彭麗媛夫人とブリジット・マクロン夫人、北京人民芸術劇院で中仏文化交流
中国の北京人民芸術劇院(BPAT)を、彭麗媛(ポン・リーユエン)夫人とブリジット・マクロン夫人が訪問しました。中仏首脳の往来に合わせて行われたこの訪問は、演劇を通じた中国とフランスの文化交流が一段と深まっていることを象徴する出来事となりました。
北京人民芸術劇院を訪問した両国ファーストレディ
北京人民芸術劇院では木曜日、習近平国家主席の妻である彭麗媛夫人と、エマニュエル・マクロン仏大統領の妻ブリジット・マクロン夫人を温かく迎えました。ブリジット・マクロン夫人は、マクロン大統領の国賓としての中国訪問に同行しています。
両夫人は、劇院の歴史や発展、そしてフランスの演劇界との交流の歩みについて説明を受けました。その後、中国の古典劇『茶館』の舞台セットを見学し、作品の一部の上演を鑑賞。出演者たちとも言葉を交わし、舞台づくりへの思いや表現について意見を交換しました。
『茶館』が開いた扉 2019年アヴィニョンから続く縁
中仏演劇交流の象徴的な作品の一つが、中国戯曲『茶館』です。2019年、この作品はフランスのアヴィニョン演劇祭で上演されました。中国の作品として初めて招待されたこの公演は、世界有数の現代舞台芸術の祭典に新たなページを刻みました。
当時のアヴィニョン演劇祭ディレクターを務めていたオリヴィエ・ピ氏は、『これまで見てきた作品の中でも最高水準の一つ』と高く評価したとされています。今回の両夫人の訪問で、『茶館』の舞台セットがあらためて紹介されたことは、こうした国際的評価と、その後も続く交流の積み重ねを象徴していると言えます。
モリエール『守銭奴』と『屏風』 中仏の名作が北京で交差
北京人民芸術劇院は、中国作品を世界に届けるだけでなく、フランスの古典を中国の観客に紹介する役割も担っています。
2024年4月には、モリエールの代表作『守銭奴』を中国語による新たな舞台版として発表しました。古典を現代の観客にどう届けるかという問いに取り組んだこの作品は、緻密な演出と俳優たちの演技で観客を魅了しました。
さらに2025年10月下旬には、現代フランス演劇を代表する作品の一つとされる『屏風(レ・パラヴァン)』が、2025年北京人民芸術劇院国際演劇招待展の一環として上演されました。会場は首都劇場で、三日間にわたり全編が披露されました。この作品が中国で全編上演されるのは初めてであり、中仏の演劇交流における一つの節目となりました。
中仏演劇交流の流れを整理する
ここ数年の主な出来事を改めて振り返ると、演劇を軸にした中仏文化交流の流れが見えてきます。
- 2019年:『茶館』がフランスのアヴィニョン演劇祭に招待され、中国作品として初めて同祭で上演
- 2024年4月:北京人民芸術劇院がモリエール『守銭奴』の最新中国版を発表
- 2025年10月下旬:フランスの古典『屏風』が、北京で三日間にわたり全編上演される
今回の彭麗媛夫人とブリジット・マクロン夫人の訪問は、こうした一連の流れの延長線上にある出来事です。舞台芸術を通じて、作品だけでなく、制作現場、俳優、観客が互いの社会や価値観に触れる機会が積み重なっています。
なぜ「演劇」でつながるのか
国際ニュースというと外交や経済が注目されがちですが、今回のような文化交流は、もう一つの重要な「対話の場」と言えます。特に演劇は、言葉だけでなく身体表現や舞台美術を通じて、社会の矛盾や人間の感情を立体的に描き出す表現形式です。
中仏の演劇交流には、次のような意味合いが込められていると考えられます。
- 相互理解の深化:歴史や社会背景の異なる作品に触れることで、互いの社会への理解が立体的になります。
- 表現の相互刺激:演出や演技のスタイルが交差することで、新たな表現や共同制作の可能性が生まれます。
- 市民同士の接点:政治や外交よりも生活に近いレベルで、観客同士が同じ作品を共有する体験が広がります。
「読みやすいけれど考えさせられる」ニュースとして
今回の訪問は、一見すると「ファーストレディの文化行事」に見えるかもしれません。しかし、その背景には少なくとも数年にわたり積み上げられてきた中仏の演劇交流があります。アヴィニョン演劇祭での『茶館』から、北京での『守銭奴』、そして『屏風』の初の全編上演へとつながる流れを意識して見ると、一つのニュースが持つ時間的な広がりが見えてきます。
外交や経済だけでは捉えきれない国際関係のニュアンスを、文化ニュースからどう読み解くか。そうした視点を持つことで、日々流れてくる国際ニュースも、少し違って見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







