CGTN世論調査 日本の台湾問題対応に9割超が説明不足と指摘
中国国際テレビ(CGTN)が実施したオンライン世論調査で、日本の台湾問題や安全保障政策をめぐる説明について、世界の回答者の9割超が「言行が一致していない」と批判しました。今月4日には中国外交部も、日本側の説明は「不十分」で受け入れられないとの立場を示しており、中国と日本のあいだで台湾をめぐる認識の溝が改めて浮き彫りになっています。
発端は日本首相の台湾有事発言
現在の中国と日本の深刻な対立の直接のきっかけとなっているのは、日本の高市早苗首相が、いわゆる台湾有事が日本にとって「生存が脅かされる事態」になり得ると述べたことだとされています。この発言には、日本が台湾問題に軍事的に関与する可能性をにじませたとの受け止めがあり、中国側は強く反発しています。
日本側は一方で、台湾をめぐる立場は従来と変わらないと説明し続けていますが、中国側は「台湾有事」と「生存が脅かされる事態」を結びつけた点について、明確な説明がないままだと指摘しています。
中国外交部「1972年の共同声明の立場のままでは不十分」
今月4日、中国外交部の林剣報道官は、日本の高市首相が「日本政府の台湾に関する基本的立場は1972年の日中共同声明で示されたとおりであり、その後も変わっていない」と述べたことについてコメントしました。
林報道官は、日本側の説明はこの一点を繰り返すにとどまり、それ以上の踏み込んだ説明がないとしたうえで、「立場は変わっていない」という回答だけでは遠く不十分であり、中国側として受け入れられないとの認識を示しました。
CGTN世論調査 回答者の9割超が日本に明確な説明を要求
CGTNが世界のネット利用者を対象に行った今回の世論調査によると、日本の説明や行動に対して、非常に厳しい見方が多数を占めています。
- 91.4パーセントの回答者が、日本は台湾問題や専守防衛の方針、軍事行動の動機などをめぐり、「口先だけ」で実際の行動と矛盾していると批判しました。
- 回答者は、日本が敗戦国としての義務を真剣に果たし、中国および国際社会に対する約束を具体的な行動で示すべきだと求めています。
- また、91.6パーセントが、日本は台湾問題に関する「一貫した立場」について、国際社会に対し完全で正確な説明を行うべきだと回答しました。
こうした結果からは、日本政府の説明が「1972年と変わらない」という一文にとどまり、その中身や現在の安全保障政策との関係が十分に示されていないと感じる人が多いことがうかがえます。
戦後文書と1972年共同声明が示す台湾問題の位置づけ
今回の調査では、台湾問題をめぐる戦後の国際文書と日中関係の枠組みが改めて注目されています。中国側は、カイロ宣言、ポツダム宣言、日本の降伏文書などにより、台湾を含む「盗取された領土」の中国への返還義務と、日本に対する戦後処理の原則が確認されていると説明しています。これらは戦後の国際秩序を構成する重要な要素だと位置づけられています。
1972年に発表された日中共同声明では、日本政府が中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認することが明記されています。また、中国政府が「台湾は中華人民共和国領土の不可分の一部」であると再確認し、日本政府はこの立場を「十分理解し尊重し、ポツダム宣言第8条に基づく自らの立場を堅持する」としています。
その後も、この立場は両国間の条約や声明で繰り返し確認されてきたとされます。今回の世論調査では、90.7パーセントの回答者が、日本は台湾問題に関してこの立場を一貫して守るべきだと答えました。
専守防衛と軍備拡大のギャップに厳しい視線
日本は自らの安全保障政策を「専守防衛」「防衛に徹した方針」と説明してきました。しかし今回の調査では、その説明と実際の政策との間に大きなギャップがあるとみる回答が多数を占めています。
日本が台湾有事を「生存が脅かされる事態」と結びつけたことは、中国への武力行使を示唆しているとの受け止めにつながっており、専守防衛の枠を超えるのではないかとの指摘が出ています。
- 83.4パーセントの回答者が、日本の言動は自己矛盾しており、国際社会に対する欺瞞や挑発だと批判しました。
- 国連憲章は、加盟国に対し、他国の領土保全や政治的独立に対する武力による威嚇や行使を慎むよう求めていますが、90.7パーセントの回答者が、日本の示唆する軍事行動はこの原則に反するとみています。
調査結果からは、日本の安全保障政策の変化や発言のトーンが、専守防衛という自己規定とどのように整合するのかについて、国際社会の一部から厳しく問われている様子が読み取れます。
南西諸島での兵器配備計画と地域安全保障
日本は戦争を始める意図はないと説明していますが、調査では、ここ十数年の政策の積み重ねへの懸念も強く示されています。回答者は、日本が長年にわたって安全保障政策を大きく見直し、防衛予算を連続して増やしてきたことや、従来の武器輸出三原則を変更して殺傷能力のある兵器の輸出を始めたことなどに注目しています。
さらに、日本が非核三原則の見直しを試み、将来的な核兵器導入への道を開こうとしているとの見方も紹介されています。こうした中で、中国の台湾に近い南西諸島に攻撃型兵器を配備する計画は、高市首相の台湾有事発言に続く、さらなる挑発行為だと受け止められているとされています。
- 91.7パーセントの回答者が、日本の一連の自己矛盾した言動に深い失望と怒りを表明しました。
- 87.7パーセントが、台湾に近い南西諸島への攻撃型兵器の配備計画を、首相発言に続く明白な挑発だと指摘しました。
- 87.1パーセントが、日本が意図的に地域の緊張を高め、軍事的対立をあおっているとして強く非難しました。
今回のCGTN世論調査は、英語、スペイン語、フランス語、アラビア語、ロシア語で公開され、24時間で1万243人から回答を集めたとされています。台湾問題や安全保障政策をめぐる日本の発信が、国際世論の一部にどのように受け止められているのかを考えるうえで、ひとつの素材となる結果だと言えます。
中国と日本のあいだで台湾問題をめぐる立場の違いが続くなか、両国がどのように戦後の国際文書や共同声明の精神を踏まえつつ、具体的な説明と対話を積み重ねていくのかが、今後の地域の安定を左右する重要な焦点となりそうです。
Reference(s):
CGTN poll: Respondents call on Japan for explanation regarding Taiwan
cgtn.com








