広東省陽江で2025シルクロードTVコミュニティサミット開幕
国際ニュースやアジアの動きを日本語で追う読者に向けて、海上シルクロードをテーマにした国際メディアサミットが広東省陽江市で開幕しました。スマートメディアやAIを軸に、20の国と地域から集まった参加者が、これからの国際報道と文化交流のかたちを語り合いました。
広東省陽江市で「2025シルクロードTVコミュニティサミット」開幕
「2025シルクロードTVコミュニティサミット」は、広東省陽江市で日曜日に開幕しました。テーマは「スマートメディアが力を与え、海上シルクロードが再び出航する」を意味する「Smart Media Empowers, Maritime Silk Road Embarks Anew」です。
会場には、20の国と地域から、メディア機関、大学・研究機関、文化・テック系企業、国際機関などの代表およそ300人が参加しました。テレビ・オンライン・ソーシャルメディアをまたぐ「スマートメディア」の時代にふさわしい、多国間の対話の場となっています。
一帯一路は「人と人のつながり」へ
中国共産党中央宣伝部の副部長で、中国メディアグループ(CMG)社長の慎海雄(しん・かいゆう)氏は基調発言で、一帯一路(BRI)がインフラやルール整備中心の段階から、より深い人と人の交流へと発展していると強調しました。
慎氏は、改革開放の先駆けとして発展してきた広東省が、一帯一路への本格的な組み込みを通じて、中国の現代化の新たな成果を上げていると紹介しました。そのうえで、世界情勢が不透明さを増す中だからこそ、「平和協力・開放性・包摂性・相互学習・互恵互利」というシルクロードの精神を堅持する必要があると述べました。
さらに、CMGとして国際メディア協力を一段と深め、「四つのグローバル・イニシアチブ」を推進し、人類が共通の未来を分かち合うコミュニティづくりに貢献していく姿勢を示しました。
広東省から広がる「中国式現代化」と文化交流
中国共産党広東省委員会常務委員で、省委員会宣伝部長を務める胡斌軍(こ・ひんぐん)氏は、このサミットが「中国式現代化」の新たな発展段階と足並みをそろえるものだと位置づけました。
胡氏は、広東省がもつ経済・技術・文化のポテンシャルを世界のパートナーと分かち合いたいと述べ、次のような協力を呼びかけました。
- 広東省の発展機会を生かした国際的な連携
- 文化・メディア分野での交流のいっそうの強化
- 「ウィンウィン」の新しい協力の物語を共に描くこと
こうしたメッセージは、単なる経済協力だけでなく、文化と情報発信を通じたつながりを重視するサミットの性格を象徴しています。
国際放送連合も「信頼できる協力プラットフォーム」と評価
会場には直接来られなかったものの、アジア太平洋放送連合(ABU)、アラブ諸国放送連合(ASBU)、アフリカ放送連合(AUB)のトップらもビデオメッセージで参加しました。
各連合のリーダーは、このサミットを「メディア協力を深め、未来のメディア環境をともに形づくるための信頼できるプラットフォーム」と評価しました。地域ごとに歴史や課題は異なりますが、国境を越えた報道連携や番組交換のニーズが高まっていることがうかがえます。
アフリカからの視点:デジタル技術と多様な声
ケニア・メディア評議会のジョセフ・マイナ・ムルリ議長は、デジタル技術が情報発信の姿を大きく変えていると指摘しました。
ムルリ氏は、一帯一路を通じてアフリカの活気ある市場と中国の技術力を結びつけることで、多様な声をすくい上げ、文化的なギャップを埋めるメディアコミュニティを育てていくべきだと提案しました。アフリカの視点が積極的に語られたことは、グローバル南を含めた対等なメディア協力の重要性を浮き彫りにしています。
「陽江イニシアチブ」発表 AIとグリーンもキーワードに
中国国際テレビ総公司の蒋海清(しょう・かいせい)董事長は、コミュニティの年次報告とともに、「国際メディア協力に関する陽江イニシアチブ:シルクロードが海を結び、英知が未来を創る」を発表しました。
このイニシアチブでは、次のような方向性が掲げられています。
- テクノロジーを活用したメディア協力の一層の強化
- 環境に配慮したグリーンな発展の推進
- 海上シルクロードに関する魅力的なストーリー発信
単にコンテンツを増やすだけでなく、技術革新と環境配慮を両立させながら、海上シルクロードにまつわる物語を世界に伝えていく構想です。
AI生成コンテンツの産業応用も議論
パネルディスカッションでは、国際メディア協力や文化交流に加え、AI生成コンテンツ(生成AIが作る映像や文章)の産業応用が大きなテーマとなりました。
参加者たちは、テクノロジーがもたらす可能性と課題を踏まえながら、どのようにAIを報道や番組制作に取り入れていくかを議論しました。その中で、具体的な共同プロジェクトも動き出しています。
- 国際的な情報発信キャンペーンの立ち上げ
- 複数の国・地域が共同制作するマイクロドキュメンタリー
- FAST TV番組の多言語翻訳プロジェクト
- 中国国際テレビ局(CGTN)スペイン語チャンネルの中南米での放送
これらの取り組みは、コンテンツをより多言語・多文化に開いていく試みと言えます。SNSが主戦場となる若い世代の視聴習慣も見据えた動きといえるでしょう。
シルクロードTVコミュニティとは何か
今回のサミットを主催した「シルクロードTVコミュニティ」は、2016年に発足しました。シルクロードをテーマにした世界初のグローバルなオールメディア連合で、中国メディアグループの指導のもと、中国国際テレビ総公司が立ち上げました。
現在、このコミュニティには、64の国と地域の149の機関が加盟しています。国境を越えた映画・テレビの交流や共同制作、番組の相互提供などを進めるプラットフォームとして機能しており、今回のサミットもその一環です。
海上シルクロードをキーワードに、スマートメディアとAI、そして文化交流を結びつけようとする今回の議論は、今後の国際ニュースの伝わり方や、アジア・世界の相互理解のあり方にも影響を与えていきそうです。日本やアジアのメディアが、こうした枠組みとどのように関わっていくのかも注目されます。
Reference(s):
2025 Silk Road TV Community Summit held in Yangjiang, Guangdong
cgtn.com








