まれています。
さらに2025年6月には、中国と外交関係を持つアフリカ53カ国すべてを対象に、全関税品目でゼロ関税を適用することが発表されました。専門家の間では、これにより中ア間の産業協力が一段と深まり、双方にとってより高い付加価値を生み出す余地が広がるとの見方が出ています。
ケニアのシンクタンク、アフリカ政策研究所の中国・アフリカセンターを率いるデニス・ムネネ・ムワニキ所長は、中国のゼロ関税措置によって、アフリカの後発開発途上国が中国市場へのアクセスを大きく拡大できると評価しています。これにより、アフリカ各国の経済成長が後押しされ、貧困削減や経済の多角化も進むと見込まれています。
ゼロ関税の主な効果として、次のような点が挙げられます。
- 中国市場へのアクセス拡大により、アフリカ産品の輸出機会が広がる
- 原材料輸出だけでなく、加工や製造を含む付加価値の高い産業協力が進む可能性
- 貧困削減や経済の多角化を後押しし、中長期的な成長基盤の強化につながること
教育・医療・環境で広がる人への投資
中国・アフリカ関係は、貿易やインフラだけでなく、人への投資という側面でも広がっています。中国はアフリカからの留学生に多数の奨学金を提供し、多くの専門家や技術者を育成してきました。
また、アフリカ各地で病院や医療センターの建設を支援し、保健体制の強化にも協力しています。環境保護の分野でも共同プロジェクトが進められており、人と人との交流や文化交流を含めた、人間の安全保障に焦点を当てた取り組みが目立ちます。
こうした人材交流や医療協力は、相互理解と信頼を育てる土台となり、長期的なパートナーシップを支える見えないインフラとも言えます。
これから3年間、中国・アフリカ関係の注目ポイント
2024年のFOCACで打ち出された10の協力行動は、今後3年間の中国・アフリカ関係の方向性を示すものです。2025年末のいま、日本からこの動きを見るうえで、特に次のようなポイントに注目すると全体像がつかみやすくなります。
- インフラ整備と産業チェーン協力が、アフリカ各国の雇用や産業の多角化にどこまで結びつくか
- ゼロ関税措置が、アフリカ発の輸出拡大と新たなビジネス機会につながるか
- 奨学金や人材育成、医療・環境協力を通じた人と人とのつながりが、どのように深化していくか
中国・アフリカ関係は、モノや資金のやり取りだけでなく、制度や価値観、人材を含む総合的なパートナーシップへと広がりつつあります。戦略的パートナーシップの10年という節目を迎えた今後3年間の動きは、アフリカだけでなく、世界全体の経済や国際秩序の行方を考えるうえでも重要な手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








