Nature's 10 2025、中国のAIと深海探査の先駆者2人が選出
英科学誌ネイチャーが毎年発表する「Nature's 10」の2025年版で、中国のイノベーター2人が選ばれました。人工知能(AI)と深海探査という、今年の国際科学ニュースを象徴する分野からの選出です。
Nature's 10とは何か
Nature's 10は、科学誌ネイチャーがその年の「最も大きな科学ストーリーの中心にいる10人」を紹介する企画です。ノーベル賞のような「生涯功労」ではなく、その年の研究や技術、社会への影響に焦点を当てるのが特徴です。
大規模AIモデルで注目の梁文峰氏
今回選出された一人が、中国のAI企業DeepSeekの創業者、梁文峰(リャン・ウェンフォン)氏です。ネイチャーは、梁氏が強力な大規模AIモデルの開発を主導した功績を評価しています。
特に2025年1月に公開されたR1モデルは、高い性能とコスト効率を両立した点で、人工知能の世界に強いインパクトを与えたとされています。ネイチャーは、このR1モデルの登場によって、米国がAI分野で他地域を大きく引き離しているという従来の見方が揺らいだと指摘しています。
AIの開発力が特定の国や企業に偏らず、多極化していることは、技術の民主化や国際協力のあり方を考えるうえでも重要な流れだと言えます。
超深海の生態系を切り開く杜夢然氏
もう一人の受賞者は、地球科学者の杜夢然(ドゥ・モンラン)氏です。杜氏は、海の最も深い層である「ハダル帯」(水深6キロメートル以深)への挑戦によって知られています。
ネイチャーの紹介によると、杜氏のチームは日本の北東に位置する千島・カムチャツカ海溝の最深部に到達し、これまでで最も深い場所に存在する動物の生態系を発見しました。これは、地球上の生命の適応力や、極限環境での生物多様性を考えるうえで画期的な成果といえます。
日本列島の東側には世界有数の海溝が連なっており、深海で起きていることは地震・津波、防災、気候変動の理解とも無関係ではありません。近隣海域での深海探査の進展は、日本の読者にとっても直接的な関心事になりつつあります。
AIと深海探査から見える2025年の科学
AIと深海探査という、一見かけ離れた分野の2人が同じリストに選ばれたことは、2025年の科学が抱える共通のテーマを映し出しているように見えます。
- 膨大なデータを扱い、新しいパターンや知見を引き出す力
- これまでアクセスできなかった「深い領域」に踏み込む技術
- 科学技術の進展が、国や地域を超えた協力と議論を求めている現実
AIは情報空間の「深層」を掘り下げ、深海探査は地球環境の「深層」に光を当てています。どちらも、私たちの世界認識を静かに更新しつつあるという点で共通しています。
日本の読者への問いかけ
今回のNature's 10の発表は、単に海外の研究者のニュースとして眺めるだけでなく、日本やアジアの研究・産業のこれからを考える手がかりにもなります。
- コスト効率の高いAIモデルが広がるとき、私たちはどのように仕事や教育を変えていくのか
- 深海で見つかった新たな生態系の知見を、環境保全や防災の議論にどう生かすのか
- 国境を越えて進む研究に、日本はどのような形で関わっていけるのか
通勤電車の中でも、寝る前の数分でも、こうした国際ニュースにふと立ち止まって考えてみることが、世界との距離を少しだけ縮めてくれます。2025年のNature's 10に選ばれた2人の歩みは、そのきっかけの一つになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







