中国の李強首相、市場の「相互開放」を呼びかけ 安全保障の政治化を懸念
中国の李強首相は、世界経済が揺れ動く2025年にあって、市場同士の「相互開放」を一段と進めるべきだと呼びかけました。同時に、経済や貿易の分野で安全保障の概念を政治的に使いすぎることに慎重であるよう各国に求めています。
北京で「1+10」対話 国際経済機関トップと議論
李首相が発言したのは、北京で行われた「1+10」対話です。中国側と主要な国際経済機関のトップらが集まり、世界経済の現状と協力の方向性について意見を交わしました。
李首相はここで、各国に対して次のような点を強調しました。
- 市場の相互開放を一段と進めること
- 経済・貿易分野で安全保障の概念を政治化しすぎないこと
- 国際的なイノベーション協力を強化し、新たな成長エンジンを育てること
李首相は、2025年の世界経済は「変動を経験している」と述べ、こうした環境だからこそ、国際経済のルールづくりやガバナンスの見直しが急務だと位置づけました。
「安全保障」の拡大解釈に警鐘
今回の発言で目を引くのは、経済や貿易の領域で「安全保障」という概念が過度に持ち出されることへの懸念です。李首相は、安全保障の概念を政治的に用いたり、必要以上に拡大解釈したりしないよう呼びかけました。
背景には、各国・地域で進む輸出管理の強化や投資審査、サプライチェーンの見直しなど、「経済の安全保障」を軸とした政策の広がりがあります。安全保障を重視する動きは一方で理解されつつも、それが広がりすぎれば、貿易や投資の流れが細り、世界経済の回復力を弱めるおそれもあります。
李首相のメッセージは、こうした緊張感の高まりの中で、「リスク管理」と「開放的な経済」をどのように両立させるかという課題に向けられていると見ることができます。
開放と協力を「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」の中核に
李首相は、中国が打ち出す「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」をめぐっても、開放と協力が「出発点」であり「不可欠な道筋」だと位置づけました。
そのうえで、開放と協力を通じて次のような効果が期待できると述べました。
- 世界経済の成長余地を広げる
- 産業・サプライチェーンを安定的かつ円滑に保つ
- 技術革新と産業高度化を加速させる
国際的な経済ルールや制度をどう整えていくかという「グローバル・ガバナンス」の議論は、分断か協調かという選択とも深く結びついています。李首相は、より開かれた協力の枠組みこそが、ガバナンス改革を前に進める鍵だと強調しました。
「中国のドアは、さらに大きく開く」
李首相は、中国がこれまでも開放と協力の「実践者」であり「推進者」であったと述べたうえで、「中国の対外開放のドアは、今後さらに大きく開かれていく」と改めて強調しました。
その具体的な方向性として、次のような点に言及しました。
- より多くの海外企業が中国市場を開拓することを歓迎する
- 各国と協力し、互恵・ウィンウィンの国際的な経済・貿易の枠組みを強化する
- 経済のグローバル化を一段と深める
- 多国間の枠組みの権威と実効性を高める
また、中国は自国の能力に見合った国際的責任を引き続き積極的に担い、国際的な対話や協力に建設的に参加し、より多くの「国際公共財」を提供していく姿勢も示しました。世界経済の健全で安定した発展に、引き続き貢献していく考えです。
変動する2025年の世界経済で浮かび上がる論点
李首相の発言は、2025年の世界経済が変動に直面する中で出されたものです。「相互開放」と「安全保障」、そして「ガバナンス改革」というキーワードは、今後の国際経済をめぐる議論の軸にもなりそうです。
今回のメッセージから、次のような問いが静かに投げかけられているようにも見えます。
- どこまでが必要な「経済安全保障」で、どこからが過度な政治化なのか。
- 市場の「相互開放」は、どの分野から、どの順番で進めるべきなのか。
- 国際経済機関や多国間の枠組みは、分断を深めるのか、それとも橋渡しの役割を強めるのか。
こうした論点は、アジアや欧州、米州など、どの地域の経済にとっても避けて通れないテーマです。安全保障を意識しつつも、どのように開放と協力のバランスを取るのか。李首相の呼びかけは、そのバランスの取り方を改めて考えさせるメッセージと言えそうです。
Reference(s):
Chinese premier calls for greater mutual opening up among markets
cgtn.com








