中国「生態保護レッドライン」2025年報告書 森林拡大と海洋回復が進展
中国で2025年版の「生態保護レッドライン」報告書(ブルーブック)が公表され、2022年の全国ネットワーク確立以降、森林や海洋といった重要な生態系の保全が着実に進んでいることが示されました。最新データに基づき、生態系の回復状況とガバナンスの進化をまとめた内容で、環境をテーマにした国際ニュースとしても注目されます。
生態保護レッドラインとは何か
生態保護レッドラインは、中国の「生態文明」戦略を支える中核的な制度で、国土の中で最も重要かつ脆弱な陸域・海域の生態系を法的に保護する仕組みです。開発や利用のあり方に明確な「越えてはならない線」を定めることで、生物多様性の保全や気候変動対策にもつながることが期待されています。
2025年ブルーブックが示す主な成果
今回のブルーブックは、生態保護レッドラインの本格運用が始まった2022年以降の変化をデータで示しています。主な指標は次の通りです。
- 保護区域内の森林面積:3,344平方キロメートル拡大
- 海洋レッドライン区域内の人間活動:35%以上減少(2022年以降)
- 植生被覆率:保護区域内で平均1.29%増加
- 純一次生産(生態系の生産力):平均2.22%増加
- マングローブ被覆:22%増加
- 生きたサンゴ被覆:5.5%増加
- 海草藻場:9.4%拡大
森林と陸域生態系の改善
ブルーブックによると、生態保護レッドライン内の森林面積は3,344平方キロメートル増加しました。保護区域内では植生の被覆率が平均1.29%、生態系の生産力を示す純一次生産が平均2.22%伸びており、陸域の生態系が回復基調にあることがうかがえます。
海洋生態系の回復と人間活動の抑制
海洋レッドラインについても変化は顕著です。2022年以降、保護区域内での人間活動が35%以上減少したことで、マングローブやサンゴ礁、海草藻場といった海洋生態系が回復傾向を示しています。マングローブ被覆は22%増、生きたサンゴは5.5%増、海草藻場は9.4%拡大しており、沿岸域の生態系サービス向上にもつながるとみられます。
保護と発展を両立させる柔軟な設計
レッドライン区域内では、建設や鉱業活動が引き続き減少している一方で、生活や安全に直結する公益性の高いインフラ整備は、厳格なルールのもとで認められています。具体的には、必要な交通インフラや水資源管理施設のような事業が、環境への影響を抑えつつ実施されているとされています。
これは「絶対に何もしてはいけない区域」とするのではなく、明確な境界の中で、人々の暮らしに不可欠なプロジェクトをどう両立させるかという柔軟性を備えた制度設計だといえます。
多層的ガバナンスと監視ネットワーク
ブルーブックは、生態保護レッドラインが複雑な社会経済環境の中で運用されている点も強調しています。中央と地方、そして関係部門の間で調整を図る多層的なガバナンス体制が構築され、縦割りを越えた連携が進んでいるとされています。
また、宇宙・航空・地上を統合した「空・空中・地上」監視ネットワークにより、保護区域の状態や人間活動を動的かつリアルタイムで把握できる体制が整えられています。衛星データや現地観測を組み合わせたこうした仕組みは、違反行為の早期発見や政策効果の検証に役立つとみられます。
さらに、生態系サービスの評価や生態補償の試行、地域コミュニティの参画を進めるパイロット事業も進展しており、持続可能な保護区運営のモデルづくりが進んでいるとされています。
国際対話への示唆と今後の展望
2025年版ブルーブックは、中国の重要な生態系保護の進捗を、透明性の高いデータに基づいて提示したものです。科学的なエビデンスに基づくガバナンスへのコミットメントを再確認するとともに、大規模な保護区ネットワークをどう運営するかという点で、国際的な議論にも示唆を与える内容となっています。
今後は、こうした成果を踏まえてレッドライン制度をさらに洗練させることや、気候変動対策や生物多様性保全に関する国際枠組みとの連携を深めていくことが焦点になりそうです。2025年時点でのこの報告書は、中国の環境保護政策の現在地を知り、今後の方向性を考えるうえで重要な材料といえるでしょう。
Reference(s):
China's 2025 Ecological Protection Report shows conservation gains
cgtn.com








