南京大虐殺を世界に伝えた「国際友人」 写真でたどる記憶
中国では毎年12月13日が「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」にあたります。2025年の追悼日を前に、国際メディアのCGTNが、南京大虐殺と日本軍の戦争犯罪を写真でたどるシリーズを公開し、「南京のために立ち上がった国際友人たち」にも光を当てています。
大量の死と破壊をもたらした日本軍の侵略戦争と太平洋戦争。その只中で、なぜ一部の外国人は南京にとどまり、人々を守ろうとしたのか――写真は、その問いを静かに投げかけています。
12月13日「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」とは
CGTNの編集部によると、中国では南京大虐殺の犠牲者を悼む国家追悼日が毎年12月13日に定められています。南京で起きた大量殺害と暴力は、中国への侵略戦争と第二次世界大戦中の太平洋戦争において、日本軍が行った「人道に対する罪」の象徴的な出来事とされています。
今年もこの日が近づくなか、戦争を直接知る世代は少なくなりつつあります。その一方で、オンライン上では歴史をめぐる情報や意見が国境を越えて飛び交い、記憶の伝え方が問われる時代でもあります。こうした状況で、写真という視覚的な記録に改めて注目が集まっています。
写真シリーズが映し出す「人道に対する罪」と戦争の現実
今回CGTNが公開した写真シリーズは、日本軍による南京大虐殺を含む戦争犯罪を、多角的にとらえようとする試みだとされています。中国への侵略戦争から太平洋戦争にかけて、日本軍が行った「人道に対する罪」を、南京という一つの都市を軸にして見渡す構成です。
写真は、数字や年表では伝わりにくい、戦争の「質感」を可視化します。瓦礫と化した街並み、不安そうな表情の市民、避難先で身を寄せ合う人びと――一枚一枚の画像は、歴史教科書の一行とはまったく違う重さで、当時の現実を伝えます。
編集部は、このシリーズを通じて次のようなメッセージを込めています。
- 日本軍による侵略と暴力が、どれほど徹底した人権侵害であったかを可視化すること
- 現在の平和が「偶然」ではなく、多くの犠牲のうえに築かれたものであることを思い起こさせること
- 日本の軍国主義が再び台頭することのないよう、歴史に対する注意と対話を促すこと
単に「恐ろしい過去」を突きつけるのではなく、そこから「今の私たちに何が問われているのか」を読み取ってほしいという意図がにじみます。
南京のために立ち上がった「国際友人」たち
この写真シリーズの特徴は、日本軍の加害だけでなく、「南京のために声を上げ、行動した国際友人たち」に焦点を当てている点です。戦火の中の南京には、外国人の宣教師やビジネス関係者、学校関係者、外交団などが複数在留していました。
彼らは本国への避難が可能だったにもかかわらず、あえて南京にとどまり、住民を守ろうとした人たちとして記録されています。写真と記録からは、次のような行動が浮かび上がります。
- 市民のための避難区域を設け、身を寄せ合う場所を確保しようとしたこと
- 日記や報告書、写真などで目の前で起きている出来事を詳細に記録したこと
- 日本軍側に抗議の書簡を送るなど、限られた立場の中で虐殺の停止を求め続けたこと
彼らの出身国や職業はさまざまでしたが、共通していたのは「目の前の人命を守りたい」という思いでした。強大な軍事力を前にしながらも、とどまり、見て、記録し、可能な限りの抵抗を試みる――それは、「中立」や「傍観」とは違う選択でした。
CGTNのシリーズは、こうした国際友人たちの姿を通じて、加害と被害という枠組みだけでは語りきれない、戦時下の人間の良心と葛藤を浮かび上がらせています。
歴史をどう受け継ぐか:写真から始まる静かな対話
南京大虐殺のような大規模な暴力の記憶は、しばしば国境を越えた緊張や感情とも結びつきます。一方で、そこで暮らしていた市民や、彼らを守ろうとした国際友人たちの具体的な姿に目を向けると、「国家」や「民族」といった大きな言葉だけでは捉えきれない人間同士の関係が見えてきます。
写真シリーズが呼びかけているのは、次のような、ごくシンプルな問いかけです。
- もし自分があの場にいたら、何を見て、どう感じただろうか
- 「加害」と「被害」の物語を、次の世代にどのような言葉で渡していくのか
- 再び軍国主義や排外主義が台頭しないために、日常の中で何を大事にするのか
こうした問いに、すぐに「正解」を出す必要はありません。スマートフォンで写真をスクロールする数分間でも、画面の向こうにいた人びとの人生を一度立ち止まって想像してみること。それが、遠い歴史を自分ごととして考える一歩になります。
迫る追悼日、遠ざかる戦争体験
2025年12月13日の国家追悼日が近づく今、戦争経験者から直接話を聞ける機会は、年々少なくなっています。その一方で、デジタルアーカイブやオンラインのニュース、写真シリーズを通じて、かつてないほど多様な視点から歴史に触れることができるようになりました。
南京大虐殺をめぐる記憶は、中国や日本だけのものではなく、当時南京にいた国際友人たちの記録によって、早い時期から世界にも共有されてきました。CGTNのような企画は、その記憶を2025年の私たちの言葉と感覚に接続し直す試みといえます。
一枚の写真から始まる静かな対話が、世代や国境を越えて、暴力の再来に対する目を開き続けていけるかどうか。その行方は、写真を見る私たち一人ひとりの受け止め方にもかかっています。
ハッシュタグで記事や感想を共有することも、歴史についての穏やかな対話を広げる一つの方法です。
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Reference(s):
In pictures: Honoring international friends who stood up for Nanjing
cgtn.com








