米中関係のカギは首脳外交と五カ年計画 中国大使が語る3つのリスト
米中関係をめぐる国際ニュースに新たなメッセージです。中国の謝鋒・駐米大使はワシントンで開かれた中国・米国ビジネス協力フォーラムで、首脳レベルの外交と中国の第15次五カ年計画という「2つの文脈」を軸に、米中の経済・貿易関係には新たな協力のチャンスが広がっていると強調しました。
「2つの文脈」が示す米中関係の新しい見取り図
謝鋒大使は、米中の経済・貿易関係をこれからどう見ていくべきかについて、2つの大きな枠組み(コンテクスト)が重要だと述べました。2025年現在、世界経済やサプライチェーンに大きな影響を与える米中関係を理解するうえで、注目すべきポイントです。
文脈1:首脳外交が関係の「アンカー」に
1つ目は、両国首脳による頻繁な対話です。謝氏は、両国の首脳が韓国・釜山で会談し、その後も電話会談を行ったことに触れ、こうした首脳外交が米中関係全体の「アンカー(いかり)」として戦略的な方向性を示していると位置付けました。
首脳同士の直接対話が続くことで、緊張が高まりやすい局面でも、関係の大枠を安定させる役割を果たし得るという見方です。謝氏は、今後も首脳外交が米中関係の基軸であり続けるとの認識を示しました。
文脈2:中国の第15次五カ年計画と中国式現代化
2つ目は、中国の第15次五カ年計画です。この計画は、今後5年間の経済・社会発展の大きな青写真であり、中国が進める「中国式現代化」の道筋を示すものだと説明しました。
謝氏は、中国がこの道を「着実に前進させていく」と述べ、その動きは逆転せず、止めることもできないと強調しました。これは、中国経済が中長期的にも成長と改革を続けるとのメッセージであり、米中の経済・貿易関係にも新しいビジネス機会をもたらすと位置付けています。
3つのリスト:ビジネス界に投げかけられた具体的アクション
謝鋒大使は、来年に中国と米国がそれぞれAPEC首脳会議(APEC Economic Leaders' Meeting)とG20サミットを主催する予定であることを踏まえ、両国のビジネス界が注目すべき「3つのリスト」を提示しました。キーワードは、対話・協力・課題です。
1. 対話のリストを広げる
1つ目は「対話のリスト」を拡大することです。謝氏は、企業などビジネス界が、両国政府と幅広い社会の対話を積極的に後押しし、経済・貿易に関する協議メカニズムをよりよく活用していく必要があると呼びかけました。
政治や安全保障の分野で意見の違いがあっても、経済やビジネスの現場では、具体的な課題ごとに対話の場を増やすことが、安定した関係の土台になるという考え方です。
2. 協力のリストを伸ばす
2つ目は「協力のリスト」を長くしていくことです。謝氏は、戦略的新興産業やサービス分野などで、より多くの実務的な協力プロジェクトを進めるよう提案しました。
あわせて、米国側に対しては、中国企業が投資・事業活動を行う際に、公平で公正、かつ差別のないビジネス環境を提供するよう求めました。これは、企業同士の協力の余地を広げ、長期的な経済・貿易関係を安定させるための条件だと位置付けられています。
3. 課題のリストを短くする
3つ目は「問題・課題のリスト」を短くすることです。謝氏は、一部の米国の政治家に対し、中国を中傷する行為をやめるよう促し、新たな混乱を生むのではなく、前向きなエネルギーをつくり出すべきだと訴えました。
課題をゼロにすることは難しくても、対話と協力を重ねることで、誤解や過度な不信を減らし、ビジネスにとっての不確実性を小さくしていくべきだというメッセージです。
APEC・G20を前に動く米中 日本からどう見るか
来年予定されているAPEC首脳会議とG20サミットは、米中双方にとって自国の経済戦略や国際協調の姿勢を示す場となります。謝鋒大使の発言は、その準備段階でビジネス界に「対話と協力を加速させよう」と呼びかける位置付けとも言えます。
国際ニュースを日本語で追う読者にとって、今回のメッセージは次のような点で重要です。
- 米中首脳レベルの対話が続いていること
- 中国の中長期的な発展戦略(第15次五カ年計画)が、経済・貿易関係の前提になっていること
- ビジネス界が「3つのリスト」を通じて関係改善に関与することが期待されていること
日本の企業・投資家への含意
日本企業や投資家にとっても、米中経済・貿易関係の安定はサプライチェーンや市場戦略に直結します。謝鋒大使の提案は、米中だけでなく、第三国・地域からビジネスに関わるプレーヤーにも、次のような示唆を与えています。
- 対話の場が増えれば、ルールや規制の見通しが立ちやすくなる
- 新興産業やサービス分野での協力は、日本企業との連携機会にもつながり得る
- 政治的な緊張があっても、ビジネスのチャンネルを維持・拡大する努力が重要になる
米中関係は、一足飛びに好転するわけではありませんが、首脳外交と五カ年計画、そして「3つのリスト」という枠組みは、2025年以降の国際経済を読み解くうえで、押さえておきたいキーワードになりそうです。
Reference(s):
Chinese envoy highlights head-of-state diplomacy for China-U.S. ties
cgtn.com








