朱雀3号ロケット、再使用ブースター回収試験の核心データを公開
民間ロケット企業ランドスペースは12月6日(土)、再使用型ロケット朱雀3号の第1段ブースター回収試験について、最も技術的に厳しいフェーズを通過し、その過程で得られた主要な技術データを公表しました。再使用ロケットの実用化が進む2025年の宇宙開発の中で、この動きは今後の打ち上げコストや技術競争を左右しうる一歩といえます。
なぜ朱雀3号の回収試験が注目されるのか
今回ランドスペースが明らかにしたのは、朱雀3号の第1段ブースターが再使用型ロケットにとって最も難しいとされる飛行フェーズを経験し、そのデータが今後の改良に活用できるレベルで取得できたという点です。このフェーズを安全に乗り切れるかどうかが、ブースターの回収と再使用の成否を大きく左右します。
再使用ロケット最大の難所 最大動圧フェーズとは
ランドスペースによると、今回の試験で鍵となったのは最大動圧と呼ばれる飛行条件でした。最大動圧とは、ロケットが上昇する途中で空気の圧力と速度の組み合わせが最も厳しくなる瞬間のことです。
高度が上がると空気は薄くなりますが、その前にロケットの速度が大きく上がるため、あるタイミングで機体にかかる空気力が最大になります。このとき機体の構造、表面の耐熱材、そして姿勢制御が少しでも不十分だと、大きな損傷や制御不能につながりかねません。
試験で問われた3つの技術
ランドスペースは、この最大動圧フェーズが次の3つの要素に極めて高い性能を求めると説明しています。
- 熱防護システム:高速で大気を通過する際、表面温度が急激に上昇するため、機体を守るための耐熱材や冷却構造が試されます。
- 空力形状の設計:どのような形状で、どこに翼やフィンを配置するかによって、空気の流れと機体の安定性が大きく変わります。今回のデータは、その設計見直しの重要な材料になります。
- 姿勢制御能力:エンジンの推力方向制御や小型スラスターなどを使い、予測しにくい空気の乱れの中でも機体の向きを保つ技術が求められます。
ランドスペースは、これらの要素がすべて同時に厳しく問われるフェーズを実際の飛行で経験し、貴重なテレメトリーデータ(飛行中に送信されるデータ)を取得できたとしています。
集めたデータは次世代朱雀3号の土台に
今回の飛行で得られたデータは、今後の朱雀3号シリーズの反復的な改良の出発点になります。シミュレーションや風洞実験だけでは見抜けない挙動を確認し、次のような点の見直しに使われる可能性があります。
- 熱防護材の厚みや配置の最適化
- フィンや機体外形の微調整による安定性向上
- 姿勢制御アルゴリズムの改良と安全マージンの見直し
ランドスペースは、今回の回収試験で得た知見が、将来のモデルの信頼性を高めるための重要な基盤になると位置づけています。
宇宙ビジネスと私たちへの波及効果
ロケットの再使用技術が確立されれば、打ち上げコストの低減が期待されます。コストが下がれば、通信・観測・地球環境モニタリングなどの衛星打ち上げがより頻繁かつ柔軟に行えるようになり、新しいサービスやビジネスが生まれる余地も広がります。
2025年12月時点で、再使用型ロケットはすでに国際的な宇宙開発の重要なトレンドになっています。朱雀3号のような新しい機体が最大動圧フェーズという難所でどこまで性能を発揮できるかは、このトレンドの先行きを占う一つの指標になりそうです。
これからを見るための視点
今回の公表は、まだ最終的な完全回収や高頻度の再使用が実現したという段階ではありません。しかし、技術的に最も厳しい局面でデータを取り切ったという事実は、再使用ロケットを現実的なビジネスに近づけるための重要なステップです。
今後注目したいポイントとしては、次のような点が挙げられます。
- 次回以降の試験で、どこまで回収プロセスが洗練されていくか
- 取得データにもとづく設計変更の内容と、その成果
- 他の民間ロケットとの間で再使用技術の競争がどう進むか
短い通勤時間やスキマ時間でニュースを追う私たちにとっても、朱雀3号のような再使用ロケットの動きは、宇宙がより身近なインフラになる未来を想像するきっかけになります。今回の回収試験は、その未来に向けた一歩が確かに刻まれたことを示していると言えるでしょう。
Reference(s):
LandSpace reveals key details of Zhuque-3 first-stage recovery test
cgtn.com








