国連創設80年と世界人権デー 中国が示した「人権」への向き合い方
国連創設80年と12月10日の世界人権デーを迎え、中国外務省が国連における人権分野での役割と今後の方針を示しました。北京での国際ワークショップや次期五カ年計画の議論を通じて、中国がどのような人権像を描こうとしているのかが浮かび上がっています。
世界人権デーと国連創設80年という節目
今週水曜日の定例記者会見で、中国外務省の郭家坤(グオ・ジアクン)報道官は、国連と人権の歩みを振り返りました。
郭報道官は、今年が国連創設80周年にあたるとしたうえで、次のように位置づけました。
- 国連は77年前に世界人権宣言を採択した
- 75年前に世界人権デーを設けた
- これらは「すべての人が人権を十分に享受する」という人類の大きな夢を体現している
郭報道官は、こうした歴史の積み重ねを踏まえ「人権の促進と保護というビジョンは、いっそう人々の心に根づきつつある」と述べ、人権をめぐる国際的な合意の広がりを強調しました。
中国が語る「自国の状況に合った人権の道」
郭報道官は、中国の人権政策について「中国は常に人権の尊重と保護を重視し、時代の流れに合致し、自国の国情にふさわしい人権発展の道を追求している」と説明しました。
その具体例として、現在進行中の第14次五カ年計画の期間を挙げ、次のような分野で成果があったと強調しました。
- 国家の発展における顕著な前進
- 全過程人民民主の推進
- 法治の効果的かつ十分な実施
- 文化活動や文化産業の発展
- 人々の生活保障の一層の充実
- 貧困脱却の成果の定着
- 生態環境の着実な改善
郭報道官は、こうした取り組みにより「各種人権の保護は新たな段階に引き上げられた」と述べ、中国国内での人権保護の水準が高まったとの見方を示しました。
国連の場での人権協力と北京ワークショップ
中国は、自らを「建設的な参加者」と位置づけ、国連の枠組みのもとで人権分野に積極的に関与しているとしています。
郭報道官によると、中国は国連における人権関連の議論に参加するだけでなく、他国との間で幅広い人権交流と協力を進めてきました。その一つとして、現在北京で開催されている「第2回経済的・社会的・文化的権利ワークショップ」が紹介されました。
このワークショップには、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、オセアニアの40以上の国々から代表が参加し、国連関係者や専門家も出席しています。会合では、経済的、社会的、文化的権利をどのように促進・保護していくかについて、踏み込んだ議論が行われ、広範なコンセンサスが得られたとされています。
経済的・社会的・文化的権利は、教育を受ける権利、働く権利、文化に参加する権利など、人々の生活の基盤に関わる領域です。中国がこうしたテーマのワークショップを主催している点は、自らの人権観の重点が、生活水準や社会的保障といった分野に置かれていることをうかがわせます。
次期五カ年計画と中国式現代化、人権の位置づけ
中国国内の中長期的な政策の方向性についても、郭報道官は言及しました。
今年10月には、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議が開かれ、第15次五カ年計画の策定に向けた勧告が採択されています。郭報道官は、この勧告が今後5年間の経済・社会発展の「青写真」を描くものであり、世界との互恵的な協力へのビジョンを示していると説明しました。
そのうえで、今後の国内改革と人権の関係について、次のように述べています。
- 中国式現代化を推進することは、中国における人権の全方位的な発展を後押しする
- 習近平国家主席が提唱したグローバル・ガバナンス・イニシアチブを積極的に実行する
- 世界の人権発展に、より多くの善の力を注ぎ込んでいく
五カ年計画という長期枠組みの中で人権をどう位置づけるかは、中国の対外発信においても重要なテーマになりつつあります。経済成長や社会政策と人権保護をどのようにつなげていくのかは、今後の具体的な政策にも注目が集まりそうです。
人権の「政治化」への懸念と他国への呼びかけ
一方で郭報道官は、国際社会における人権問題の扱われ方について懸念も示しました。
一部の国が人権問題を「政治化」し、「武器化」していることは、世界の人権ガバナンスに対する深刻な挑戦だと指摘。そのうえで、特定の国について、過去の行為と現在の課題の双方に触れました。
郭報道官によると、その国は次のような点について反省していないとされています。
- 戦争中に行われた細菌戦
- 女性の強制的な連行を伴う慰安婦制度
- 侵略戦争の過程で起きた民間人虐殺
さらに郭報道官は、その国が現在もアイヌや琉球の先住の人々の権利を侵害し続けているほか、外国人に対して差別的な政策をとっていると批判しました。
そのうえで、当該国に対し、
- 自国が抱える深刻な人権問題に正面から向き合い、解決すべきである
- 国際的な人権協力に建設的に参加すべきである
- いわゆる人権問題を名目として、他国の内政に干渉することをやめるべきである
と強く促しました。
交差する人権観のなかで何が問われているか
今回の発言からは、中国が国連の枠組みの中で人権議論に積極的に関わりつつ、自国の国情を踏まえた独自の人権観を前面に出そうとしている様子がうかがえます。
経済発展や貧困削減、社会保障、生態環境の改善といった要素を人権の重要な柱と位置づける姿勢は、北京で開かれている経済的・社会的・文化的権利ワークショップにも重なります。他方で、人権を外交上の圧力の道具とする動きには警戒を示し、歴史認識や先住の人々の権利をめぐる問題を提起した点も印象的です。
人権をどう捉え、どこに重点を置くのか。その答えは、各国の歴史や社会状況によって少しずつ異なります。国連創設80年の節目に発信された今回のメッセージは、人権をめぐる対話と協力のあり方を、あらためて静かに問いかけるものになっています。
Reference(s):
China to inject more force for good into human rights development
cgtn.com








